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大人の言い分、大人の言い訳 3
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ぬるま湯に浸かると出られないとよく言うけれど本当だ。これは沼よりやばい。何も文句を言ってこない暁良といるのは存外居心地が良くて。朔はどうしたら良いのか偶にわからなくなる。
なのにその考え事押し流すように毎晩抱かれてしまうものだから。
冷静になった瞬間、酷く足元が脆いことに気がついてしまった。
好きと言われたわけじゃない
言われたとして自分がどうしたいかもわからない
俺が仕事の合間に何をしてるかなんてわからないじゃないか
もしかしたらヤれる上に寝食は手に入ったと思ってるかも
考え始めたらキリがない。
暁良が住み着いてから二ヶ月が過ぎる頃、朔は見事に体調を崩した。
夜、眠れなくなったことが原因で免疫力が落ちた体は風邪にすら勝てなくなっていたようだ。
「ゴホッ、おま、がっこ…行けよ」
「放っておけないでしょ、こんな高熱で声もガラガラの人。オレは大丈夫だよ。単位落とすほど馬鹿じゃ無いからさ」
事実、朔は知らないが暁良はそこそこ良い大学でそこそこ良い成績を修めているし、単位を落とさないように行ける時は全て行き、その年の終わりの頃に若干サボるくらいの計算型である。
病人を一日二日看護したくらいで落とすものなど無いのだ。
「うー…」
「隈、凄いよ?ここ最近寝れてなかったんじゃない?ちゃんと寝なきゃダメじゃん」
そう言われてしまうと何も言えず、掛け布団を頭まで被る。ぽんぽんと子供にするみたいにお腹の辺りを優しく叩くリズムに知らない内に意識は微睡に沈んでいった。
暫くして荒い息が落ち着いた寝息に変わる頃、漸くお腹を叩くのを止めて少しばかり汗ばんだ髪を撫でる。
疲れた顔はしていたが昨日までは普通だったはず、と撫でながら隈の酷い顔を見ていつからだ…?と記憶を探った。
この家に居着いて二ヶ月ほど。一ヶ月が過ぎた頃からテレビを見ながら考えに耽る姿を見ていたような気がする。なるべく余計なことを考えないようにと毎日のように致していたのを考えると、その時間自体は短かったとは思う。
冷静に考えられると困る、とは確かに今でも思っているけれどここまで来てまだ何かを考えるのか。もう自分無しでは生活できないだろうに。
まさか、それが理由で真逆のことを考えているだなんて、まだまだ若い暁良には考えつかなかったのだ。
なのにその考え事押し流すように毎晩抱かれてしまうものだから。
冷静になった瞬間、酷く足元が脆いことに気がついてしまった。
好きと言われたわけじゃない
言われたとして自分がどうしたいかもわからない
俺が仕事の合間に何をしてるかなんてわからないじゃないか
もしかしたらヤれる上に寝食は手に入ったと思ってるかも
考え始めたらキリがない。
暁良が住み着いてから二ヶ月が過ぎる頃、朔は見事に体調を崩した。
夜、眠れなくなったことが原因で免疫力が落ちた体は風邪にすら勝てなくなっていたようだ。
「ゴホッ、おま、がっこ…行けよ」
「放っておけないでしょ、こんな高熱で声もガラガラの人。オレは大丈夫だよ。単位落とすほど馬鹿じゃ無いからさ」
事実、朔は知らないが暁良はそこそこ良い大学でそこそこ良い成績を修めているし、単位を落とさないように行ける時は全て行き、その年の終わりの頃に若干サボるくらいの計算型である。
病人を一日二日看護したくらいで落とすものなど無いのだ。
「うー…」
「隈、凄いよ?ここ最近寝れてなかったんじゃない?ちゃんと寝なきゃダメじゃん」
そう言われてしまうと何も言えず、掛け布団を頭まで被る。ぽんぽんと子供にするみたいにお腹の辺りを優しく叩くリズムに知らない内に意識は微睡に沈んでいった。
暫くして荒い息が落ち着いた寝息に変わる頃、漸くお腹を叩くのを止めて少しばかり汗ばんだ髪を撫でる。
疲れた顔はしていたが昨日までは普通だったはず、と撫でながら隈の酷い顔を見ていつからだ…?と記憶を探った。
この家に居着いて二ヶ月ほど。一ヶ月が過ぎた頃からテレビを見ながら考えに耽る姿を見ていたような気がする。なるべく余計なことを考えないようにと毎日のように致していたのを考えると、その時間自体は短かったとは思う。
冷静に考えられると困る、とは確かに今でも思っているけれどここまで来てまだ何かを考えるのか。もう自分無しでは生活できないだろうに。
まさか、それが理由で真逆のことを考えているだなんて、まだまだ若い暁良には考えつかなかったのだ。
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