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堕とす
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「そうやってさあ、コスメの話や服の話に混ざってさ、挙げ句の果てに女装させてとか言い出してさ、そんで、そんで、なんでわたしの家にいるのよ!」
駅前からの帰り道、わたしはつっかけサンダルを履き直しながら叫ぶ。隣は川で、街灯のある道に人影はない。路肩の草むらにカサカサッと言う物音。小さな動物を驚かせたかもしれない。
でもね、今はそんなことどうでもいい。今日こそなんとかする。あのヘラヘラをなんとか。なんとかするんだ。
自宅の鍵を自分で開け、サンダルを脱ぎながら玄関に続くキッチンに上がり、2リットルのペットボトルを買い物袋から出して冷蔵庫にしまう。わたしの居場所、わたしの席、わたしのテレビの前でニヘニヘ笑ってる奴を想像しながら、ガラスの引き戸を開けて、部屋に入る。
「ただいま」
おかえりの声を聞く前に、ドラッグストアで買ってきたパンストとショーツを投げつける。
果たしてそこには、中途半端な長さに伸びた髪の毛をなんとか整えようとしている男がいた。
「早くそのジャージ脱いで着替えなさいよ」
くるりと振り返って、キッチンにグラスを取りに行く。
「あの、あのですね。なんですかこのストッキングとパンツは」
「パンツじゃなくてショーツでしょ。あと、剃刀負けしてる足、わたしは痛そうだからみたくない」
「あ、あ」
グラスにペットボトルのお茶を注ぎながら、じっくりと顔を見つめてやる。どうせ視線は合わない。何恥ずかしがってんだ。
「女装しにきたんでしょ。早くしなよ」
「あ、そうですけどここで脱ぐと
「いいから、見えても気にしない。早く脱げ、なんなら男らしく見せてみろ」
「あ、あっ」
「はいだろ?」
「はい」
よし。
ペースはこちらだ。逃げる暇を与えるな。するりと逃げられて続けてはんとしなんだ。わからせてやる。
「泥酔して、青臭い歌うたっちゃって、それをTwitterにアップしちゃうような、恥ずかしい奴が、ちんちんが数秒見えるくらいの恥ずかしさに耐えられないわけないよな?」
あわててジャージを抜ぎ、トランクスを下ろしていた男に低い声でわからせる。
「怖いんですけど」
「怖くしないとやんねーだろ」
どうせこいつも女装の踏ん切りがつかないだけだ。脅した体にすれば、さっさと着替えるだろう。
「あくしろよ」
ショーツのビニールを開けられなくてまごついてるいるからひったくり、勢いよくベリっと開けて、無理やり胸元に突きつける。
「あ、あの
「わかりましたか?」
「わかりました」
こいつの後ろ手についた左手、膝頭が開いたその真ん中にわたしは右足を踏み込む。逃がすものか。
いったん足を上げてやり、その間にショーツを履かせる。
「これ、ブラいらないから」
ブラウスとカーディガン、制服のスカートを投げつけるようにして押し付ける。
強く睨むと何も言えなくなったようで、いそいそと着替え始めた。
「スカートのホックが留められないんですけど……」
仕方ねえな。
「そのままでいいよ、はやくストッキング履いて」
上下の着替えは強制終了。なんでこいつスムーズにストッキング履いてんだよ。慣れてやがる。
「履けた? 顔面見せて」
ベースだけは済ませてきたらしい。ヒゲのあとはコンシーラーで消してあり、眉毛も潰して目立たなくなっている。上手いな、と思ったができるだけ態度には出さない。
「はい」
ネットを渡してから、ウィッグをつけさせる。ブラシで馴染ませて、厚めの前髪をおろし、顔の上半分を隠す。
「立てよ」
わたしはわざわざLサイズを買っておいた黒マスクを渡して着けさせる。リングライトを寄せて点灯。一枚だけ写真を撮る。
「ウィッグが重いから、下からレフ入れるからね。動くな! 影がめんどくさくなる。よし」
やつを操り、ノマカメと盛れるやつでバストショットとなんちゃってで全身を撮る。その過程で、うまいことベッドに腰掛けさせておいて、準備は整った。
ドン。全力で肩を突き飛ばす。出来るだけ不意をついて。えらい、ウィッグがずれないように抑えながら倒れる。けれど、膝は開いちゃうよね。おとこのこだもんね。
玉袋に当てないように、でも出来るだけ近く、わたしの右膝は股間に叩きつける。と同時に、上半身は倒れかかって、確実なテイクダウンを取る。
よし、できた。
「キス、したかったんでしょ?」
顔を寄せて囁くと、こいつの心臓の音が聞こえ始める。うるせーな、きざんでんじゃねー。
かげよ、フローラルだろ? お前の妹ちゃんと同じシャンプーだぞ。好きな匂いなんだろ。妹ちゃんには香りって言えよな?
