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第四章 閉ざされた恒星系
宇宙ステーション
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「こちらは日本国宇宙省所属、工作船《リゲタネル》。私は船長の佐竹美陽です。第四惑星の方、いらっしゃいましたら応答願います」
通信機による呼びかけはすでに一時間続いていた。
しかし、応答はまったくない。
応答がないまま《リゲタネル》は第四惑星の宇宙ステーションに到着してしまった。
どうやら宇宙ステーションは長い間、無人だったらしい。
だが、AMS(自動整備システム)があったおかげでステーションの機能は失われていなかった。《リゲタネル》が近くまで来た事によって、サポートAIが休止状態から立ち上がり、あたし達をステーション内部に招き入れてくれたのだ。
「ううむ」
ステーションの制御ルームで教授がうなり声を上げる。
正面のディスプレイにはステーション内部の備品目録が表示されていた。(武器)という項目で検索をかけたのだが、表示されたのはピストルやスタンガン、警棒など警官が使っていたような携行武器ばかり。
あたし達が今必要としているのは対艦ミサイルや長射程レーザーであってこんな物ではない。
「まあ、武器そのものは最初から期待しとらんかった。もし、あるなら使わせてもらおうと思っただけじゃ。次は宇宙船で検索しよう」
その中に小型宇宙船があったら、それをミサイル代わりに使うというのが最初のプランだったのだ。ただし、二十G以上の加速性能を要求されるが。
「宇宙船はけっこうあるようじゃな」
「でもちょっと多すぎですね」
宇宙船で検索したところ、ランチや救命艇、緊急脱出ポッドや地上に降りるシャトルまでヒットしてしまった。
「条件を絞り込んでみるか。この中から輸送船、工作船で検索してみよう」
件数が一気に減った。
大型の工作船と貨物船が一隻ずつ。無人の貨物船が十五隻残った。
「これがよさそうじゃな」
教授が無人貨物船を指差す。
「しかし、なぜこんな物がここにあるんじゃ?」
「何か問題でも?」
「船長。これは小型貨物船だが、動力は対消滅エンジンじゃ。他の有人船は核融合エンジンだというのに」
「対消滅エンジンぐらい、そんなに珍しくはないと思いますが」
「対消滅エンジンの船があるという事は、それを運用するために、この恒星系のどこかに反物質の製造プラントがあるはずじゃ。まあ、たぶん太陽の近くだと思うが。このステーションにこれだけの多くの船があるという事は、そことの行き来に使われていたのだろう。だが、こんな開発が始まったばかりの殖民惑星で、なぜそんなものが必要だったのだ?」
その時、背後で扉が開く音がした。振り向くと、慧とサーシャが大きな箱を持って入ってくる。
二人には食料と水を調達してきてもらったのだが、喧嘩とかしてなかったらいいけど。
「これだけあれば、一週間は持つと思いますわ。でも、保存食ばかりだから味の保障はできませんわよ」
サーシャは箱の中身をあたしに見せる。
「あれ? この船」
慧はディスプレイに映っている工作船を指差す。
「懐かしいなあ。親父が昔宇宙省にいた頃に使っていた船だ」
「幾島君。お父さんが使っていたという事は、ワームホールの点検か何かに使う船かね?」
「先生、これは宇宙省の時空管工作船《オオトリ》です。今でも親父の部屋に、この船の写真が飾ってありますよ」
「なに!?」
教授はいったい何を驚いているんだろう!?
