373 / 848
第十二章
出航
しおりを挟む
《海龍》と《水龍》が出航したのは、その翌朝の事。
前回と違って、今回は港を出るとすぐに浮上して水上航行に入った。
「あのう……こんなにノンビリしていて、いいのでしょうか?」
ミーチャが不安そうに言ったのは、昼近くになって《海龍》甲板上での事。日の光を凹面鏡で集めてレットドラゴンの肉を炙っている僕の背後から声をかけてきたのだ。
ちなみにこの肉は、塩湖から持ってきた最後の一かけら。
出陣祝いの景気づけにと思って出してきた。
「大丈夫だよ。ミーチャ。お昼ご飯までに焼けるから。ガスや電気で焼くより、日の光で焼いた方が美味いんだぞ」
「いえ……僕が言いたいのは、お肉の焼け具合ではなくて……これから、戦いに出かけると言うのに、こんなにノンビリしていていいのですか? という事なのですけど」
ミーチャの指差す先の甲板上にはサマーベッドが並び、ミール、ミク、キラ、芽衣ちゃんが水着姿で寝そべり、日光浴をしていた。
さすがにPちゃんは、アンドロイドなのでそんな事はしていないが……
「ロータス到着は明日になるし、今から緊張していてもしょうがない。今のうちに英気を養っておくのさ」
「でも、休むなら潜水艦の中でもいいじゃないですか。こんな無防備な状態で、もし帝国軍の残党に襲撃されたら……」
「大丈夫だよ」
僕は空を指差した。
「目には見えていないけど、上空ではドローンが警戒しているんだ」
「で……でも……」
ミーチャは妙にモジモジしていた。
ん? 顔が赤いぞ。どうしたのだ?
「せ……せめて服ぐらい着ても……」
着ているだろ? 水着を……いや……ミーチャに、水着ギャルは刺激が強すぎたかな?
確かに、中高生の頃の僕なら水着ギャルが並んでいる光景なんか見ると、目のやり場に困って赤面していたかも……
「ご主人様。なにミールさん達をジロジロ見ているのですか?」
ギク!
背後を振り向くと、トレイを持ったPちゃんが僕を睨みつけていた。
「え? いや……これはだな……」
「まったく、エッチなんだから……」
酷い言われようだ。
いや、これも虫除けプログラムのせいなのか?
Pちゃんはそのまま女子達の方へ歩いて行く。
「みなさん。冷えたジュースをお持ちしました」
「わあ! ありがとうメイドさん」「ありがとう。Pちゃん」
それぞれが紙カップを受け取った後、Pちゃんはミールに声をかける。
「それはそうと、ミールさん。もう少し大人しい水着にしませんか?」
ちなみにミールが着けているビキニのような水着は、普段からナーモ族が使っている物らしい。尻尾を出す穴も空いている。
「この水着のどこがいけないのですか?」
「ご主人様がさっきから、エッチな目でミールさんを見ています」
う……嘘を付くな! 見てないぞ! チラっとは見たが……ガン見はしていない。
「ええ! お兄ちゃんのエッチ! あたしもエッチな目で見られていたの?」
いや、ミク。おまえのまな板胸で、それはないから……
「P0371。失礼な事を言ってはいけません。北村さんは矢部さんと違います。女の子の嫌がるような事はしません」
芽衣ちゃん、君だけは分かってくれるんだな。てか、なんでスクール水着? いや、コアなファンはいるけど……
「申し訳ありません。芽衣様」
「そうですよ。Pちゃん。それにあたしはカイトさんに見られているのではありません。見せつけて、悩殺しているのです」
あのねえ……
「ミールさん。その水着で北村さんを悩殺するのは、ちょっと難しいかもしれませんよ」
「どうしてですか? 芽衣さん。あたしのこの絶妙のプロポーションで、悩殺できない殿方などいるわけありません」
「ですけど、その水着姿って、ミールさんの分身体が戦闘モードになった時の姿とあんまり変わらないのではないかと……」
というより、戦闘モードのときのビキニアーマーの方がエロい。
「は! しまった! 日頃から見せつけていたから、今さらカイトさんには効果なかったのですね」
まあ、確かに見慣れてしまっていたが……
前回と違って、今回は港を出るとすぐに浮上して水上航行に入った。
「あのう……こんなにノンビリしていて、いいのでしょうか?」
ミーチャが不安そうに言ったのは、昼近くになって《海龍》甲板上での事。日の光を凹面鏡で集めてレットドラゴンの肉を炙っている僕の背後から声をかけてきたのだ。
ちなみにこの肉は、塩湖から持ってきた最後の一かけら。
出陣祝いの景気づけにと思って出してきた。
「大丈夫だよ。ミーチャ。お昼ご飯までに焼けるから。ガスや電気で焼くより、日の光で焼いた方が美味いんだぞ」
「いえ……僕が言いたいのは、お肉の焼け具合ではなくて……これから、戦いに出かけると言うのに、こんなにノンビリしていていいのですか? という事なのですけど」
ミーチャの指差す先の甲板上にはサマーベッドが並び、ミール、ミク、キラ、芽衣ちゃんが水着姿で寝そべり、日光浴をしていた。
さすがにPちゃんは、アンドロイドなのでそんな事はしていないが……
「ロータス到着は明日になるし、今から緊張していてもしょうがない。今のうちに英気を養っておくのさ」
「でも、休むなら潜水艦の中でもいいじゃないですか。こんな無防備な状態で、もし帝国軍の残党に襲撃されたら……」
「大丈夫だよ」
僕は空を指差した。
「目には見えていないけど、上空ではドローンが警戒しているんだ」
「で……でも……」
ミーチャは妙にモジモジしていた。
ん? 顔が赤いぞ。どうしたのだ?