何かぶつぶつと声を出し始める前に、唇を寄せる。ギリギリの距離に。絶対自分から押し付けたりはしない。こいつが自分からした。そういうキスという事実を作る。
できた。
ちょろいな。馬鹿みたい。なんでここまでこんなに時間かかったんだよ。2度も拒否りやがって。部屋に上げてる時点でOKなんだぞ。男を見せろ。
奴の胸にわたしのたゆたゆやわやわなお胸をのせてやる。少しずつ。確実に。わはは手が寄ってきた。触りたかったんだろ? 正面から触りにこいよ。
わたしのパーカーの下はノーブラTシャツだけなんだぞ。そのジッパーを下ろせばほとんどゴールだ。いけ、ためらうな!
くそ、逃げる気か? ゆるさねえ。
「何言い訳めいたこと言ってんの? わたしの部屋で、あなたわ自分からわたしにキスしたの。私たちは付き合ってんの」
わざわざ履かせたストッキングを破る。さようなら550円。さようなら80デニール。そこにはもちろんあつあつになったちんちんがある。
ショーツの横から取り出し、パクパクしている鈴口を、あいつのちんちんから出た粘液でぬるぬるしてやる。その間わたしは急いで下半身のジャージをショーツごと脱ごうとしていた。
「わかるよね。あんたが上になるの。え、やったことない?」
ふざけんなふざけんなふざけんな。マジかよふざけんな。わたし怪力痴女じゃん。
くっそ許せねえ。
「いいよ。力抜いて寝て」
逃がさないようにこいつの肩に全体重をかけて、意外に広い胴体に跨る。
「自分で入れてよ」
ゆっくりと腰を近づけてやる。
「ちょっ、わからなくて」
ガチかよ。ガチの童貞かよ。わかったわかった。わたしがスレイヤーだ。童貞スレイヤー。わたしだって処女じゃねーからなんとかなるだろ。触んなくたって濡れてる感じするもん。
「あんたの人生よこしてよ」
「えっ。なにそれ」
これから童貞いただきますって言ってんの。モゾモゾしてもちんちんの角度は合わないの。わたしがやるの!
駅前からの帰り道、わたしはつっかけサンダルを履き直しながら叫ぶ。隣は川で、街灯のある道に人影はない。路肩の草むらにカサカサッと言う物音。小さな動物を驚かせたかもしれない。
でもね、今はそんなことどうでもいい。今日こそなんとかする。あのヘラヘラをなんとか。なんとかするんだ。
自宅の鍵を自分で開け、サンダルを脱ぎながら玄関に続くキッチンに上がり、2リットルのペットボトルを買い物袋から出して冷蔵庫にしまう。わたしの居場所、わたしの席、わたしのテレビの前でニヘニヘ笑ってる奴を想像しながら、ガラスの引き戸を開けて、部屋に入る。
「ただいま」
おかえりの声を聞く前に、ドラッグストアで買ってきたパンストとショーツを投げつける。
果たしてそこには、中途半端な長さに伸びた髪の毛をなんとか整えようとしている男がいた。
「早くそのジャージ脱いで着替えなさいよ」
くるりと振り返って、キッチンにグラスを取りに行く。
「あの、あのですね。なんですかこのストッキングとパンツは」
「パンツじゃなくてショーツでしょ。あと、剃刀負けしてる足、わたしは痛そうだからみたくない」
「あ、あ」
グラスにペットボトルのお茶を注ぎながら、じっくりと顔を見つめてやる。どうせ視線は合わない。何恥ずかしがってんだ。
「女装しにきたんでしょ。早くしなよ」
「あ、そうですけどここで脱ぐと
「いいから、見えても気にしない。早く脱げ、なんなら男らしく見せてみろ」
「あ、あっ」
「はいだろ?」
「はい」
よし。
ペースはこちらだ。逃げる暇を与えるな。するりと逃げられて続けてはんとしなんだ。わからせてやる。
「泥酔して、青臭い歌うたっちゃって、それをTwitterにアップしちゃうような、恥ずかしい奴が、ちんちんが数秒見えるくらいの恥ずかしさに耐えられないわけないよな?」
あわててジャージを抜ぎ、トランクスを下ろしていた男に低い声でわからせる。
「怖いんですけど」
「怖くしないとやんねーだろ」
どうせこいつも女装の踏ん切りがつかないだけだ。脅した体にすれば、さっさと着替えるだろう。
「あくしろよ」