ちなみに時空管工作船というのは時空穿孔機が開いたワームホールに時空管を設置する作業する船の事だ。ここにそれがあったという事は、ここからもワームホールを開いていたってことなんだろう。
別に驚くほどのことではない思うけど。
「なぜだ? なんで日本の宇宙省はこんな不便な植民惑星に、わざわざワームホールステーションを作るんだ?」
ああ、そういう事か。
「別に日本に限りませんわ。そんな事ロシアだってやってますわよ」
サーシャはごく当たり前のように言う。
「もちろん米国だって中国だってユーロだってやってますわよ」
「なんのために?」
「だって、交通の便利なところにワームホールを開いたら、国連の査察官が来ちゃうじゃないですか」
あんまり、大っぴらに言えることじゃないけどね。
ようするにどの宇宙開発国も国連の査察官に見られたくない事をやっているので、査察官がなかなか来れないような辺鄙なところにワームホールステーションを作りたがるのだ。
いったい国連の査察官は何をしに来るかと言うと、宇宙開発国が『月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約』通称、宇宙条約を遵守しているかチェックしに来るのだ。
その宇宙条約、一九六七年に結ばれた当時からほとんど内容が変わっていない。
変わった事といえば地球外知的生命体に関する条文が加えられただけで、後はもう現状にまったく合わないものになっている。
例えば宇宙条約第二条では『月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない』となっている。
したがって、宇宙開発国はせっかく巨費を投じて有望な天体を見つけても、そこを領有する事はできないのだ。
現在はどうしているかというと、新しい天体を見つけた場合それをまず国連に申告しなければならない。
申告を受けた国連は天体を人類の共有財産として、発見国にはその天体の一割を信託統治する事を認めるのだ。
この第四惑星だって日本が発見したのに日本の領土ではない。開発初期だったので日本人しか入植していなかったが、ワームホールの圧壊がなければその後はアフリカの入植者を国連は送り込む予定だったらしい。
とにかく、せっかく苦労して見つけた天体なのに、拾った落し物程度の権利しか認められないのでは、そりゃあ宇宙開発国も面白くないわけだ。
だから宇宙開発国は、査察官が来れないようなところにワームホールステーションを作り、有望な天体は申告しないでこっそり開発したりしている。
そして国連の方も、それを薄々知っていながら黙認しているのが現状のようだ。
その事をあたしとサーシャは代わる代わる教授に説明したのだが、どうも教授は政治的センスが致命的に欠けているらしく理解できなかった。
「とにかくよく分からんが、日本の宇宙省がここにワームホールステーションを作ったという事は理解した」
どうやら理由は理解できないが、現実は受け入れてくれたみたいだ。
「しかし、ここに時空管工作船があるという事は、時空管もこのステーション内にあるのじゃないのか? もしあるとするなら使えるぞ」
そりゃあ、時空管ぐらいあるかもしれないけど、教授は、いったいそんなものなんに使う気かしら? この状況で役に立つとは……
いや、確かに使える。
《リゲタネル》でいきなりワームホールを抜けると、またキラー衛星の攻撃を受ける心配がある。あるいはCFCに占領されているまっただ中に出てしまう危険がある。
しかし、時空管でワームホールを固定してしまえば、向こうの様子を偵察する事ができるわけだ。
問題は……
「あったぞ! 調査用千五百R時空管が三つ、生活産業用一万R時空管が一つ。一万Rなら《リゲタネル》ごと通れるぞ」
「教授。問題があります」
「なんじゃ船長?」
「教授のブランでは人手が足りなくなるかもしれません」
《リゲタネル》は慧一人で動かせるとして《オオトリ》はあたしかサーシャが動かせばいい。
しかし、現地でワームホールを開くとなると四人でできるだろうか?
《楼蘭》の設備でも、ワームホールを開いて時空管で固定する作業に五~十人ぐらいの作業員がいたと思う。
「確かに四人で時空管を固定するのは大変ですわね」
サーシャもあたしに同意した。
と、急にサーシャがあたしの方を見る。
「行きたいんでしょ」
「え? なにが」
「あのね、そうやってさっきから心ここにあらずな顔でいられると、こっちが迷惑ですの」
え? あたしそんな顔してた?
「さっさと地上に行って人手を集めてきてください。ついでに里帰りでもしてくればいいでしょ」
いや、里帰りとはちょっと違うけど……サーシャ、あんたってひょっとして良い奴?
通信機による呼びかけはすでに一時間続いていた。
しかし、応答はまったくない。
応答がないまま《リゲタネル》は第四惑星の宇宙ステーションに到着してしまった。
どうやら宇宙ステーションは長い間、無人だったらしい。
だが、AMS(自動整備システム)があったおかげでステーションの機能は失われていなかった。《リゲタネル》が近くまで来た事によって、サポートAIが休止状態から立ち上がり、あたし達をステーション内部に招き入れてくれたのだ。
「ううむ」
ステーションの制御ルームで教授がうなり声を上げる。
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あたし達が今必要としているのは対艦ミサイルや長射程レーザーであってこんな物ではない。
「まあ、武器そのものは最初から期待しとらんかった。もし、あるなら使わせてもらおうと思っただけじゃ。次は宇宙船で検索しよう」
その中に小型宇宙船があったら、それをミサイル代わりに使うというのが最初のプランだったのだ。ただし、二十G以上の加速性能を要求されるが。
「宇宙船はけっこうあるようじゃな」
「でもちょっと多すぎですね」
宇宙船で検索したところ、ランチや救命艇、緊急脱出ポッドや地上に降りるシャトルまでヒットしてしまった。
「条件を絞り込んでみるか。この中から輸送船、工作船で検索してみよう」
件数が一気に減った。
大型の工作船と貨物船が一隻ずつ。無人の貨物船が十五隻残った。
「これがよさそうじゃな」
教授が無人貨物船を指差す。
「しかし、なぜこんな物がここにあるんじゃ?」
「何か問題でも?」
「船長。これは小型貨物船だが、動力は対消滅エンジンじゃ。他の有人船は核融合エンジンだというのに」
「対消滅エンジンぐらい、そんなに珍しくはないと思いますが」
「対消滅エンジンの船があるという事は、それを運用するために、この恒星系のどこかに反物質の製造プラントがあるはずじゃ。まあ、たぶん太陽の近くだと思うが。このステーションにこれだけの多くの船があるという事は、そことの行き来に使われていたのだろう。だが、こんな開発が始まったばかりの殖民惑星で、なぜそんなものが必要だったのだ?」
その時、背後で扉が開く音がした。振り向くと、慧とサーシャが大きな箱を持って入ってくる。
二人には食料と水を調達してきてもらったのだが、喧嘩とかしてなかったらいいけど。
「これだけあれば、一週間は持つと思いますわ。でも、保存食ばかりだから味の保障はできませんわよ」
サーシャは箱の中身をあたしに見せる。
「あれ? この船」
慧はディスプレイに映っている工作船を指差す。
「懐かしいなあ。親父が昔宇宙省にいた頃に使っていた船だ」
「幾島君。お父さんが使っていたという事は、ワームホールの点検か何かに使う船かね?」
「先生、これは宇宙省の時空管工作船《オオトリ》です。今でも親父の部屋に、この船の写真が飾ってありますよ」
「なに!?」
教授はいったい何を驚いているんだろう!?
ちなみに時空管工作船というのは時空穿孔機が開いたワームホールに時空管を設置する作業する船の事だ。ここにそれがあったという事は、ここからもワームホールを開いていたってことなんだろう。
別に驚くほどのことではない思うけど。
「なぜだ? なんで日本の宇宙省はこんな不便な植民惑星に、わざわざワームホールステーションを作るんだ?」
ああ、そういう事か。
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サーシャはごく当たり前のように言う。
「もちろん米国だって中国だってユーロだってやってますわよ」
「なんのために?」
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ようするにどの宇宙開発国も国連の査察官に見られたくない事をやっているので、査察官がなかなか来れないような辺鄙なところにワームホールステーションを作りたがるのだ。
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その宇宙条約、一九六七年に結ばれた当時からほとんど内容が変わっていない。
変わった事といえば地球外知的生命体に関する条文が加えられただけで、後はもう現状にまったく合わないものになっている。
例えば宇宙条約第二条では『月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない』となっている。
したがって、宇宙開発国はせっかく巨費を投じて有望な天体を見つけても、そこを領有する事はできないのだ。
現在はどうしているかというと、新しい天体を見つけた場合それをまず国連に申告しなければならない。
申告を受けた国連は天体を人類の共有財産として、発見国にはその天体の一割を信託統治する事を認めるのだ。
この第四惑星だって日本が発見したのに日本の領土ではない。開発初期だったので日本人しか入植していなかったが、ワームホールの圧壊がなければその後はアフリカの入植者を国連は送り込む予定だったらしい。
とにかく、せっかく苦労して見つけた天体なのに、拾った落し物程度の権利しか認められないのでは、そりゃあ宇宙開発国も面白くないわけだ。
だから宇宙開発国は、査察官が来れないようなところにワームホールステーションを作り、有望な天体は申告しないでこっそり開発したりしている。
そして国連の方も、それを薄々知っていながら黙認しているのが現状のようだ。
その事をあたしとサーシャは代わる代わる教授に説明したのだが、どうも教授は政治的センスが致命的に欠けているらしく理解できなかった。
「とにかくよく分からんが、日本の宇宙省がここにワームホールステーションを作ったという事は理解した」
どうやら理由は理解できないが、現実は受け入れてくれたみたいだ。
「しかし、ここに時空管工作船があるという事は、時空管もこのステーション内にあるのじゃないのか? もしあるとするなら使えるぞ」
そりゃあ、時空管ぐらいあるかもしれないけど、教授は、いったいそんなものなんに使う気かしら? この状況で役に立つとは……
いや、確かに使える。
《リゲタネル》でいきなりワームホールを抜けると、またキラー衛星の攻撃を受ける心配がある。あるいはCFCに占領されているまっただ中に出てしまう危険がある。
しかし、時空管でワームホールを固定してしまえば、向こうの様子を偵察する事ができるわけだ。
問題は……
「あったぞ! 調査用千五百R時空管が三つ、生活産業用一万R時空管が一つ。一万Rなら《リゲタネル》ごと通れるぞ」
「教授。問題があります」
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「教授のブランでは人手が足りなくなるかもしれません」
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しかし、現地でワームホールを開くとなると四人でできるだろうか?
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「確かに四人で時空管を固定するのは大変ですわね」
サーシャもあたしに同意した。
と、急にサーシャがあたしの方を見る。
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「え? なにが」
「あのね、そうやってさっきから心ここにあらずな顔でいられると、こっちが迷惑ですの」
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