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第十一章
夢の中の少女(天竜過去編)
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「助けて!」
暗闇の中で、女の子の声……
何があったのだろう?
とにかく、助けなきゃ……
僕は声の聞こえた方へ向かった。
「助けて! 奴がやってくる」
奴? 奴って?
突然、周囲が明るくなる。
白人の女の子が、僕の方へ駆けてくる。
女の子と言っても、僕より年上。十五~六ぐらいだろうか?
女の子は僕の背後に隠れて、背中にしがみつく。
「助けて! 奴が来る!」
「奴って?」
「みんな、奴に飲み込まれた」
飲み込まれた? ていうか、それじゃあ、答えになっていないよ。
と言おうとした時、奴が現れた。
奴には形が無かった。ただ黒くて巨大な何か。ただ、僕には分かった。奴は恐ろしい存在と……
奴が襲いかかって来る。圧倒的な強さに、僕は地面に押し倒された。
奴はそのままに僕にのしかかってくる。
重い!
何か柔らかいものに顔が覆われた。
息ができない。苦しい! しかし、なぜか暖かくて気持ちいい。
目を開いた。あれ? なんだ夢か?
しかし、夢だと分かったけど、重くて息が苦しいのはなぜ?
「おはよう。白龍君」
重いはずだ。揚さんが僕の上にのしかかっているのだから。ていうか、顔を覆っている温かくて柔らかい物って……うわ! ヤバイ!
「モガモガ」
「ああ、ごめん。息ができなかったか」
楊さんは半身を起こしたので、巨乳からは解放されたが……もう少し味わっていたかったような……
僕のいる場所は観測ドームだった。
そういえば、昨夜の宴会の後、シャトルに帰った覚えがない。
そのまま雑魚寝してしまったのか。それはいいとして……
「なんで、揚さんが僕の上いるのですか?」
「それが分からないから、困っている。昨夜飲み過ぎてそのまま寝てしまい、目が覚めたら君の上にいた」
「なんで?」
「うつ伏せに寝ている私の下に、君が潜り込んだのか?」
「んなわけない」
「いやまて……記憶が戻ってきた。昨夜は、ほろ酔い気分で過ごしていたのだが……」
訂正 ほろ酔い × 泥酔 ○
「ふと、白龍君を見ると、床で眠り込んでいるではないか。風邪をひいてはいけないので、何かかけてやろうと思ったのだが、適当なものが見あたらない。そこで私が身を挺して君の毛布になったのだ」
あのねえ……
「それはどうも」
「どうだ。温かかったかい? 私は……」
「そりゃあ……もお……」
「なぜ目をそらす?」
そんなの、恥ずかしいからに決まっているだろ!
「む! もしかして」
「なんですか?」
「私の事を重いとか思っているのか?」
「思っていません」
「そうか。ひょっとして私の体重で君が潰れてしまうのではないかと心配していたのだが、杞憂だったようだな。では、もうしばらく君の毛布になっていてあげよう」
「いえ、いいです! もう起きるので」
これ以上やっていたら、R18になっちゃうでしょ……
「ん? なんだ? あれは」
僕から離れた楊さんが、不意に上を指差した。
「え?」
つられて、僕も上を見上げる。透明なドームの向こう……つまり、宇宙空間で光が瞬いていた。
暗闇の中で、女の子の声……
何があったのだろう?
とにかく、助けなきゃ……
僕は声の聞こえた方へ向かった。
「助けて! 奴がやってくる」
奴? 奴って?
突然、周囲が明るくなる。
白人の女の子が、僕の方へ駆けてくる。
女の子と言っても、僕より年上。十五~六ぐらいだろうか?
女の子は僕の背後に隠れて、背中にしがみつく。
「助けて! 奴が来る!」
「奴って?」
「みんな、奴に飲み込まれた」
飲み込まれた? ていうか、それじゃあ、答えになっていないよ。
と言おうとした時、奴が現れた。
奴には形が無かった。ただ黒くて巨大な何か。ただ、僕には分かった。奴は恐ろしい存在と……
奴が襲いかかって来る。圧倒的な強さに、僕は地面に押し倒された。
奴はそのままに僕にのしかかってくる。
重い!
何か柔らかいものに顔が覆われた。
息ができない。苦しい! しかし、なぜか暖かくて気持ちいい。
目を開いた。あれ? なんだ夢か?
しかし、夢だと分かったけど、重くて息が苦しいのはなぜ?
「おはよう。白龍君」
重いはずだ。揚さんが僕の上にのしかかっているのだから。ていうか、顔を覆っている温かくて柔らかい物って……うわ! ヤバイ!
「モガモガ」
「ああ、ごめん。息ができなかったか」
楊さんは半身を起こしたので、巨乳からは解放されたが……もう少し味わっていたかったような……
僕のいる場所は観測ドームだった。
そういえば、昨夜の宴会の後、シャトルに帰った覚えがない。
そのまま雑魚寝してしまったのか。それはいいとして……
「なんで、揚さんが僕の上いるのですか?」
「それが分からないから、困っている。昨夜飲み過ぎてそのまま寝てしまい、目が覚めたら君の上にいた」
「なんで?」
「うつ伏せに寝ている私の下に、君が潜り込んだのか?」
「んなわけない」
「いやまて……記憶が戻ってきた。昨夜は、ほろ酔い気分で過ごしていたのだが……」
訂正 ほろ酔い × 泥酔 ○
「ふと、白龍君を見ると、床で眠り込んでいるではないか。風邪をひいてはいけないので、何かかけてやろうと思ったのだが、適当なものが見あたらない。そこで私が身を挺して君の毛布になったのだ」
あのねえ……
「それはどうも」
「どうだ。温かかったかい? 私は……」
「そりゃあ……もお……」
「なぜ目をそらす?」
そんなの、恥ずかしいからに決まっているだろ!
「む! もしかして」
「なんですか?」
「私の事を重いとか思っているのか?」
「思っていません」
「そうか。ひょっとして私の体重で君が潰れてしまうのではないかと心配していたのだが、杞憂だったようだな。では、もうしばらく君の毛布になっていてあげよう」
「いえ、いいです! もう起きるので」
これ以上やっていたら、R18になっちゃうでしょ……
「ん? なんだ? あれは」
僕から離れた楊さんが、不意に上を指差した。
「え?」
つられて、僕も上を見上げる。透明なドームの向こう……つまり、宇宙空間で光が瞬いていた。
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