突然、天才令嬢に転生してしまった ③ 【南の国編】【西の国編】

ぷりりん

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ものは考えよう

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*******【フェーリ・コンラッド】


 高いアーチ型の天井から燦然さんぜんときらめくシャンデリアがひとつ。大聖堂の中央にぶら下がり、巨大な彫刻の数々を照らしている。

 その光がわずかにしか届かない祭壇の隅には、真っ赤な服に身を包んだ合唱隊の姿があった。

 数十本もの燭台に煌々あかあかとゆれる蝋燭の熱気で聖堂はほんわりと暖かい。
 
 その空気をゆらすように、精巧な青銅扉がひらいた瞬間、プロテモロコの賛美歌が四壁に反響して、輝くステンドグラスの窓をかすかに鳴らした。

 聖職者の一団につづいて、鮮麗なガウンを身にまとったキャサリンが優雅な歩をすすめた。

 身廊しんろうの両側には全身鎧の騎士が一列にずっと並び、その背後に戴冠式を見とどける貴族の行列がある。

 爵位の順で整列しているので、私とキウスは入り口に近い、ほぼ最後尾に立っているのだ。
 ニロは列の先頭にいるから、まだ顔も合わせていない。

 このあと王城に戻れば、キャサリン姫の謁見の儀がある。
 そこでニロにもきっと多くの挨拶がくるだろうから、その対応で自由に動けないと思う。

 そうなれば、やはり夜会にならないと言葉も交わせないのね。

 少し寂しいけれど、同時にやっとキャサリンの顔がみられると思うと、喜びと期待が込みあげてくる。

 実は6年前、キャサリン6才の誕生日で会ってから、ニロは毎年かならず彼女に会いに行くようになったのだ。

 そうして何年か前、ニロが姫に私のことを話したらしく、彼女の描いた私の似顔絵を見せてきて、面白そうに笑った。

 いつも公務で忙しいニロは、年々疲れが溜まってきて、毎週のように会いにきてもすぐに眠ってしまう。

 しかしキャサリンの誕生日の時期になると、ニロは楽しそうに姫の話を語り聞かせてくれるので、それが毎年の楽しみとなったのだ。

 そうしてニロからお互いの話を聞いて、気持ち的には知り合っているようだが、実際に姫とあうのは初めて。

 怖いものしらずで負けず嫌いと聞いたけれど、一体どんな顔をしているのかな……? 

 内心小躍りしながら、姫の足元に垂れかかる毛皮のマントから視線をあげると、ウェーブのかかった長い髪が目に触れた。

 わぁ、綺麗……。

 ニロと同じ甘い蜜のような黄色い髪。

 濡れたような輝きをまとっていて、とても美しい。

 それが柔らかそうに揺れ動く中、愛嬌のある顔は祭壇のほうを高く見すえて、上品な雰囲気を醸しだしている。









 まるで物語の中のお姫様みたい……って、キャサリンは本物のお姫様だよ……! 

 何ボケているのかしら、と自分に突っ込みをいれたくなった。まあ、もうすぐ女王になるけどね。

 初の女王、か……。
 そう考えると、今はまさに歴史的な瞬間だよね。

 ふと胸が熱くなって、嘆美に似た心もちで姫の横顔を眺めた。

 まだ12才と幼いのに、その表情は凛然としていて、どこかニロと似ている。
 すごいしっかりものだわ。

 かなり親しい間柄のようだから、姫はニロの立ち振るまいを見習っているのかも。

 そんな風に思いつつ、姫のつぶらな黒い瞳と視線が交差した刹那、濃いまつげに縁とられたその可憐な眼がきらりと瞬いて、私をまっすぐに捉えてきた。

 あっ、と思わず微笑みかけたら、姫はやや驚いたように目を見開いたあと、口元をほころばせてみせたのだ。

 その肯定的な仕草は間違いなく私に向けるものであった。

 え、こんな大勢の人がいる中、一瞬で私が分かったの?