「せ……せめて服ぐらい着ても……」
着ているだろ? 水着を……いや……ミーチャに、水着ギャルは刺激が強すぎたかな?
確かに、中高生の頃の僕なら水着ギャルが並んでいる光景なんか見ると、目のやり場に困って赤面していたかも……
「ご主人様。なにミールさん達をジロジロ見ているのですか?」
ギク!
背後を振り向くと、トレイを持ったPちゃんが僕を睨みつけていた。
「え? いや……これはだな……」
「まったく、エッチなんだから……」
酷い言われようだ。
いや、これも虫除けプログラムのせいなのか?
Pちゃんはそのまま女子達の方へ歩いて行く。
「みなさん。冷えたジュースをお持ちしました」
「わあ! ありがとうメイドさん」「ありがとう。Pちゃん」
それぞれが紙カップを受け取った後、Pちゃんはミールに声をかける。
「それはそうと、ミールさん。もう少し大人しい水着にしませんか?」
ちなみにミールが着けているビキニのような水着は、普段からナーモ族が使っている物らしい。尻尾を出す穴も空いている。
「この水着のどこがいけないのですか?」
「ご主人様がさっきから、エッチな目でミールさんを見ています」
う……嘘を付くな! 見てないぞ! チラっとは見たが……ガン見はしていない。
「ええ! お兄ちゃんのエッチ! あたしもエッチな目で見られていたの?」
いや、ミク。おまえのまな板胸で、それはないから……
「P0371。失礼な事を言ってはいけません。北村さんは矢部さんと違います。女の子の嫌がるような事はしません」
芽衣ちゃん、君だけは分かってくれるんだな。てか、なんでスクール水着? いや、コアなファンはいるけど……
「申し訳ありません。芽衣様」
「そうですよ。Pちゃん。それにあたしはカイトさんに見られているのではありません。見せつけて、悩殺しているのです」
あのねえ……
「ミールさん。その水着で北村さんを悩殺するのは、ちょっと難しいかもしれませんよ」
「どうしてですか? 芽衣さん。あたしのこの絶妙のプロポーションで、悩殺できない殿方などいるわけありません」
「ですけど、その水着姿って、ミールさんの分身体が戦闘モードになった時の姿とあんまり変わらないのではないかと……」
というより、戦闘モードのときのビキニアーマーの方がエロい。
「は! しまった! 日頃から見せつけていたから、今さらカイトさんには効果なかったのですね」
まあ、確かに見慣れてしまっていたが……
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。
暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。
銀河戦国記ノヴァルナ 第1章:天駆ける風雲児
潮崎 晶
SF
数多の星大名が覇権を目指し、群雄割拠する混迷のシグシーマ銀河系。
その中で、宙域国家オ・ワーリに生まれたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、何を思い、何を掴み取る事が出来るのか。
日本の戦国時代をベースにした、架空の銀河が舞台の、宇宙艦隊やら、人型機動兵器やらの宇宙戦記SF、いわゆるスペースオペラです。
主人公は織田信長をモデルにし、その生涯を独自設定でアレンジして、オリジナルストーリーを加えてみました。
史実では男性だったキャラが女性になってたり、世代も改変してたり、そのうえ理系知識が苦手な筆者の書いた適当な作品ですので、歴史的・科学的に真面目なご指摘は勘弁いただいて(笑)、軽い気持ちで読んでやって下さい。
大事なのは勢いとノリ!あと読者さんの脳内補完!(笑)
※本作品は他サイト様にても公開させて頂いております。

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
銀河太平記
武者走走九郎or大橋むつお
SF
いまから二百年の未来。
前世紀から移住の始まった火星は地球のしがらみから離れようとしていた。火星の中緯度カルディア平原の大半を領域とする扶桑公国は国民の大半が日本からの移民で構成されていて、臣籍降下した扶桑宮が征夷大将軍として幕府を開いていた。
その扶桑幕府も代を重ねて五代目になろうとしている。
折しも地球では二千年紀に入って三度目のグローバリズムが破綻して、東アジア発の動乱期に入ろうとしている。
火星と地球を舞台として、銀河規模の争乱の時代が始まろうとしている。
琥珀と二人の怪獣王 建国の怪獣聖書
なべのすけ
SF
琥珀と二人の怪獣王の続編登場!
前作から数か月後、蘭と秀人、ゴリアスは自分たちがしてしまった事に対する、それぞれの償いをしていた。その中で、古代日本を研究している一人の女子大生と三人は出会うが、北方領土の火山内から、巨大怪獣が現れて北海道に上陸する!戦いの中で、三人は日本国の隠された真実を知ることになる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる