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本編
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何もしなくても朝は来るが、何をしても朝は来る。そう、時間は誰にでも平等だ。多分唯一平等なものだ。生と死は来るだけなら平等だが、タイミングが平等ではない。故に多分平等なのは過ぎ去る時間だけだ。こんなことを考えていたって一秒過ぎるし一分と過ぎていく。何をしても、何もしなくても時間は平等に過ぎていく。時計の針は誰にでも優しい。
何も無い自分にも、唯一与えられた何かのような気がするから。
こんな事を考えるくらいには虚無の感情で仕事を熟しているのだと察してほしい。
「さてと、帰るか…」
あれ以来、あの整った美麗な顔を見れる訳もなく、癒しが無いと思いながら仕事を只管に熟す日々が続いている。当たり前なのだがまたあの顔が見たくて仕方ない。
時間は時に残酷だ。だってもう時間は二十二時になろうとしている。おかしい。今日という日がもう二時間で終わるらしい。
「いやでも早い方じゃないか…?フロア俺しかいねぇけど」
お先に失礼します、なんて聞いたの多分二時間くらい前の営業の人だった気がする。なんで事務の俺がこんなおっせえの?意味わからん。とか二時間前に思ってた気がするんだよ。
とかなんとか思っても無駄なのでとっとと鞄を持って帰るのが大事だ。寂しいし怖いからとフロアの電気は多めに付けていたのでスイッチをポチポチと押して消し、念入りに戸締りの確認をしたら終了だ。さあ帰ろう。小さい企業あるあるの、鍵は普通に従業員が持っている、である。単に俺が遅いから貸してもらってるだけだけどな、と自分に呆れて笑いながら帰路につく。
そうだ、家に何も無いんじゃないか…?最後に買い物したのは土曜日の夜、そして俺は昨日最後のカップ麺を食った気がする。
「…腹が減っては戦はできぬ……」
いや別に争う気はないけど。
寧ろ帰ったら俺は癒される予定だけど。
でも純粋に
「飯、食いたい…」
腹、減った。
余り人の乗っていない区域からの地下鉄はガラガラで、こんなポツンと小さく呟いた独り言など誰にも聞こえやしない。
最寄りで降りていつもの二十四時間スーパーへと立ち寄る。本当にありがたい。こういうの本当にありがたい。ブラック企業の強い味方。というか単純に独り身の味方。
土曜の朝の分まで買わなければ、と日持ちするものやら冷凍すりゃいいものやらを籠にぶん投げる勢いで入れていく。単に疲れて動きが雑なだけだが、時間が時間なので誰も気にはしない。そもそも余り人もいない。ついでに平日夜用のカップ麺も買おうと移動しようとしたその時だった。
運命が華麗に悪戯を仕掛けてきた。
そうとしか思えない瞬間だったと思う。草臥れたスーツ、ボサボサの髪、籠に入っている乱雑なものはさておき、見たからに仕事帰りの格好である。なのにどうしてだろうか。
今目の前にいるのは、誰だ?
「あ、小日向さんじゃないですか?やっぱり。直接会うのは久しぶりですね」
何も無い自分にも、唯一与えられた何かのような気がするから。
こんな事を考えるくらいには虚無の感情で仕事を熟しているのだと察してほしい。
「さてと、帰るか…」
あれ以来、あの整った美麗な顔を見れる訳もなく、癒しが無いと思いながら仕事を只管に熟す日々が続いている。当たり前なのだがまたあの顔が見たくて仕方ない。
時間は時に残酷だ。だってもう時間は二十二時になろうとしている。おかしい。今日という日がもう二時間で終わるらしい。
「いやでも早い方じゃないか…?フロア俺しかいねぇけど」
お先に失礼します、なんて聞いたの多分二時間くらい前の営業の人だった気がする。なんで事務の俺がこんなおっせえの?意味わからん。とか二時間前に思ってた気がするんだよ。
とかなんとか思っても無駄なのでとっとと鞄を持って帰るのが大事だ。寂しいし怖いからとフロアの電気は多めに付けていたのでスイッチをポチポチと押して消し、念入りに戸締りの確認をしたら終了だ。さあ帰ろう。小さい企業あるあるの、鍵は普通に従業員が持っている、である。単に俺が遅いから貸してもらってるだけだけどな、と自分に呆れて笑いながら帰路につく。
そうだ、家に何も無いんじゃないか…?最後に買い物したのは土曜日の夜、そして俺は昨日最後のカップ麺を食った気がする。
「…腹が減っては戦はできぬ……」
いや別に争う気はないけど。
寧ろ帰ったら俺は癒される予定だけど。
でも純粋に
「飯、食いたい…」
腹、減った。
余り人の乗っていない区域からの地下鉄はガラガラで、こんなポツンと小さく呟いた独り言など誰にも聞こえやしない。
最寄りで降りていつもの二十四時間スーパーへと立ち寄る。本当にありがたい。こういうの本当にありがたい。ブラック企業の強い味方。というか単純に独り身の味方。
土曜の朝の分まで買わなければ、と日持ちするものやら冷凍すりゃいいものやらを籠にぶん投げる勢いで入れていく。単に疲れて動きが雑なだけだが、時間が時間なので誰も気にはしない。そもそも余り人もいない。ついでに平日夜用のカップ麺も買おうと移動しようとしたその時だった。
運命が華麗に悪戯を仕掛けてきた。
そうとしか思えない瞬間だったと思う。草臥れたスーツ、ボサボサの髪、籠に入っている乱雑なものはさておき、見たからに仕事帰りの格好である。なのにどうしてだろうか。
今目の前にいるのは、誰だ?
「あ、小日向さんじゃないですか?やっぱり。直接会うのは久しぶりですね」
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