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第十章

人工知能ロンロン 

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 潜水艦というと狭いというイメージが強いが、この潜水艦《水龍》も多分に漏れず狭かった。
 それでも何とか、外部電源を外さないままロボットスーツごと乗船できたが、その後で、ミールとミクが乗り込むと満員だ。
 
「潜水艦の操縦だけど、レイホーさん一人で大丈夫なの?」

 僕の質問に操縦席のレイホーが振り向く。

「大丈夫ね。この潜水艦、ほとんど自動化されているから」

 レイホーは、そこで時計に目をやった。

「出航は十分後ね。指令室の人達と話すなら今のうちね。水中に潜ったら電波封鎖するから」

 ロボットスーツの通信機を中継してもらって、司令部とつないだ。

 出たのは、香子。

『海斗。くれぐれも無茶はしないでね。必ず、生きて帰るのよ』

 心配してくれるのは嬉しいのだけどね……いや、前の僕が心配かけ過ぎたのだな。

 Pちゃんが通信を変わった。

『ご主人様。私がいないからって、ミールさんと羽目を外さないで下さいね』

 ミクと芽依ちゃんに見られているのに、どうやって羽目を外すんだ。

 他愛のない通信ばかりで、たちまち十分が経過した。

 音は伝わってこないが、上ではレールキャノンが発射されたはず。

 艦隊を直接狙った砲弾と、少し外れた地点を狙った砲弾を撃ち出す手はずになっていた。
 艦隊を狙った砲弾はレーザーで撃墜されるだろう。外した砲弾は、無視される。
 その砲弾が、運河に着弾のする時間に合わせて、潜水艦は出航した。

 砲撃は、ハッチが開く音を着弾音で誤魔化すだめだったのだ。

「水の中って、もっとロマンチックな世界と思っていたけど、なんかイメージと全然違いますね」

 ミールは不満そうだ。

「ミール。どんなイメージしていたの?」
「水中に潜ると言うから、お魚さんが泳いでいる光景が見られるものかと思っていましたが、この船って窓がないし」
「観光用の潜水艦なら、窓があるのだけどね。これは軍事用だから」
「でも、窓がないのに、どうやって敵を見つけるのですか?」
「音を使うんだよ」
「音?」
「水中を伝わってくる音で、敵の位置を確認して攻撃するんだ」
「音で敵を見つけるのですか? でも、敵が音を出さなかったらどうするんです?」
「その時は、こっちからピンガーという音波を出して、跳ね返ってくる音で敵を見つけるんだよ」
「でも、そんな事したら、こっちが見つかるじゃないですか?」
「そう。だからピンガーはいざと言う時しか使わない」
「海斗さんがいつも使っている、レーダーは使えないのですか?」
「レーダーに使っているマイクロ波は、水に吸収されやすい。だから、水中でレーダーは使えないのさ」
「そうなのですか」

 と、ミールに説明したものの僕の解説はあっているだろうか? この知識は沈○の艦○で得た知識だし……

「レイホーさん。僕の説明は間違っていないかな?」
「さあ、私もあまり詳しくないし」
「詳しくないって? 今はレイホーさんが、この潜水艦を動かしているのだろ?」
「いや、動かしているのはこの子」

 レイホーが機器を操作すると、正面のモニターに映像が映った。

『こんにちは。僕ロンロンと言います』

 モニターに現れた龍のようなキャラが挨拶する。

『僕はこの潜水艦を動かしている人工知能AIです。どうぞ、よろしく』 
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