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帝国編
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五回目となるコシモの婚約破棄をさかなに、舞踏会は大いに盛りあがっていた。
喧騒のなか、豪奢なカーテンのかたわらに、ドナロッテが怒りに震える拳を握り、ピンと立っている。
「渋い顔してどうしたんだ、ドナロッテ?」
背後から義兄ーー『レスコ・ベディ』に声をかけられて、びっくりとドナロッテが振り向く。
義兄に心配をかけまいと、ドナロッテはふるふる首をふった。
「そうか、……。はぁ、まあいい。交代のやつが来たし、そろそろおやじんとこ行こうか? 朝まで飲むぞ!」
レスコはドナロッテの肩を抱き寄せると、その足で養父ーー『ロレン・ベディ』の待っている宿舎棟へと向かった。
部屋に入り、イスに座るやいなや、堅苦しい礼節はやめい、とロレンはエールの入った皮袋をとりだしながら言った。
熱苦しいところもあるが、正義感の強い養父と義兄は、ドナロッテの憧憬だ。
令嬢として結婚できない個人的な事情もある。
けれど、ドナロッテは二人のような立派な戦士に憧れて、騎士の道を選んだ。
すべては養家に相応しい娘になるがため。
それを目標にがんばってきた。
そしてベディ家の恥にならぬよう、ドナロッテは貴族としての教養にも励んでいる。
その志を口にした途端、ロレンの顔色が変わった。
はっとして、ドナロッテが口をつぐむと、レスコが空気をよんで、話題をずらしてくれた。
そうして、座をしらけさせないレスコの陽気な小話に混じって、ドナロッテは騎士になったいきさつを語り、三人は懐かしい家族団らんの時間をたのしんだ。
暖かい空気につつまれて、ドナロッテが舞踏会での不愉快な出来事を忘れたちょうどそのごろ、エールを貪っていたロレンがテーブルにつっぷして、寝息をたてはじめた。
一か月も長駆したあと、朝から動きっぱなしだったので疲れたのだろう。
義兄と力を合わせて、大柄なロレンをベッドに移動すると、二人は宿舎棟を後にした。
義兄はまだ仕事があるらしく、ドナロッテと薄暗い廊下でわかれた。
ーー夜遅いから寮まで送ろうかって、レスコお兄様ってば、まだわたしを子どもあつかいして。
一応わたしも騎士なのに。
考えてみたら可笑しな話。
先ほど口に含んだエールの効力も相まって、ドナロッテは一人でクスクス笑った。
巡回がてらに、とドナロッテが宿舎の合間を縫うように歩いたところ、曲がり角の先から微かな話し声が聞こえてきた。
「……ちどだけ、チャンスをください、コシモ様! 今度こそ、わたくし、あっ!」
ペシっ、と肌をはたかれた音ののち、上級な布の擦れる音がした。
「私に触れないでください。汚らしい」
ちらりと覗いてみたら、木々の間に隠れて案の定、コシモと元婚約者の令嬢がいた。
美しい口元をゆがめ、コシモは己の手を執拗にぬぐっている。
それから懐から一通の手紙を取りだし、令嬢に投げつけた。
「私の気が変わる前に、燃やすなりしたほうがいいですよ」
露骨な嫌悪を浮かべるコシモの表情をみて、ドナロッテの中にコンコンと怒気が湧きあがってくる。
ーー無抵抗の女性に手をあげた、だと、…っ
コシモはフィオラン共和国の代表。
一介の騎士であるドナロッテが歯向かっていい相手ではない。
しかし、ほろ酔いの脳は正常な判断力を失っている。
養父や義兄なら、こんな不義を決して見逃さない。
勢いよく足を踏みだし、長衣の胸ぐらをつかむ。
ふいをつかれ、目を見はるコシモの左頬に、渾身の一発を突きだした。
が、ぎりぎりかわされて、拳が右頬骨を擦る。
