上 下
25 / 29

25

しおりを挟む


********【リリト】


 馬蹄の音が裏庭に響く。
 私はハクに跨りながら、赤い円に照準を合わせて弓を引いた。
 
「馬の動きに合わせて肘を水平に、……そう! 上出来! 残り5つもこの調子だ、姫」

 鼓舞するランスロットの声に耳を傾けながら、ドスン、ドスン、と木の的を射ていく。3本、4本とうまくできたが、目がくすんで最後の1本だけ外してしまった。ハクから下りると、ランスロットがやや残念そうな笑顔で近づいてきた。

「昨日は全部狙えただけに最後は惜しかったな。……ん? 元気がないね。体調悪いのか?」

「……大丈夫です」

 昨日は一睡もできなかったのが顔に出ているのだろう。ランスロットが困ったように眉根を下げた。

「辛いことがあるなら隠さないで私に頼っていいんだよ? と言っても、姫は無理するだろうが……」

「ありがとうございます。でも、本当にだい……あっ」

 向こうからこちらに向かってくるサマエルの姿が見えた。私の視線を辿って振り向いたランスロットもサマエルに気づく。
 
「……皇太子、朝練が終わったのか?」

「ああ」

 ここ数日間私たちを避けていたサマエルが足を止めて答えた。それが不思議なのだろう。ランスロットが神妙そうな顔をした。

 一方のサマエルは矢が刺さっている丸い的に目をやりながら訊いた。

「あれらは全部リリトが射たのか?」

「ああ。たったの1週間でこれだ。騎射戦が誇りの王国騎士が嫉妬するレベルの才能だよ」

「そ、そんな! 殿下の教え方が上手だからです! あ、もちろんハクもだよ。安心して身を任せられるから、的に集中できる」

 ヒヒーン! とハクが嬉しそうに前足をあげて小さく跳ねた。

 対面のサマエルはただ澄ました顔でずっと私を見つめている。何を考えているのか、まったく予想がつかない。
 
「……リリト」

「は、はい……!」
 
 呼ばれて思わず緊張してしまう。
 サマエルは固まる私の頭をなでると、珍しく微笑んでみせた。

「よくできた。えらいぞ」

「……ほぇ?」

 どこか拙い優しげな笑顔についパチパチと目を瞬かせてしまう。

「あ、ありがとう、ございます……?」

 サマエルの背後に控える護衛騎士がコクコクと肯定的に点頭した。

「皇太子もよくできた……です」

「………………うるさい。斬るぞ」
 
 サマエルが眉を顰めるといつも通りの恐い顔に戻った。仕切り直すようにゴホンとサマエルが咳払いする。

「昨日は寝てなかっただろ、リリト? 目が赤い」

 節くれ立った指が私の眦を優しく撫でていく。熱い手の感触が昨日のことを思い起こせて、ドンドンと顔に熱が集まってきた。

「だ、大丈夫……わぁっ!」

 突然サマエルに足を掬い上げられ、ふわっと気付けば逞しい両腕の中に抱き上げられていた。お姫様抱っこは案外怖いのだ。アタフタとサマエルの首に抱きつくと、至近距離に形のいい唇が目に入った。

