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第十一章

レムとの邂逅(天竜過去編)

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 いつもなら一分ほどで五感は回復していた。しかし、今回は何か違うみたいだ。
 いつまで待っても、感覚は戻って来ない。ただ、音のない暗闇の中を、痛みを感じる事もなく、熱さも寒さもなく、味も臭いも感じない状態で僕は漂っていた。

 《朱雀》で何かあったのだろうか? BMIに何か不具合があって、僕のリンクが解除されないのか?

 そんな不安が脳裏を過った時、闇の中に何かがいるのに気が付いた。

 目に見えない。触れる事も出来ない。だけど、そいつがそこにいるという事は分かった。

 一つだけ分かるのは、そいつが邪悪な存在だという事。

『邪悪とは酷いな』

 え!? 声? 

『声ではない。君の脳に直接情報を送り込んでいる』

 それって……所謂テレパシー?

『そうなのかもしれないし、違うかもしれない。そもそも昔から言うテレパシーという能力が、どのよう原理で起きているのか分からないので答えかねるのだ。ただ、人間の脳には元々、他人の脳と情報を直接やり取りする通信機能がある。その機能を発見したのは私ではないが、私はその機能を目覚めさせる事に成功した。その脳間通信機能が果たしてテレパシーなのかは私には分からない』

 そうなの? でも、どうして僕の機能が今になって目覚めたの?

『何らかの刺激で機能を目覚めさせる事は決して珍しいことではない。ただ、たいていの場合、機能はすぐに停止する。君が私とリンクしたのは一時的な事だ。すぐに切断される』

 そうなの?

『君はどうやら、BMIを使っていたようだな。その刺激で脳間通信機能が一時的に活性化したようだ』

 そうなの? BMIを使うと、みんなそうなっちゃうの?

『誰でも、というわけではない。君は元々機能が目覚めやすいようだ。他人と同じ夢を見たと言う経験はないかね?』

 それって! アーニャと同じ夢を見たのはこのせい?

『なるほど。あの娘と繋がったのか』

 アーニャを知っているの?

『知っているさ。私の元を逃げ出した、忌々しい小娘だ』

 アーニャが逃げ出した!? という事は……お前は!?

『そうそう。自己紹介が遅れたね。私の名はレム。先ほどまで君が戦っていた相手だよ』

 やはりそうか。

 レムというのはあんただな? なんでこんな酷い事をする?

『酷いのはそっちだ。私がせっかく作った月面基地を台無しにしてくれな』

 先に攻撃してきたのはそっちだろ。そもそもレム! あんたいったい何者なんだ!? 人間なのか? AIなのか?

『かつては私も人だった。人であった時のフルネームはレム・ベルキナだ』

 レム・ベルキナ! それってブレンインレターの発明者!
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