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第八章
誰か助けてくれ
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文句の一つも言いたかった。だけど……
「大変だったけど……案外楽しかったよ」
「楽しかった?」
「なんていうのかな、地球にいた頃の僕は生きながら死んでいたようだった。でも、この惑星では、生きている実感があるというのかな。とにかく、楽しかったよ。だから……ありがとう。香子」
「え?」
「君があのモニターバイトを紹介してくれたから、僕はこんな凄い体験ができた。最初は確かに戸惑ったけど、困惑したりもしたけど、今はこんなところへ連れてきてもらって感謝しているぐらいだ」
「嘘よ」
「え? なんで嘘だと?」
「海斗は優しいから……本当は辛いけど『楽しかった』なんて言っているんでしょ」
「な……何を言ってる? 僕は嘘なんかついてない」
「じゃあ、今の私の姿を見てどう思う?」
「え?」
「老けたと、思っているでしょ」
「そ……そんな事、思って……いないぞ」
「ほら、嘘ついた」
「嘘じゃない。香子は老けたのじゃなくて、やつれただけだよ。そんなの栄養ある物食べて、休養をとれば元通りに……」
「しょうがないでしょ。食欲がわかないのだから……でも、点滴でなんとかやっていけるわ」
「ダメだよ。点滴なんて。ちゃんと食べないと」
「うるさいわね。誰のせいで、そうなったと思っているのよ!」
「え?」
「海斗が死ぬからいけないんじゃないの! なんで死ぬのよ! 死なないって、約束したくせに……」
「それを、僕に言われても……」
「そうだったわね。生データの海斗に責任なんかない。君は、海斗とそっくりだけど、私の知っている海斗とはどこか違う」
「そうなの?」
「ねえ、知っている? 前の海斗は、私にプロポーズしたのよ」
「う……それは……知っているけど……」
「ちょっと待って下さい!」
突然、ミールが間に割り込んできた。
「ミールさん? どうかしたの? そういえば、なんで海斗とミールさんが一緒に行動しているの?」
「このカイトさんは、あたしと付き合っているのです」
「ええ!? 海斗! 本当なの?」
「え? いや……その……」
ああ! ヤバ……頭の中がパニックに……
「カトリさんと、前のカイトさんが婚約をしていた事は知っています。しかし、その人と今のカイトさんは別人です」
「知っているわよ。そのくらい。だから、別に以前の婚約を履行しろ、だなんて言わないわ。ミールさんこそ、付き合っているとは言っても、婚約したわけじゃないでしょ」
「いいえ、あたしはカイトさんからプロポーズされました」
ちょ……ま……婚約はしていないぞ!
香子は暫く、呆気にとられていた。
しばらくして、笑いだす。
「ふふふふふふふ。ミールさん。嘘はいけないわ」
「な……何を根拠に嘘と……」
「私と海斗は、子供の頃からの付き合いよ。海斗は自分から女の子に告れない甲斐性なしだって事は、よーく知っているわ」
エラい言われようだな。事実だが……
「何をバカな。そもそも、前のカイトさんは、カトリさんにプロポーズしたのでしょ?」
「海斗に『結婚して下さい』の一言を言わせるために、何年かかったと思っているのよ。この惑星に降りてから、海斗の意識改革に、私がどれだけ苦労したと思っているのよ」
意識改革されたんか? 前の僕は……
「ミールさんとは会って数ヶ月。海斗に、プロポーズなんかできるわけないわ」
「確かに、プロポーズされたというのは嘘です。でも、あたしはカイトさんとチューまでしたんですよ」
「それがなによ。あたしなんか一緒にお風呂に入ったのよ」
「どうせ、子供のころでしょ」
いかん! 逃げよう。
二人に気づかれないように、こっそりとその場を離れようとした時、突然右腕をガシッと掴まれた。
「どこへ行く? カイト殿」
「う! キラ」
「もちろんカイト殿は、お師匠を選ぶのだろう」
「ダメです。それはなりません」
Pちゃんが、僕の左腕をカジッと掴んだ。
「ご主人様は、香子様と結婚するために再生されたのです」
誰か助けてくれ!