 かぁぁあと湯気が出そうな勢いで顔が熱い。

 私の視線に気づいたのか、サマエルは片頬を吊り上げて意地悪げに笑った。その瞳もまた私の唇に固定して離れない。

「じ、自分で歩けます……!」

「暴れるな、落ちる。……ということで、ランスロット王子。悪いが、リリトを連れていくぞ」

 ランスロットの返事を待たずにサマエルが歩き出した。

「も、申し訳ありません、殿下! また明日……!」

「…………ああ」

 サマエルの肩越しに振り返ったが、木の枝に阻まれてランスロットの顔が見えなかった。しかし、心なしかその声がいつもと違って、ひどく冷たく聞こえた。




☆☆☆☆

 翌日。港町の大広場は見物客でごった返していた。

 昨晩、ランスロットの騎士がトリトンのホラガイを見つけたらしく、急きょサテュロスの公開処刑が決まったのだ。

「ふざけるな! オレ様が何をしたって言うんだ!?  ……ぐっ! くっせぇ、なんだこれはぁ??」

 木板で首を拘束されているサテュロスに向かって、群衆が腐った野菜や卵を投げつける。

「喰らえ、醜い半獣め!」

「ほら見ろ! 口中に投げ入れてやった!」

「とっとと死ね!」

「死ね死ね!」

 まるでお祭りの種目であるかのように人々がサテュロスに罵声を浴びせながら笑っていた。異質な熱気に戸惑っていると、隣にいるトリトンが小さく笑った。

『他人の不幸を見て喜び狂う。やはり人間は恐ろしい生き物ですねぇ』

「人によりますよ……」

『ンフフ、姫は人間が好きですねぇ。私には全員狂気に侵された獣にしか見えませんが』
 
 トリトンは腕を組んで目前の群衆を見下ろした。

『サテュロスより実害を受けたわけでもないのにここまで悪質になれるのです。ましてや己が被害者だと思い込む場合、どんな凶行に出るか予測もできませんねぇ』

「……………………」

 群衆がレータスやトマトを使い切ったのだろう。サテュロスに飛んでいったものが野菜から泥や石に変わりはじめ、その顔は汚物と血でぐちゃぐちゃになっていた。

 罪人を最後まで見届けるのも王族の義務だ。拳を握りしめてこらえていた時、サテュロスと目があった。

「あの人形だ! 全ての元凶! あの人形のせいで息が漏れてんだ、テメェらは騙されてる!」

「何言ってんだ、半獣! 姫は息を封じてくれたお方だぞ!」

「はん! 自分が空けた穴を塞いだだけだ! よく考えてみろ、息が漏れ始めたのはあの人形が生まれた時だろうが!」

「!」

 ざわざわと人垣が揺れ動いた。
 つい近年まで私は王国の民に厄災と囁かれていたのだ。人々も薄々私と息の関連性に気付いている。

 帝国と王国のプロパガンダのおかげで噂は収まったものの、疑いは根底から拭えていない。それを証明するように、群衆の顔に不信の色が現れ始めた。

「皆の者、鎮まれ! 姫が息の元凶ではない!」 

 ランスロットが声を張った。

「姫を作る際に世界樹が伐採された、それが息の原因だ! 姫自身に罪はない!」

「は、結局彼女を作るためなんだろ! 元凶そのものじゃないか!」

「そうだそうだ! 王子は狂わされたんだ! 魔女め!」

 ランスロットの発言を裏つけとしたのだろう。鬱憤の矛先が私に向かってきた。

「何が救世主だ、このペテン師め…っ」

「あんたなんざ産まれてこなければ、お兄さんが優しいままなのに……!」

 1人の少女が私に向かって石を投げた。それをきっかけに群衆が怒りを爆発させて、持っているものを投げつけてきた。

 護衛騎士は檀下にいて、サマエルとランスロットは処刑台のほうにいるため私から離れている。

「くっ、……あ、れ……?」

 思わず頭を庇ったが痛みはこない。
 恐る恐る瞼を開けると、目の前を揺れる金髪がみえた。

「ニニアン、さま……?」

 儀式的に近くに立っていたニニアンが私を庇ってくれた。白い額から一筋の鮮血が滴り落ちる。

 まさか自国の姫に当たると思わなかったのだろう。
 暴徒化寸前の群衆が狼狽えた。しかし、すでに投げつけた石が自然と止まるわけもなく、ニニアンの細い身体に衝突した。

「ニニアン様!」

「近寄らないでくださいまし!」

 ニニアンは足を踏ん張ると、群衆に向かって叫んだ。

「いいこと? あなた達が自身の産まれを選べないのと同じように、リリト姫もご自分の産まれを選べなくてよ! 選択肢も与えられなかった結果になぜ責められなければならないの!?」

