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第十一章
180秒制限(天竜過去編)
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リンクを切ってから、身体の感覚が戻るまで一分ほどかかる。しかし、今の僕にはその一分が一時間に感じられた。
ようやく、感覚が戻った僕は予備機とリンクしようとしたが……
『【警告】BMIの連続使用は危険です。180秒お待ち下さい』
コントローラーの画面に警告メッセージが表示された。
「クソ」
感覚が戻るまでの一分は含まれないみたいだ。カウントダウンは現在170秒。
「緊急事態だ。今すぐ繋いでくれ」
『認められません』
「人命に関わることだ」
『この警告は、あなたの生命を守るためのものです』
待つしかないのか……待てよ。僕がBMIの連続使用しているとコンピューターに分かるのは、同じ機械を使っているからじゃないだろうか?
このGシートから離れて、別のシートからBMIに接続すれば……
僕はGシートから起き上がった。
左のGシートでは王がBMIに接続して死んだように眠っている。右のシートではアーニャが……
その向こうでは……ん?
柳 魅音が使っているのGシートには、透明なカバーがかかっている。その隣で趙 麗華のシートにも……
なんだろう?
コントローラーのヘルプ機能で調べると、BMI使用中のオペレーターを守るための防護カバーだそうだ。たいして重要な機能じゃないので、揚さんも説明を忘れたのだろう。
二人は自力で、この機能に気がついたのだな。
おっと! それどころじゃない。
趙のシートの向こうに、予備のシートがあった。
この予備シートからBMIに接続すれば、僕が連続使用した事はコンピューターにばれないで接続できるかもしれない。
さっそく、予備のGシートに横になった。しかし……
『章 白龍 後、85秒お待ちください』
あかん! 個人を識別できるのか。
「白龍君。なぜ予備のシートを使うの?」
声の方を見ると、操縦室の扉から揚さんが出てくるところだった。
「揚さん。その……」
「三分が待ち切れなくて、他の機械から接続しようとしたのかしら?」
「なんで分かったんです?」
「馬鹿ね。そんな事をして、君が死んだり廃人になったりしたら、どれだけの人が悲しむと思っているの?」
「さあ? いないんじゃないかな? 悲しむ人なんて」
う! 揚さんが急に怒りの形相を浮かべた。
逃げなきゃ……あかん。襟首を掴まれた。殴られる!
と、警戒していたら抱きしめられた。
拍子抜け。てか、巨乳に顔が埋まっているんですけど!
「楊さん……あの……」
「君が死んだら、私が悲しい」
え?
「白龍君。私を悲しませないで」
「揚さん……」
「私だけじゃない。アーニャだって悲しむ。朱雀隊のみんなも悲しむ。そして六年後に《イサナ》が到着した時、君が死んだと知ったら、ミクちゃんも悲しむ」
「ミクちゃんが……僕のこと、覚えてくれているかな?」
「私があの娘なら、絶対忘れない。こんな美少年から、あんな素敵なプロポーズをされたんだ。忘れるわけがない。今頃ふった事を後悔しているかもしれないぞ」
「揚さん。僕、美少年じゃないよ」
「まあ、いい。とにかく、君が死んだら悲しむ人がいる事は覚えておいて。だから、命を粗末にするような事はしないで」
「うん。ごめんなさい。揚さん」
揚さんが僕を手放した。
「さあ、三分経った。行っておいで。君が悲しまないために……」
僕は予備機にリンクした。
ようやく、感覚が戻った僕は予備機とリンクしようとしたが……
『【警告】BMIの連続使用は危険です。180秒お待ち下さい』
コントローラーの画面に警告メッセージが表示された。
「クソ」
感覚が戻るまでの一分は含まれないみたいだ。カウントダウンは現在170秒。
「緊急事態だ。今すぐ繋いでくれ」
『認められません』
「人命に関わることだ」
『この警告は、あなたの生命を守るためのものです』
待つしかないのか……待てよ。僕がBMIの連続使用しているとコンピューターに分かるのは、同じ機械を使っているからじゃないだろうか?
このGシートから離れて、別のシートからBMIに接続すれば……
僕はGシートから起き上がった。
左のGシートでは王がBMIに接続して死んだように眠っている。右のシートではアーニャが……
その向こうでは……ん?
柳 魅音が使っているのGシートには、透明なカバーがかかっている。その隣で趙 麗華のシートにも……
なんだろう?
コントローラーのヘルプ機能で調べると、BMI使用中のオペレーターを守るための防護カバーだそうだ。たいして重要な機能じゃないので、揚さんも説明を忘れたのだろう。
二人は自力で、この機能に気がついたのだな。
おっと! それどころじゃない。
趙のシートの向こうに、予備のシートがあった。
この予備シートからBMIに接続すれば、僕が連続使用した事はコンピューターにばれないで接続できるかもしれない。
さっそく、予備のGシートに横になった。しかし……
『章 白龍 後、85秒お待ちください』
あかん! 個人を識別できるのか。
「白龍君。なぜ予備のシートを使うの?」
声の方を見ると、操縦室の扉から揚さんが出てくるところだった。
「揚さん。その……」
「三分が待ち切れなくて、他の機械から接続しようとしたのかしら?」
「なんで分かったんです?」
「馬鹿ね。そんな事をして、君が死んだり廃人になったりしたら、どれだけの人が悲しむと思っているの?」
「さあ? いないんじゃないかな? 悲しむ人なんて」
う! 揚さんが急に怒りの形相を浮かべた。
逃げなきゃ……あかん。襟首を掴まれた。殴られる!
と、警戒していたら抱きしめられた。
拍子抜け。てか、巨乳に顔が埋まっているんですけど!
「楊さん……あの……」
「君が死んだら、私が悲しい」
え?
「白龍君。私を悲しませないで」
「揚さん……」
「私だけじゃない。アーニャだって悲しむ。朱雀隊のみんなも悲しむ。そして六年後に《イサナ》が到着した時、君が死んだと知ったら、ミクちゃんも悲しむ」
「ミクちゃんが……僕のこと、覚えてくれているかな?」
「私があの娘なら、絶対忘れない。こんな美少年から、あんな素敵なプロポーズをされたんだ。忘れるわけがない。今頃ふった事を後悔しているかもしれないぞ」
「揚さん。僕、美少年じゃないよ」
「まあ、いい。とにかく、君が死んだら悲しむ人がいる事は覚えておいて。だから、命を粗末にするような事はしないで」
「うん。ごめんなさい。揚さん」
揚さんが僕を手放した。
「さあ、三分経った。行っておいで。君が悲しまないために……」
僕は予備機にリンクした。
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