ちっ、と思わず舌打ちして、突きとばすように長衣を離した。
驚きから怒りへと染まりあがったコシモの眼差しに、ドナロッテは目を細めて睨みかえす。
「マルディチル公爵閣下。いかなる事情でも、フリンス帝国の貴族、それもか弱い女性に手をあげるのは看過できのうございます。それに、これ」
キョトンとする令嬢の手から封筒をとり、ピンとコシモに見せつけた。
「脅迫の証拠までそろっています。これをフリンス皇帝に呈し、法教会に判決を求めとうございます」
「……それを、フリンス皇帝に? 判決? くっ、くふふ。……ふはははは!」
すまし顔でドナロッテの話を聞いていたコシモだったが、急に腹をかかえて笑いだした。
「何がおかしい!」
「くふふっ。ああ、さて、なにが可笑しいのでしょう? そこのか弱い女性に聞けば分かるのではないですか?」
あざ笑うようなコシモのいいぐさに、ぎりり、とドナロッテが歯がみをした。
その時、背にかばっていた令嬢の手がみえて、とっさに手紙をたかく持ちあげる。
振りかえれば、そこには真っ青な顔があった。
コシモになんて脅されたんだか。
そう思った次の瞬間、令嬢の顔がみるみる 般若 の形相へと変わっていった。
「いきなりコシモ様になんてことするのよ、このデカ女! 勝手にわたくしの手紙を、ああ、届かない! 鬱陶しい、この、このっ! はやく手紙を返しなさい!」
乱暴に顔を引っかかれて、唖然としているドナロッテの手から、コシモが手紙を奪った。
はっとするドナロッテと目があい、ニヤリとコシモが笑う。
「大事な証拠ですから、あなたも内容を把握しないといけませんね?」
言いながらコシモは封筒から羊皮紙を取りだした。
それを蒼白い月光に透かすと、コシモは鼻で笑いながら読みあげる。
「親愛なるロイ陛下、あなた様の熱い雄を感じられないこの頃、わたくしの体はうず痒くてたまりーー」
「いやぁぁあ! コシモ様、読まないで、返して! そういう約束でしょ!」
悲鳴に似た声をあげて、令嬢がコシモから手紙を奪いとった。
そして半狂乱で羊皮紙をちぎり、途中、なにを思いついたのか、たいまつに近より紙を燃やしはじめた。
ロイとは、ロイ・ダ・フリンス皇帝のことだろうか。
いや、名前が同じなだけではないか?
しかし、陛下と書いてあるのなら、間違いなく皇帝のことであろう。
目の前の状況を理解できず、ドナロッテの脳内は混乱していた。
燃え盛る義憤とアルコールでぼんやりしていた思考が冴えてきて、脳裏にいやな単語がもちあがる。
ーー姦通。
フリンス帝国は、法教会の本法にもとづいて、一夫一妻制。
コシモと令嬢はまだ婚約の段階ではあるが、立派な不貞だ。ばかりか、皇帝にはすでに妃がいる。
つまるところーー
ーー伯爵令嬢が、フリンス皇帝と、姦通している、……?
ビクッとドナロッテが口元を覆えば、コシモは爽快と言わんばかりに噴き出した。
実際のところ、手紙が誰のものか、そもそも本物なのか、ドナロッテには分かりえない。
ただ、令嬢の慌てぶりをみれば、十中八九は事実で、手紙も彼女の筆跡だろう。となればーー
ーーコシモは令嬢の不貞行為を把握して、婚約破棄したのか?
なるほど、とドナロッテが合点した時、また新たな疑問が浮かびあがる。
ーーじゃあなんでコシモが皇帝と彼女を告訴しないんだ?
あの舞踏会の場面だけをみれば、伯爵令嬢は単なる被害者。
ーーもしかして、コシモは婚約者の名誉を守るために、……?
その可能性がドナロッテの頭をかすめた時、コシモの笑い声が耳に突きささった。
「これを、フリンス皇帝にっ! 判決を求める! くははは!」
ドナロッテのマネをしながら、絶賛大笑い中である。
ーーくぅっ。……この男に限って、それはないっ!
