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第五章 襲来
CFC襲来
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あたし達は猫達に別れを告げ、シャトルを飛び立たせた。
「サーシャ。状況は?」
「今のところ、開いたのは調査用ワームホール。とりあえず、第一波はキラー衛星が撃退したわ」
「そう」
「まあ、撃退したと言っても、なんも準備もしないでノコノコやってきた奴らだからね。次はそうは行かないでしょうね」
「そうね」
あたしは時計を見た。
《リゲタネル》の時空穿孔機が使えるまでまだ一時間かかる。
「せめて一時間、持ちこたえられないかしら?」
「それはCFC次第ね」
あたし達はワームホールまで帰りついた。
《リゲタネル》の操縦室に戻ると、メインディスプレイにプローブから送られてきたロシア側のワームホールが映っている。
円盤タイプが果敢にワームホール内部にレーザーを打ち込んでいる様子が映っていた。
第二波が来たんだ。
「慧。ちょっと一緒に来てくれる」
慧が振り向く。
「どこへ?」
「《オオトリ》よ。サーシャ、ちょっとここをお願い」
「いいわ」
あたしと慧は操縦室を離れた。
《オオトリ》と《リゲタネル》のそれぞれのエアロックを連結した通路を通り《オオトリ》のブリッジへ入る。
ブリッジの人達が一斉に振り向いた。
「あら、美陽ちゃん。どうかしたの?」
あたしは慧のお母さんの方を向く。
「全員を集めてください。皆さんにお話があります」
程なくして十名の乗組員が集まった。
みんな不安そうな表情を浮かべている。
正直、こんな事を話すのは辛い。でも黙っているわけにも……
あたしは意を決して口を開いた。
「先ほど、ロシア側のワームホールが開きました。今はキラー衛星が交戦中ですが、向こうの恒星系がCFCの手に落ちるのは時間の問題です。そこであたしはこのワームホールを閉じようと思います」
ブリッジ内に動揺が走った。
「でも安心してください。今はマーカーという装備があります。エキゾチック物質の細い棒です。これを挟んでおけばもう一度同じワームホールは開けます」
技師の一人が手を上げて発言を求めた。
「どうしても閉じなきゃ駄目なのか?」
「ワームホールが開いたままだと、いずれは発見されます。そうなるとカペラ恒星系まで奴らが入ってくるか、あるいはマーカーを挟まないままワームホールを破壊され、二度と開けなくなる恐れがあります。そうなる前にマーカーを挟んで閉じようと思います」
「そういう事じゃ仕方ないか」「奴らに入ってこられちゃたまらんしな」
「三名だけなら《リゲタネル》に乗せることができます。誰かあたし達と一緒に来たい人はいますか?」
乗組員達はしばらく話し合った。
これは言うべきじゃなかったかもしれない。
誰がこっちへ来るかで揉め事になるかもしれない。
本当言うと、慧のお母さんだけでも一緒に来て欲しいと思って言ってしまった。
このことで《オオトリ》の乗組員に亀裂ができなければいいが。
結局、誰も名乗り出る人はいなかった。
慧のお母さんがみんなの気持ちを代表して言う。
「美陽ちゃん。あなたの気持ちは嬉しいけど、私達は全員ここに残ります」
「本当にそれでいいんですか?」
「ええ。マーカーというのを入れておけば、またワームホールは開けるんですね?」
「ええ」
「それなら、私達はあなた達を信じて待ちます」
お母さんは慧の方を向く。
「必ず、お母さんを迎に来てね」
慧は頷いて答える。
あたし達は《オオトリ》の乗組員一人一人と握手を交わして別れを告げ《リゲタネル》に戻った。
「サーシャ。状況は?」
「今のところ、開いたのは調査用ワームホール。とりあえず、第一波はキラー衛星が撃退したわ」
「そう」
「まあ、撃退したと言っても、なんも準備もしないでノコノコやってきた奴らだからね。次はそうは行かないでしょうね」
「そうね」
あたしは時計を見た。
《リゲタネル》の時空穿孔機が使えるまでまだ一時間かかる。
「せめて一時間、持ちこたえられないかしら?」
「それはCFC次第ね」
あたし達はワームホールまで帰りついた。
《リゲタネル》の操縦室に戻ると、メインディスプレイにプローブから送られてきたロシア側のワームホールが映っている。
円盤タイプが果敢にワームホール内部にレーザーを打ち込んでいる様子が映っていた。
第二波が来たんだ。
「慧。ちょっと一緒に来てくれる」
慧が振り向く。
「どこへ?」
「《オオトリ》よ。サーシャ、ちょっとここをお願い」
「いいわ」
あたしと慧は操縦室を離れた。
《オオトリ》と《リゲタネル》のそれぞれのエアロックを連結した通路を通り《オオトリ》のブリッジへ入る。
ブリッジの人達が一斉に振り向いた。
「あら、美陽ちゃん。どうかしたの?」
あたしは慧のお母さんの方を向く。
「全員を集めてください。皆さんにお話があります」
程なくして十名の乗組員が集まった。
みんな不安そうな表情を浮かべている。
正直、こんな事を話すのは辛い。でも黙っているわけにも……
あたしは意を決して口を開いた。
「先ほど、ロシア側のワームホールが開きました。今はキラー衛星が交戦中ですが、向こうの恒星系がCFCの手に落ちるのは時間の問題です。そこであたしはこのワームホールを閉じようと思います」
ブリッジ内に動揺が走った。
「でも安心してください。今はマーカーという装備があります。エキゾチック物質の細い棒です。これを挟んでおけばもう一度同じワームホールは開けます」
技師の一人が手を上げて発言を求めた。
「どうしても閉じなきゃ駄目なのか?」
「ワームホールが開いたままだと、いずれは発見されます。そうなるとカペラ恒星系まで奴らが入ってくるか、あるいはマーカーを挟まないままワームホールを破壊され、二度と開けなくなる恐れがあります。そうなる前にマーカーを挟んで閉じようと思います」
「そういう事じゃ仕方ないか」「奴らに入ってこられちゃたまらんしな」
「三名だけなら《リゲタネル》に乗せることができます。誰かあたし達と一緒に来たい人はいますか?」
乗組員達はしばらく話し合った。
これは言うべきじゃなかったかもしれない。
誰がこっちへ来るかで揉め事になるかもしれない。
本当言うと、慧のお母さんだけでも一緒に来て欲しいと思って言ってしまった。
このことで《オオトリ》の乗組員に亀裂ができなければいいが。
結局、誰も名乗り出る人はいなかった。
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「美陽ちゃん。あなたの気持ちは嬉しいけど、私達は全員ここに残ります」
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「ええ。マーカーというのを入れておけば、またワームホールは開けるんですね?」
「ええ」
「それなら、私達はあなた達を信じて待ちます」
お母さんは慧の方を向く。
「必ず、お母さんを迎に来てね」
慧は頷いて答える。
あたし達は《オオトリ》の乗組員一人一人と握手を交わして別れを告げ《リゲタネル》に戻った。
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