「大変だったけど……案外楽しかったよ」
「楽しかった?」
「なんていうのかな、地球にいた頃の僕は生きながら死んでいたようだった。でも、この惑星では、生きている実感があるというのかな。とにかく、楽しかったよ。だから……ありがとう。香子」
「え?」
「君があのモニターバイトを紹介してくれたから、僕はこんな凄い体験ができた。最初は確かに戸惑ったけど、困惑したりもしたけど、今はこんなところへ連れてきてもらって感謝しているぐらいだ」
「嘘よ」
「え? なんで嘘だと?」
「海斗は優しいから……本当は辛いけど『楽しかった』なんて言っているんでしょ」
「な……何を言ってる? 僕は嘘なんかついてない」
「じゃあ、今の私の姿を見てどう思う?」
「え?」
「老けたと、思っているでしょ」
「そ……そんな事、思って……いないぞ」
「ほら、嘘ついた」
「嘘じゃない。香子は老けたのじゃなくて、やつれただけだよ。そんなの栄養ある物食べて、休養をとれば元通りに……」
「しょうがないでしょ。食欲がわかないのだから……でも、点滴でなんとかやっていけるわ」
「ダメだよ。点滴なんて。ちゃんと食べないと」
「うるさいわね。誰のせいで、そうなったと思っているのよ!」
「え?」
「海斗が死ぬからいけないんじゃないの! なんで死ぬのよ! 死なないって、約束したくせに……」
「それを、僕に言われても……」
「そうだったわね。生データの海斗に責任なんかない。君は、海斗とそっくりだけど、私の知っている海斗とはどこか違う」
「そうなの?」
「ねえ、知っている? 前の海斗は、私にプロポーズしたのよ」
「う……それは……知っているけど……」
「ちょっと待って下さい!」
突然、ミールが間に割り込んできた。
「ミールさん? どうかしたの? そういえば、なんで海斗とミールさんが一緒に行動しているの?」
「このカイトさんは、あたしと付き合っているのです」
「ええ!? 海斗! 本当なの?」
「え? いや……その……」
ああ! ヤバ……頭の中がパニックに……
「カトリさんと、前のカイトさんが婚約をしていた事は知っています。しかし、その人と今のカイトさんは別人です」
「知っているわよ。そのくらい。だから、別に以前の婚約を履行しろ、だなんて言わないわ。ミールさんこそ、付き合っているとは言っても、婚約したわけじゃないでしょ」
「いいえ、あたしはカイトさんからプロポーズされました」
ちょ……ま……婚約はしていないぞ!
香子は暫く、呆気にとられていた。
しばらくして、笑いだす。
「ふふふふふふふ。ミールさん。嘘はいけないわ」
「な……何を根拠に嘘と……」
「私と海斗は、子供の頃からの付き合いよ。海斗は自分から女の子に告れない甲斐性なしだって事は、よーく知っているわ」
エラい言われようだな。事実だが……
「何をバカな。そもそも、前のカイトさんは、カトリさんにプロポーズしたのでしょ?」
「海斗に『結婚して下さい』の一言を言わせるために、何年かかったと思っているのよ。この惑星に降りてから、海斗の意識改革に、私がどれだけ苦労したと思っているのよ」
意識改革されたんか? 前の僕は……
「ミールさんとは会って数ヶ月。海斗に、プロポーズなんかできるわけないわ」
「確かに、プロポーズされたというのは嘘です。でも、あたしはカイトさんとチューまでしたんですよ」
「それがなによ。あたしなんか一緒にお風呂に入ったのよ」
「どうせ、子供のころでしょ」
いかん! 逃げよう。
二人に気づかれないように、こっそりとその場を離れようとした時、突然右腕をガシッと掴まれた。
「どこへ行く? カイト殿」
「う! キラ」
「もちろんカイト殿は、お師匠を選ぶのだろう」
「ダメです。それはなりません」
Pちゃんが、僕の左腕をカジッと掴んだ。
「ご主人様は、香子様と結婚するために再生されたのです」
誰か助けてくれ!
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