3 / 15
心は意外と純粋、身体は意外に素直 2
しおりを挟む
その頃、部屋の中に取り残された朔は一人賢者タイムと言えばいいのか、虚無感と言えばいいのか分からない何かでベッドに腰掛け佇んでいた。見た目だけなら燃え尽き症候群のあの人だと言っても過言じゃない。それくらい正直、やつれていた。出し切ったのもあるかもしれないけど。
「…なんでそもそも名前で呼ばれてたんだ?」
昨日の記憶は気付けば後ろにずっぽりハマっていた所からしか存在しない。その前はそろそろお開きにするかという感じの会話だ。こうなっては記憶など微塵も戻って来ないだろうな、と言われた方を思い出そうとする。
確か、引っ掛けたのは俺から…だったか…?いやでも俺ノンケのはずなんだけどな…それにしても気持ちよかったから素質があったとでも…?いやいやいや…素質とその気があるのはまた別問題じゃないか…?
何となく衣服を改めて整えながら、うーんうーんと頭を捻る。
ここで女性遍歴を遡ってみるとしよう。朔は今まで片手以下程度の女性としか付き合ったことがない。
高校生の時、大学生の時、そして社会人になってから二人。大体四人である。高校の時は三年生の忙しい時期にできたばっかりにお互いの受験ですぐに別れてしまい、大学生の時は付き合いはしたし年単位で付き合ったのだが、彼女が進級できずそのまま退学、その流れで別れた。
社会人になってからは若気の至りの合コンで一度。こちらは遊ばれただけですぐに振られ、二度目は二年ほど前に別れた彼女で、こちらは三年近く付き合った気がする。そこからまぁ、二年は誰とも付き合ってもいなくて、同僚の女性と相棒のように酒をかっくらったり、昨日のように同僚やら後輩やらと酒を飲むのが楽しかったので女はいいや、と思っていたのだ。
残念なことにこの年で既に枯れていると言うのもある。性欲がガッカリするほどない。自分で抜くのもほぼない。それくらい薄い。正直これで別れたことがあるくらいにはない。これでもまだ三十路にはなっていないと言うのに。
「俺昨日、何回出したんだよ…つかどうすんだこのシーツとか。ぐっちゃぐちゃだぞ…」
昨日はすげー気持ちよかったもんなぁ…ただですら淡白なのにあれと同じくらい気持ち良くないとイケないとかだったら俺もう今後の人生詰んでんじゃねぇの…?
ぼんやり考えてハッと目を瞬かせ頭を振る。
いかんいかん、こんなことでは次に会った時にまたそんなことばかり考えてしまう。相手の男にも失礼すぎる。
「そうだ、名前…」
連絡先を交換したことを思い出し、LIMEネームを確認する。
『暁良』とだけ書かれたそれを見てやっと名前を知った。
「あきら…でいいのか?ふぅん…」
苗字がわからないから次会ったら暁良くん、とでも呼ぶとしよう。くんとか付けて呼ぶの恥ずかしいな、なんて考えてたらそのまま体がゆっくり傾き、もう一度夢の世界に旅立って行った。
「…なんでそもそも名前で呼ばれてたんだ?」
昨日の記憶は気付けば後ろにずっぽりハマっていた所からしか存在しない。その前はそろそろお開きにするかという感じの会話だ。こうなっては記憶など微塵も戻って来ないだろうな、と言われた方を思い出そうとする。
確か、引っ掛けたのは俺から…だったか…?いやでも俺ノンケのはずなんだけどな…それにしても気持ちよかったから素質があったとでも…?いやいやいや…素質とその気があるのはまた別問題じゃないか…?
何となく衣服を改めて整えながら、うーんうーんと頭を捻る。
ここで女性遍歴を遡ってみるとしよう。朔は今まで片手以下程度の女性としか付き合ったことがない。
高校生の時、大学生の時、そして社会人になってから二人。大体四人である。高校の時は三年生の忙しい時期にできたばっかりにお互いの受験ですぐに別れてしまい、大学生の時は付き合いはしたし年単位で付き合ったのだが、彼女が進級できずそのまま退学、その流れで別れた。
社会人になってからは若気の至りの合コンで一度。こちらは遊ばれただけですぐに振られ、二度目は二年ほど前に別れた彼女で、こちらは三年近く付き合った気がする。そこからまぁ、二年は誰とも付き合ってもいなくて、同僚の女性と相棒のように酒をかっくらったり、昨日のように同僚やら後輩やらと酒を飲むのが楽しかったので女はいいや、と思っていたのだ。
残念なことにこの年で既に枯れていると言うのもある。性欲がガッカリするほどない。自分で抜くのもほぼない。それくらい薄い。正直これで別れたことがあるくらいにはない。これでもまだ三十路にはなっていないと言うのに。
「俺昨日、何回出したんだよ…つかどうすんだこのシーツとか。ぐっちゃぐちゃだぞ…」
昨日はすげー気持ちよかったもんなぁ…ただですら淡白なのにあれと同じくらい気持ち良くないとイケないとかだったら俺もう今後の人生詰んでんじゃねぇの…?
ぼんやり考えてハッと目を瞬かせ頭を振る。
いかんいかん、こんなことでは次に会った時にまたそんなことばかり考えてしまう。相手の男にも失礼すぎる。
「そうだ、名前…」
連絡先を交換したことを思い出し、LIMEネームを確認する。
『暁良』とだけ書かれたそれを見てやっと名前を知った。
「あきら…でいいのか?ふぅん…」
苗字がわからないから次会ったら暁良くん、とでも呼ぶとしよう。くんとか付けて呼ぶの恥ずかしいな、なんて考えてたらそのまま体がゆっくり傾き、もう一度夢の世界に旅立って行った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説



どうしてもお金が必要で高額バイトに飛びついたらとんでもないことになった話
ぽいぽい
BL
配信者×お金のない大学生。授業料を支払うために飛びついた高額バイトは配信のアシスタント。なんでそんなに高いのか違和感を感じつつも、稼げる配信者なんだろうと足を運んだ先で待っていたのは。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる