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第八章
どちらを選ぶか?
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プリンターをシェルターの電源に繋いでナノマシーンの製造を開始した。製造終了には、四時間近く掛かるらしい。
プリンターの作業を待つ間に、僕達はシェルター内にあるラウンジのような部屋に案内され、そこで作業終了を待つことになったのだ。
「あの……」
居心地悪そうに、ミーチャが僕の前に立ってモジモジしている。
「僕は……いつまで、こんな恰好していなくちゃいけないのでしょうか?」
青いワンピースを纏ったミーチャのその姿は、どう見ても美少女……でも、男だ。
「しょうがないだろ。帝国軍の軍服で、いらぬ誤解を招きたくないからな」
「でも……こんな服嫌です」
「なによ。あたしの服が、気に入らないの」
ちなみに、このワンピースはミクの服。
僕の服ではサイズがあわないし、プリンターで作ろうとしたが、プリンターは昨日からロボットスーツの交換部品作りで空きがない。そうしたらミクが『あたしの服貸してあげる』と言って、ミーチャにこのワンピースを着せたのだ。
「でも、僕は男ですよ」
「いいじゃない。可愛いんだから」
確かに可愛い……いかん! 男の娘趣味に目覚めそうだ。
「ミク。一応、聞くがジーパンは持っていなかったのか?」
「も……持っていないよ」
では、なぜ目線を逸らす。
ミクの背後で、香子がミクのリュックを探っていた。
「ミクちゃん。ジーパンあるじゃない」
「ちちい! 見つかったか」
残念そうに、舌打ちするミク。
ミーチャに着替えをさせてから、僕達はソファに腰かけ、僕がこの惑星に降りてから、ここに来るまでの経緯を香子に話した。
「そう。大変だったわね」
「でも、楽しかったよ」
「そう。それで、海斗。ミールさんの事は、どう思っているの?」
「え? ええっと……」
「初めて会った時に、一目ぼれでもしたの?」
「な! な! な! なにを……」
「そのリアクション見れば図星ね」
「ええっと……」
「別に私に遠慮することないわよ。それとも、私とミールさんに二股かけようとでも?」
「そ……そんな事は……ないぞ」
「どうかしら?」
「二股なんて、かけるつもりはないぞ! ただ、どっちも好きになってしまったから……あわわ!」
「とうとう白状したわね」
いかん! 口が滑った。
「つまり、海斗は私かミールさんか、まだ迷っているのよね」
「そう……なるのかな?」
「じゃあ、まだ私にもチャンスがあるということね」
「ちょっと待て! 僕のコピーを作るのでは?」
「作るわよ。でも、それには越えなきゃならないハードルがあるのよ」
「ハードル?」
「まず。カルカシェルターの人達からカートリッジを分けてもらう。これは簡単だと思うけど、次にそのカートリッジを、衛星軌道上の母船に届けなければならない」
「でも、それはそんな難しいことでは……」
「次に船長の許可を取らなきゃならない。そのためには」
香子はボールペンを取って僕に突き付けた。
「海斗に入れ墨を入れなきゃならない」
できればそれは遠慮したい。
「分かった。とにかく入れ墨の話は、衛星軌道にカートリッジを届けてから考えよう」
「問題を先送りにしただけじゃないの」
「いいだろ。しばらくしたら、僕も決心がつくかも知れないし……」
つかないかも知れないけど……
「それより、香子。シーバ城を脱出してから、今までどうしていたんだ?」
「そうか。まだ話していなかったわね」
そして、香子は経緯を話し始めた。
(第八章 終了)
プリンターの作業を待つ間に、僕達はシェルター内にあるラウンジのような部屋に案内され、そこで作業終了を待つことになったのだ。
「あの……」
居心地悪そうに、ミーチャが僕の前に立ってモジモジしている。
「僕は……いつまで、こんな恰好していなくちゃいけないのでしょうか?」
青いワンピースを纏ったミーチャのその姿は、どう見ても美少女……でも、男だ。
「しょうがないだろ。帝国軍の軍服で、いらぬ誤解を招きたくないからな」
「でも……こんな服嫌です」
「なによ。あたしの服が、気に入らないの」
ちなみに、このワンピースはミクの服。
僕の服ではサイズがあわないし、プリンターで作ろうとしたが、プリンターは昨日からロボットスーツの交換部品作りで空きがない。そうしたらミクが『あたしの服貸してあげる』と言って、ミーチャにこのワンピースを着せたのだ。
「でも、僕は男ですよ」
「いいじゃない。可愛いんだから」
確かに可愛い……いかん! 男の娘趣味に目覚めそうだ。
「ミク。一応、聞くがジーパンは持っていなかったのか?」
「も……持っていないよ」
では、なぜ目線を逸らす。
ミクの背後で、香子がミクのリュックを探っていた。
「ミクちゃん。ジーパンあるじゃない」
「ちちい! 見つかったか」
残念そうに、舌打ちするミク。
ミーチャに着替えをさせてから、僕達はソファに腰かけ、僕がこの惑星に降りてから、ここに来るまでの経緯を香子に話した。
「そう。大変だったわね」
「でも、楽しかったよ」
「そう。それで、海斗。ミールさんの事は、どう思っているの?」
「え? ええっと……」
「初めて会った時に、一目ぼれでもしたの?」
「な! な! な! なにを……」
「そのリアクション見れば図星ね」
「ええっと……」
「別に私に遠慮することないわよ。それとも、私とミールさんに二股かけようとでも?」
「そ……そんな事は……ないぞ」
「どうかしら?」
「二股なんて、かけるつもりはないぞ! ただ、どっちも好きになってしまったから……あわわ!」
「とうとう白状したわね」
いかん! 口が滑った。
「つまり、海斗は私かミールさんか、まだ迷っているのよね」
「そう……なるのかな?」
「じゃあ、まだ私にもチャンスがあるということね」
「ちょっと待て! 僕のコピーを作るのでは?」
「作るわよ。でも、それには越えなきゃならないハードルがあるのよ」
「ハードル?」
「まず。カルカシェルターの人達からカートリッジを分けてもらう。これは簡単だと思うけど、次にそのカートリッジを、衛星軌道上の母船に届けなければならない」
「でも、それはそんな難しいことでは……」
「次に船長の許可を取らなきゃならない。そのためには」
香子はボールペンを取って僕に突き付けた。
「海斗に入れ墨を入れなきゃならない」
できればそれは遠慮したい。
「分かった。とにかく入れ墨の話は、衛星軌道にカートリッジを届けてから考えよう」
「問題を先送りにしただけじゃないの」
「いいだろ。しばらくしたら、僕も決心がつくかも知れないし……」
つかないかも知れないけど……
「それより、香子。シーバ城を脱出してから、今までどうしていたんだ?」
「そうか。まだ話していなかったわね」
そして、香子は経緯を話し始めた。
(第八章 終了)
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