ショーツのビニールを開けられなくてまごついてるいるからひったくり、勢いよくベリっと開けて、無理やり胸元に突きつける。
「あ、あの
「わかりましたか?」
「わかりました」
こいつの後ろ手についた左手、膝頭が開いたその真ん中にわたしは右足を踏み込む。逃がすものか。
いったん足を上げてやり、その間にショーツを履かせる。
「これ、ブラいらないから」
ブラウスとカーディガン、制服のスカートを投げつけるようにして押し付ける。
強く睨むと何も言えなくなったようで、いそいそと着替え始めた。
「スカートのホックが留められないんですけど……」
仕方ねえな。
「そのままでいいよ、はやくストッキング履いて」
上下の着替えは強制終了。なんでこいつスムーズにストッキング履いてんだよ。慣れてやがる。
「履けた? 顔面見せて」
ベースだけは済ませてきたらしい。ヒゲのあとはコンシーラーで消してあり、眉毛も潰して目立たなくなっている。上手いな、と思ったができるだけ態度には出さない。
「はい」
ネットを渡してから、ウィッグをつけさせる。ブラシで馴染ませて、厚めの前髪をおろし、顔の上半分を隠す。
「立てよ」
わたしはわざわざLサイズを買っておいた黒マスクを渡して着けさせる。リングライトを寄せて点灯。一枚だけ写真を撮る。
「ウィッグが重いから、下からレフ入れるからね。動くな! 影がめんどくさくなる。よし」
やつを操り、ノマカメと盛れるやつでバストショットとなんちゃってで全身を撮る。その過程で、うまいことベッドに腰掛けさせておいて、準備は整った。
ドン。全力で肩を突き飛ばす。出来るだけ不意をついて。えらい、ウィッグがずれないように抑えながら倒れる。けれど、膝は開いちゃうよね。おとこのこだもんね。
玉袋に当てないように、でも出来るだけ近く、わたしの右膝は股間に叩きつける。と同時に、上半身は倒れかかって、確実なテイクダウンを取る。
よし、できた。
「キス、したかったんでしょ?」
顔を寄せて囁くと、こいつの心臓の音が聞こえ始める。うるせーな、きざんでんじゃねー。
かげよ、フローラルだろ? お前の妹ちゃんと同じシャンプーだぞ。好きな匂いなんだろ。妹ちゃんには香りって言えよな?
何かぶつぶつと声を出し始める前に、唇を寄せる。ギリギリの距離に。絶対自分から押し付けたりはしない。こいつが自分からした。そういうキスという事実を作る。
できた。
ちょろいな。馬鹿みたい。なんでここまでこんなに時間かかったんだよ。2度も拒否りやがって。部屋に上げてる時点でOKなんだぞ。男を見せろ。
奴の胸にわたしのたゆたゆやわやわなお胸をのせてやる。少しずつ。確実に。わはは手が寄ってきた。触りたかったんだろ? 正面から触りにこいよ。
わたしのパーカーの下はノーブラTシャツだけなんだぞ。そのジッパーを下ろせばほとんどゴールだ。いけ、ためらうな!
くそ、逃げる気か? ゆるさねえ。
「何言い訳めいたこと言ってんの? わたしの部屋で、あなたわ自分からわたしにキスしたの。私たちは付き合ってんの」
わざわざ履かせたストッキングを破る。さようなら550円。さようなら80デニール。そこにはもちろんあつあつになったちんちんがある。
ショーツの横から取り出し、パクパクしている鈴口を、あいつのちんちんから出た粘液でぬるぬるしてやる。その間わたしは急いで下半身のジャージをショーツごと脱ごうとしていた。
「わかるよね。あんたが上になるの。え、やったことない?」
ふざけんなふざけんなふざけんな。マジかよふざけんな。わたし怪力痴女じゃん。
くっそ許せねえ。
「いいよ。力抜いて寝て」
逃がさないようにこいつの肩に全体重をかけて、意外に広い胴体に跨る。
「自分で入れてよ」
ゆっくりと腰を近づけてやる。
「ちょっ、わからなくて」
ガチかよ。ガチの童貞かよ。わかったわかった。わたしがスレイヤーだ。童貞スレイヤー。わたしだって処女じゃねーからなんとかなるだろ。触んなくたって濡れてる感じするもん。
「あんたの人生よこしてよ」
「えっ。なにそれ」
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