真っ赤な顔で下唇をかみ、ドナロッテはふるふると首をふった。
それから笑いすぎて涙目になったコシモにからかわれながら、証拠隠滅をおえた令嬢に半分脅された形で、ドナロッテはこのことを口外しないと口約した。
疲れきってふらふらと自室に入り、ごろんとベッドの上に仰向けになる。
逆に脅迫を受けてしまうとは。
正義と勇気は信じるべきものではなかったのか、……
ドナロッテは納得いかないまま、ヒリヒリする顔で凝然と低い天井をながめた。
喧騒のなか、豪奢なカーテンのかたわらに、ドナロッテが怒りに震える拳を握り、ピンと立っている。
「渋い顔してどうしたんだ、ドナロッテ?」
背後から義兄ーー『レスコ・ベディ』に声をかけられて、びっくりとドナロッテが振り向く。
義兄に心配をかけまいと、ドナロッテはふるふる首をふった。
「そうか、……。はぁ、まあいい。交代のやつが来たし、そろそろおやじんとこ行こうか? 朝まで飲むぞ!」
レスコはドナロッテの肩を抱き寄せると、その足で養父ーー『ロレン・ベディ』の待っている宿舎棟へと向かった。
部屋に入り、イスに座るやいなや、堅苦しい礼節はやめい、とロレンはエールの入った皮袋をとりだしながら言った。
熱苦しいところもあるが、正義感の強い養父と義兄は、ドナロッテの憧憬だ。
令嬢として結婚できない個人的な事情もある。
けれど、ドナロッテは二人のような立派な戦士に憧れて、騎士の道を選んだ。
すべては養家に相応しい娘になるがため。
それを目標にがんばってきた。
そしてベディ家の恥にならぬよう、ドナロッテは貴族としての教養にも励んでいる。
その志を口にした途端、ロレンの顔色が変わった。
はっとして、ドナロッテが口をつぐむと、レスコが空気をよんで、話題をずらしてくれた。
そうして、座をしらけさせないレスコの陽気な小話に混じって、ドナロッテは騎士になったいきさつを語り、三人は懐かしい家族団らんの時間をたのしんだ。
暖かい空気につつまれて、ドナロッテが舞踏会での不愉快な出来事を忘れたちょうどそのごろ、エールを貪っていたロレンがテーブルにつっぷして、寝息をたてはじめた。
一か月も長駆したあと、朝から動きっぱなしだったので疲れたのだろう。
義兄と力を合わせて、大柄なロレンをベッドに移動すると、二人は宿舎棟を後にした。
義兄はまだ仕事があるらしく、ドナロッテと薄暗い廊下でわかれた。
ーー夜遅いから寮まで送ろうかって、レスコお兄様ってば、まだわたしを子どもあつかいして。
一応わたしも騎士なのに。
考えてみたら可笑しな話。
先ほど口に含んだエールの効力も相まって、ドナロッテは一人でクスクス笑った。
巡回がてらに、とドナロッテが宿舎の合間を縫うように歩いたところ、曲がり角の先から微かな話し声が聞こえてきた。
「……ちどだけ、チャンスをください、コシモ様! 今度こそ、わたくし、あっ!」
ペシっ、と肌をはたかれた音ののち、上級な布の擦れる音がした。
「私に触れないでください。汚らしい」
ちらりと覗いてみたら、木々の間に隠れて案の定、コシモと元婚約者の令嬢がいた。
美しい口元をゆがめ、コシモは己の手を執拗にぬぐっている。
それから懐から一通の手紙を取りだし、令嬢に投げつけた。
「私の気が変わる前に、燃やすなりしたほうがいいですよ」
露骨な嫌悪を浮かべるコシモの表情をみて、ドナロッテの中にコンコンと怒気が湧きあがってくる。
ーー無抵抗の女性に手をあげた、だと、…っ
コシモはフィオラン共和国の代表。
一介の騎士であるドナロッテが歯向かっていい相手ではない。
しかし、ほろ酔いの脳は正常な判断力を失っている。
養父や義兄なら、こんな不義を決して見逃さない。
勢いよく足を踏みだし、長衣の胸ぐらをつかむ。
ふいをつかれ、目を見はるコシモの左頬に、渾身の一発を突きだした。
が、ぎりぎりかわされて、拳が右頬骨を擦る。
ちっ、と思わず舌打ちして、突きとばすように長衣を離した。
驚きから怒りへと染まりあがったコシモの眼差しに、ドナロッテは目を細めて睨みかえす。
