352 / 828
第十一章
大自然の力?(天竜過去編)
しおりを挟む
大自然て? 柳 魅音は何を言いたいのだ? こんな空気も水も無い月面で……
彼女はさらに話を続けた。
「今、私達は月の夜の側にいます。でも、もうすぐ夜明けです」
夜明け? それが何か……そうか!
「月噴水を利用するの!?」
「はい。章君、よく分かりましたね」
月面では、太陽光の当たる昼の部分と当たらない夜の部分の境目では常に砂嵐が起きている。大気のない月で砂嵐などあるはずないと思うかもしれないが、月面の昼と夜の境界面では、静電気によってレゴリスが舞い上がる現象が起きているのだ。この砂嵐は、月噴水、または地平線光と呼ばれている。
つまり柳 魅音の作戦はその砂嵐に紛れて攻撃しようというのだ。
「だけど、レゴリスの砂嵐で、レーザーを遮れるかしら?」
アーニャの心配はもっともだな。
それなら、実験してみればいい。ここから東へ移動すれば昼と夜の境目、明暗境界線があるはず。そこでは常に砂嵐が起きているはずだ。
その砂嵐の中でレーザーを照射してみれば、実際にどの程度威力が落ちるか確認できる。
効果があるなら、僕達は砂嵐と一緒に移動してここを攻撃すればいい。
それに、これなら太陽を背にして戦える。
その事を提案すると……
「いいと思うけど、ここを空にしない方がいいと思うな」
そう言ったのは馬 美玲。
「敵は、ここに私達が来ている事はもう気が付いていると思う。その私達がいつまでも攻撃してこないでいると、東へ移動して攻撃してくる事に気づかれるかもしれないわ」
なるほど……
「その場合、月面車なり宇宙機なり、移動できる攻撃手段で、背後に回り込まれる危険がある。だから、一人か二人はここに残って、山の稜線から牽制攻撃をかけ続けていた方がいいと私は思うわ。まあ、敵に宇宙機や月面車が残っているか分からないけど」
アーニャは少し考えてから答えた。
「確かに、敵に宇宙機や月面車がないと考える方が甘いわね。私達が東へ移動した事に気が付いたら、絶対背後に回り込まれる。馬 美玲さん、柳 魅音さん。あなた達は、ここに残って牽制攻撃をかけてもらっていいかしら?」
「もちろん、自分で言いだしたことだし」「牽制役は、私たちにまかせて下さい」
「白龍君と趙 麗華さんは、私と一緒に東に回って攻撃に回ってもらっていいかしら?」
僕はもちろんOK。趙 麗華は……
「私も……攻撃側でいいの?」
「もちろんよ。それとも、私と一緒に行動するのは嫌かしら?」
「べ……別に嫌じゃないわよ。アーニャが私と行動したいなら、付き合ってあげるわよ」
「よかった。私、あなたとは友達になりたいと思っていたの」
「そ……そうなの? 私は……アーニャとはもう、友達のつもりでいたわよ」
こうして僕達三人は東に向かって飛び立った。
彼女はさらに話を続けた。
「今、私達は月の夜の側にいます。でも、もうすぐ夜明けです」
夜明け? それが何か……そうか!
「月噴水を利用するの!?」
「はい。章君、よく分かりましたね」
月面では、太陽光の当たる昼の部分と当たらない夜の部分の境目では常に砂嵐が起きている。大気のない月で砂嵐などあるはずないと思うかもしれないが、月面の昼と夜の境界面では、静電気によってレゴリスが舞い上がる現象が起きているのだ。この砂嵐は、月噴水、または地平線光と呼ばれている。
つまり柳 魅音の作戦はその砂嵐に紛れて攻撃しようというのだ。
「だけど、レゴリスの砂嵐で、レーザーを遮れるかしら?」
アーニャの心配はもっともだな。
それなら、実験してみればいい。ここから東へ移動すれば昼と夜の境目、明暗境界線があるはず。そこでは常に砂嵐が起きているはずだ。
その砂嵐の中でレーザーを照射してみれば、実際にどの程度威力が落ちるか確認できる。
効果があるなら、僕達は砂嵐と一緒に移動してここを攻撃すればいい。
それに、これなら太陽を背にして戦える。
その事を提案すると……
「いいと思うけど、ここを空にしない方がいいと思うな」
そう言ったのは馬 美玲。
「敵は、ここに私達が来ている事はもう気が付いていると思う。その私達がいつまでも攻撃してこないでいると、東へ移動して攻撃してくる事に気づかれるかもしれないわ」
なるほど……
「その場合、月面車なり宇宙機なり、移動できる攻撃手段で、背後に回り込まれる危険がある。だから、一人か二人はここに残って、山の稜線から牽制攻撃をかけ続けていた方がいいと私は思うわ。まあ、敵に宇宙機や月面車が残っているか分からないけど」
アーニャは少し考えてから答えた。
「確かに、敵に宇宙機や月面車がないと考える方が甘いわね。私達が東へ移動した事に気が付いたら、絶対背後に回り込まれる。馬 美玲さん、柳 魅音さん。あなた達は、ここに残って牽制攻撃をかけてもらっていいかしら?」
「もちろん、自分で言いだしたことだし」「牽制役は、私たちにまかせて下さい」
「白龍君と趙 麗華さんは、私と一緒に東に回って攻撃に回ってもらっていいかしら?」
僕はもちろんOK。趙 麗華は……
「私も……攻撃側でいいの?」
「もちろんよ。それとも、私と一緒に行動するのは嫌かしら?」
「べ……別に嫌じゃないわよ。アーニャが私と行動したいなら、付き合ってあげるわよ」
「よかった。私、あなたとは友達になりたいと思っていたの」
「そ……そうなの? 私は……アーニャとはもう、友達のつもりでいたわよ」
こうして僕達三人は東に向かって飛び立った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
142
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる