色彩

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プロローグ

灰色

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いつからだろう………
目に写るもの全てが灰色に見えるようになってしまったのは
匂いも味もたいして気にならなくなってしまったのは
あんなにも嫌いだった嘘を平気で吐くようになったのは
人ながら人を嫌い誰も信じられなくなったのは……………



たいして時が経ってはいないはずなのに僕には一年が数百年にも感じる。そんな感覚でいると僕はもう生きているのか、死んでいるのかすらわからず、ただ生き地獄のように思える。今の僕にあるのはゆっくりと水中で深く沈んでいるような感覚だけだ。足をばたつかせようとしようが、手のひらを光り輝く綺麗な海面に伸ばそうが僕はずっと深く暗い方へ落ちてゆく。もう僕にはほとんど光が届かずこの世界は灰色だ。暗くも明るくもない中途半端でしかない灰色はとても僕に似合っていた。
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