 ニロから容姿の特徴を聞いているからだと思うけれど、それでもすごいわ……。
 
 もともとお互いを知っているような気がしていたけれど、まさか初めて会った時から私が分かるなんて、なんだか、すごく嬉しい。

 感動して小さく手をふると、姫はその頬を淡く染めて、極わずかに点頭してくれた。

 そして私からニロの居そうなところに視線をそらして、顔に甘い笑みを浮かべたのだ。

 その笑顔は何げなく満足そうにみえるが、得意そうにもみえた。

 そういえば、プロテモロコのほとんどの人は白色で明るい髪色をしている。

 だから当然のように、この行列の中に黒髪をしているのは、王国からきたセデック家とコンラッド家のものだけ。

 つまり、私の近くにいるキウスとその父親、そしてドナルド社長と私の4人だ。

 黒い髪の人が固まっているのだから、改めて考えると、たしかに目立っているかも知れないね。
 いや、それでもすぐに気づいたキャサリンはすごいよ。

 そう納得しつつ、遠くから祭壇にのぼった姫の姿を目で追った。
 
 そうして高位の聖職者が長い長い祈りを唱え終えると、キャサリンの頭より大きめの王冠をかぶせた。

 それから巧緻こうちな銀色の王笏おうしゃくを手渡して、祝福の言葉を紡ぎだしたのだ。

 その長い杖の先端にはめ込まれた翡翠は澄み通っていて、緑色の光彩を放っている。

 正式に即位したキャサリンはその足で大聖堂の外へ出、階段の下の群衆にその姿をみせ、どっと上がった歓声をもって戴冠式が終了した。

 そのあと、王城で行われた謁見の儀でキャサリンと挨拶した時、ずっと会いたかったと言われ、胸がいっぱいになった。

 ニロの言った通り、キャサリンはかしこくて愛らしい子だったわ。

 ちなみに、すでに謁見を終えた貴族たちはその場で自由に雑談している。

 親交をふかめることも大事な仕事だから、ドナルド社長とセデック伯爵はニロのそばに立ち、集まってくる貴族と歓談している。

 最初は、騎士団団長のキウスにも多くの人に声をかけられたが、すべて礼儀上のものだった。

 まあ、セデック家の有爵者はキウスのお父さんだから、大事な話はあちらで語りあうのが普通。

 そういう事情で、夜会まで暇をもてあます私とキウスは、人の少ない、吹き抜けの2階の回廊に立っていたのだ。

 わぁ、ニロの周りにすごい人集りができているわ。

 王国唯一の王子で、しかも女王の叔父だから、貴族なら誰しもニロに顔くらいは覚えてもらいたくなるものね。

 予想どおりニロは挨拶の対応で忙しい。
 それでまだ話せていないが、こうしてニロの顔が見られるだけで嬉しいわ。

 胸に淡い幸福感を味わいつつ、ニロの立ち姿に目を固定していれば、何かを探しているように動く銀色の瞳と視線がぶつかった。

 あ、ニロが笑った。





 もしかして、いまのは私を探していたり……なんて思ったら、ニロはニッと白い歯をみせて、コクリと頷いてくれたのだ。

 え、本当にそうだったんだ…っ

 思わずドキッとして、頬に熱を感じていれば、ニロはそれは嬉しそうに表情を崩して、しばらく私を見あげてきた。

 それほど距離があるわけではないけれど、しっかりと見つめ合えば、2階からでも思考が届くのか。

 なんだかんだでニロと少し会話ができたね。

 そうして妙に艶っぽくて甘いニロの笑顔に胸を躍らせていると、突然視界をふさがれたのだ。

 あれ? と眼を隠されたことに気づいた時、耳元にキウスの熱い息が吹きかかった。

「……いつまで夢をみても、現実は変わりませんよ」

 そう囁くと、私の目を覆ったまま肩を抱きよせて、キウスがやや強引に場所を移動したのだ。

 そのまま建物の外に連れだされ、再び視界を取りもどした時、目の前には石積みの壁があった。

 どうやら、ここはお城の間にある狭い通路のようだ。

 朝から白い粉雪がちらついていたので、暗くなった辺りには薄雪がかかっている。

「少しはやいのですが、夜会の場所へ移動しましょう。そちらに行くとセルンさんもいますよ」