「マルディチル公爵閣下。いかなる事情でも、フリンス帝国の貴族、それもか弱い女性に手をあげるのは看過できのうございます。それに、これ」
キョトンとする令嬢の手から封筒をとり、ピンとコシモに見せつけた。
「脅迫の証拠までそろっています。これをフリンス皇帝に呈し、法教会に判決を求めとうございます」
「……それを、フリンス皇帝に? 判決? くっ、くふふ。……ふはははは!」
すまし顔でドナロッテの話を聞いていたコシモだったが、急に腹をかかえて笑いだした。
「何がおかしい!」
「くふふっ。ああ、さて、なにが可笑しいのでしょう? そこのか弱い女性に聞けば分かるのではないですか?」
あざ笑うようなコシモのいいぐさに、ぎりり、とドナロッテが歯がみをした。
その時、背にかばっていた令嬢の手がみえて、とっさに手紙をたかく持ちあげる。
振りかえれば、そこには真っ青な顔があった。
コシモになんて脅されたんだか。
そう思った次の瞬間、令嬢の顔がみるみる 般若 の形相へと変わっていった。
「いきなりコシモ様になんてことするのよ、このデカ女! 勝手にわたくしの手紙を、ああ、届かない! 鬱陶しい、この、このっ! はやく手紙を返しなさい!」
乱暴に顔を引っかかれて、唖然としているドナロッテの手から、コシモが手紙を奪った。
はっとするドナロッテと目があい、ニヤリとコシモが笑う。
「大事な証拠ですから、あなたも内容を把握しないといけませんね?」
言いながらコシモは封筒から羊皮紙を取りだした。
それを蒼白い月光に透かすと、コシモは鼻で笑いながら読みあげる。
「親愛なるロイ陛下、あなた様の熱い雄を感じられないこの頃、わたくしの体はうず痒くてたまりーー」
「いやぁぁあ! コシモ様、読まないで、返して! そういう約束でしょ!」
悲鳴に似た声をあげて、令嬢がコシモから手紙を奪いとった。
そして半狂乱で羊皮紙をちぎり、途中、なにを思いついたのか、たいまつに近より紙を燃やしはじめた。
ロイとは、ロイ・ダ・フリンス皇帝のことだろうか。
いや、名前が同じなだけではないか?
しかし、陛下と書いてあるのなら、間違いなく皇帝のことであろう。
目の前の状況を理解できず、ドナロッテの脳内は混乱していた。
燃え盛る義憤とアルコールでぼんやりしていた思考が冴えてきて、脳裏にいやな単語がもちあがる。
ーー姦通。
フリンス帝国は、法教会の本法にもとづいて、一夫一妻制。
コシモと令嬢はまだ婚約の段階ではあるが、立派な不貞だ。ばかりか、皇帝にはすでに妃がいる。
つまるところーー
ーー伯爵令嬢が、フリンス皇帝と、姦通している、……?
ビクッとドナロッテが口元を覆えば、コシモは爽快と言わんばかりに噴き出した。
実際のところ、手紙が誰のものか、そもそも本物なのか、ドナロッテには分かりえない。
ただ、令嬢の慌てぶりをみれば、十中八九は事実で、手紙も彼女の筆跡だろう。となればーー
ーーコシモは令嬢の不貞行為を把握して、婚約破棄したのか?
なるほど、とドナロッテが合点した時、また新たな疑問が浮かびあがる。
ーーじゃあなんでコシモが皇帝と彼女を告訴しないんだ?
あの舞踏会の場面だけをみれば、伯爵令嬢は単なる被害者。
ーーもしかして、コシモは婚約者の名誉を守るために、……?
その可能性がドナロッテの頭をかすめた時、コシモの笑い声が耳に突きささった。
「これを、フリンス皇帝にっ! 判決を求める! くははは!」
ドナロッテのマネをしながら、絶賛大笑い中である。
ーーくぅっ。……この男に限って、それはないっ!
真っ赤な顔で下唇をかみ、ドナロッテはふるふると首をふった。
それから笑いすぎて涙目になったコシモにからかわれながら、証拠隠滅をおえた令嬢に半分脅された形で、ドナロッテはこのことを口外しないと口約した。
疲れきってふらふらと自室に入り、ごろんとベッドの上に仰向けになる。
逆に脅迫を受けてしまうとは。
正義と勇気は信じるべきものではなかったのか、……
ドナロッテは納得いかないまま、ヒリヒリする顔で凝然と低い天井をながめた。
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