 と私の肩を抱いたまま、キウスが歩きだそうとした。それを拒むように、両脚を踏んばって、キウスの顔を仰ぎみる。

「……どうしました?」

 動こうとしない私をみて、キウスは困ったように眉をさげた。

 ほかの人の目があるところで、ニロと見つめあうのはよくない。

 それでキウスは婚約者として怒っているなら分かるけれど、どうやらそういうわけではないようだ。

 なら尚更、この一連の行動が理解できない。

 ずっと抑えようとした複雑な心情が込みあげてきて、キウスから離れようと、その胸板を押した。

「ねぇ、どうしてこんな意地悪なことをするの?」

 よほど私の反応が予想外だったのか、キウスがかっと目を開いた。


「……いじわる、ですか?」

「うん、この間の湖の時もそうだったけど、キウス様は意地悪だよ」

 キウスをまっすぐに見すえて、はっきりとそう断言すれば、彼によくわからない顔をされた。

「……なぜそう思うのですか?」

 そう聞かれ、深呼吸を一つしてから、覚悟を決めたように言った。

「いまはキウス様の婚約者の身で、こんなことをいうのは非常識だ。でも、キウス様はすでに気づいているようだから、はっきり言うよ? 私はニロと一緒にいたいの。だから、身勝手だけれど、どうしてもこの婚約を解消させたい」

 やや後ろめたく感じたが、グッと気を引きしめて言葉をつづけた。

「あの夜、ムダな希望だとか、カゴの鳥だとか言われてよく分からなかったけれど、いま思えば、キウス様は私の気持ちを分かった上で、あんなことを言ったよね?」

 そう確認すると、キウスは素っ気なく「……はい」とつぶやいた。

 その表情に怒りの色はないが、どこか冷たい感じだった。

「キウス様は貴族として政略結婚を受けいれているの分かるけれど、私はちがうよ。たとえ悪気はなくても、私の意思を知ったうえで、それを蔑むような言い方をするのは意地悪だよ。もし私の考えが不満なら、直接そう言ってくれればいいのに、どうしてわざとこんな冷ややかな傍観者みたいな態度をとるの?」

 一気にそう言いきると、キウスは数秒ほど悩んでから、

「私は別に、イジワルでそう言ったわけではないですよ?」

 と真顔になって、私と向かい合った。

「そもそも、フェーリ様を注意したところで、その心は変わらないだろうから、敢えて言いません。それに、婚約者としての最低限の倫理くらい、フェーリ様は分かっていると信じているから、ニロ王子と見つめ合うくらいで私は気にしません。ただ、このままだとフェーリ様が可哀想だから、わざわざ言ったのですよ?」  

 私の髪の毛をひとふさすくいあげ、それに視線を投げかけつつ、サラッと離した。

「フェーリ様がニロ王子にどんな感情を抱いても、私と結婚するしかありません。結局私とおなじ檻のなかにいるのですから、無意味に足掻いて、傷つくフェーリ様の姿をできれば見たくないです」

「……檻って、またそんなひどいこと…っ」

 ふいに拳をにぎった。

「……コンラッド家に生まれたから、私は籠の鳥だとキウス様は言ったけれど、私はそう思わないよ」

「いいえ。私が言ったのは事実です。フェーリ様がどう思うかと関係ありません」

「──あるよ! 私の人生なんだから、関係あるに決まってるでしょ!」

 胸の奥からにじみ出た不満が憤りとなって、鋭くあがった自分の声と共に燃えさかんだ。

「自分の意思と関係なく婚約を結ばされて、屋敷からもあまり出られなくて、身体の自由はないの分かってる。けれど、私は決して檻の中に囚われているわけではないわ」

 キウスの冷たい眼差しに負けじと、キリッと顔に力をこめた。

「コンラッド家に生まれたから、私はニロと出逢えた。事業の進捗管理でほぼ暇はないけれど、セルンが力を貸してくれるおかげで、コンラッド家でしかできない、私のやりたいことに手を出せる。それで小さな笑顔ひとつだけでも、私の行いが誰かの幸せにつながるのなら、私はそれで満足なの。だから、いつまでも私を無力な小鳥みたいに言うの、本当にやめて欲しい」

「……フェーリ様は無力、ではない?」

 力強くうなずくと、キウスはフッと呆れたように息をもらした。

「やはりまだ甘いですね」

「……甘い?」

「はい。フェーリ様はちゃんと現実を見ていませんから、甘い、ですよ」

 その冷淡な視線は8年まえの時と同じものだった。

「先ほどフェーリ様の言ったコンラッド家でしかできないこと。はっきり言って、それはドナルド様が許可しなければできないことではないですか?」

「……うん。それは自覚しているよ」

「そうですか。はい、なら話は速い。ただ誤解されたくないので、先に言いますが、私はフェーリ様の理想を否定するつもりはありません。フェーリ様の他人を思う、優しいところは好きですよ?」

 私の反応を待っているようだから、真剣にうなずくと、キウスは言葉をつづけた。

「……ただし、ですよ。その見返りを求めない思いは利益につながらない。ですから、ドナルド様は長年フェーリ様の計画書を却下してきました。まだ諦めないでやっているようですが、それ自体無意味な足掻きですよ?」

「……無意味?」

「はい。敢えて言わないようにしてきたのですが、利益のない計画書は決して通ることはありません。今までも、そしてこれからも、永遠に、です。わかりましたら、はやく諦めたほうが身のためですよ」

 否定するつもりはないと言ったけれど、やはりキウスの言い方は厳しい。

「売り言葉に買い言葉のように聞こえるかもだけれど、私の計画書、この間一つ通ったよ。それは最近知り合った人の知恵があっての結果だけど、やっと通ったんだよ」

「…… 最近知り合った人?」 

 怪訝な顔になったキウスに、こくりと首をふった。

「うん、私の言葉が信じられないなら、あとでお父様に聞いて」

「……いいえ、フェーリ様は嘘をつかない子だと分かっています。……そうですか。通ったなら、よかったですね」

 とキウスは口角を極わずかに上げてみせた。
 その乾いた笑顔の深いところで苛立ちを抑えているようにみえる。

「強がっているように聞こえるけど、永遠に叶わないかどうかは、やはり永遠の時までやらないとわからないよ。最初から無理だとすべてを諦めたら、それこそカゴの鳥だよ」

 キウスから目をそらすことなく、そう言い放つと、さっきまでくすんでみえたその漆黒の眼は一瞬だけ揺れた気がする。

 しかし、希望に似た光がチラついた途端、その目は再び曇りはじめたのだ。

 それはまるで底のない深い井戸に呑まれていくような、悲しい錯覚のようだった。

「……そう、ですね。……そういえば、フェーリ様のそういう強いところは新鮮で、いいと思っていました」

 青白い月明かりに彩られたその面持ちは、ひどく寂しそうに映った。

「…… 計画書とちがって、婚約の解消は無理ですから、中途半端に希望を持つと、かえって傷つくだけだと思います。これは私の本音です。しかし、フェーリ様がそれを望むなら、分かりました。もうなにも言いません。……ただ、最後にひとつだけお願いがあります」

 とキウスは心痛こころいたげな笑顔で、私の頬に手をかけてきた。

「最後になって、結局駄目だったとしても、どうか、この瞳の光をなくさないでくださいね」

 何げなく絶望しきったようなその顔色を目にして、先ほどまで燃えあがっていた怒りがさぁと消えていくのを感じた。

「……わかった。そうする」

 そう答えると、キウスは私から離れて、夜会の場へと歩きはじめた。
 
 石壁の間の、影のかかった狭い空間に入ってゆくその背中をみて、思わず声がこぼれでた。

「……ねえ。籠のなかにいるのは私じゃなくて、……キウス様じゃないの?」

 ポツリそうつぶやくと、キウスはピタリと歩く足を止めた。が、私に振りかえることなく、また歩を踏み出していったのだ。

 あ、いまのはちょっと言いすぎた……。

 言い方はキツイけれど、キウスなりに私を心配してくれた。
 
 それなのに、最後に1番ひどいことを言ったのは私のほうかも……。

 ぎゅっと自分の袖を握ったまま、無言でキウスの後ろを追った。

 会場で待っていたセルンは一発で私とキウスの気まずい雰囲気に気づいたようだが、なにも訊いてこなかった。
 
 数刻ほど経ち、ほかの貴族たちも全員そろったところで、壁際に待機しているセルンから離れたのだ。

 そうして、依然と口をつぐむキウスをチラリと見てから、その隣に着席した。
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