 ニニアンの顔から大量の血がポタポタと溢れ出る。甲高い叫声は掠れていたが、感情がこもって広場に響き渡る。しかしそれだけで人々が落ち着くはずもなくーー

「……そ、それとこれは違う!」

「そ、そうよ! そもそもあれは人間じゃないでしょ!」

 勢いは弱まったが、怒りの炎は依然と燻っている。壇上に上がろうとする人だかりもいて、騎士らと攻防戦を広げていた。

『ンフフ、獣にも通じる言葉で教えてあげましょう』

 トリトンが立ち上がった。その巨体が日光を遮って人だかりに大きな影を落とす。

「ぐあぁ!? な、なんだあれは」

 トリトンが三叉槍を振り上げると、海面に水柱が噴き上がって、人々を流すように叩きつけた。

『よく聞け、図にのった獣たちよ』

「し、しゃべった……!?」

  ずぶ濡れになった人々がガクガクと震えた。その口角には海藻らしき痕跡が残っている。

『姫は我が母の体より産まれし者。……即ち、私の妹君です。我が母の息を忌々しいものと蔑み、挙句に助けてやった妹君に牙を剥くとは……』

 言いながらトリトンはホラガイを持ち上げて唇につけた。

『ンフフ。一度、神の怒りを思い知ったほうが良いですねぇ』

 ボォォオン、という猛獣の咆哮のような音が轟く。

「な、なにが起きてるの……!?」

「がぁ!?  あ、あれをみろ! 大海嘯がくる!!」

 地面がガタガタと揺れて、遠くから海面を滑る巨大な波が見えた。

「あ、あんなのが来たら街ごと流されてしまう!!」

「高台だ! 退け!」

 わぁっと人々が我先にと逃げ出す。
 肩を押し合い、倒れる人を踏み台にして垣上へと登っていく。
 
『我が身可愛さに平気で他人を傷つける。どこまでも哀れな生き物ですねぇ』

 眼前の光景を目にして、トリトンが大口を開けて笑った。

「トリトン様! 波を止めてください!」

『どうしてです? 愚かな獣たちに教えなければ分からないですよ。息に誘い出される、己の醜さを』

「ダメです、こんなやり方、間違ってます!」

『間違っているかどうかはやってみないと分かりません。それでも姫が人間と添い遂げたいと言うのなら、止めたりはしませんけどねぇ?』

「…………っ」

 トリトンは本気だ。そんな時、床に押し倒された少女の悲痛な叫びが上がった。

「いやぁあ! 踏まないで、ぎぁあ、痛い、いたぁあい!」

「バカ、行くな!」

 壇上から飛び降りると、向こうからサマエルの声が聞こえた。焦った顔のサマエルに首を振って、少女の元へ向かう。

「足捻ったの? 捕まって!」

「は、離して!」

 よく見れば、彼女は最初に石を投げた少女であった。

「あんたにひどいこと言ったんだ、怒ってるでしょ、偽善は要らない……! うわぁ??」

 少女の足を持ち上げて抱き上げた。腕力に多少の自信はあるものの、明らかに栄養不足な少女は痩せ細っていて軽かった。

「怒ってないよ」

「……えっ?」

「生活が苦しいと優しくいられないよね。全部私のせいにしてあなたが楽になれるなら、それでいいよ」

「なっ…………」  

 少女は琥珀色の瞳を大きく見開いた。

「……綺麗事ばかり、あんたに何が分かる!?  食い物に困り、暴力に怯える日々を……!」

 悔しげな面持ちでバンバンと少女は私を叩いた。

「お兄さんは元々乱暴な一面があったけど、ワッチに手を挙げるほどじゃなかった! すべて息のせい! あんたのせいだ! ……うぅ、なんで足止めないの!!」

「海嘯がくるから壇上までいくよ。トリトン様の近くなら助かるかもしれないから。残ってる人も歩ける人は付いてきて。難しい人は肩に捕まって、ほら」

「…………っ」

 少女に引っ掻かれる私を呆然と見上げてから、周囲の人はそろそろと立ち上がった。1人で歩けない人は恐る恐る私の肩を掴み、ゆっくりと歩く。

「このバカ、無茶ばかり!」

 人雪崩に揉まれながらサマエルが駆けつけた。嫌そうな顔をしているが、私が口を開く前に人々に肩を貸してくれた。

「も、もうダメだ……!」

 見上げれば、いつの間にか大波が目前まで迫ってきた。
 
「リリト、捕まってろ!」

 サマエルが結界を張って構えた。かなり広範囲に張ったため膜は薄い。眼前の激浪と対峙するにはあまりにも心許ない。魔力が回復されておらず、何もできない自分が歯痒い。

「終わりだ……」

「ひぃい! ニニアン姫の言う通り姫は悪くない、なのに叩いてごめんなさい……! ひっ、最後まで酷いこと言ってごめんなさい! 地獄に落ちたくないよぉ、ワッチを赦してぇ…っ」

 良心を苛む罪を抱えたまま死ぬと地獄に堕ちる。この世界の常識だ。

 少女は私の胸に顔を埋めてワンワンと泣き出した。懺悔のような泣き声に胸を打たれたのだろう。近くの人々も涙して赦しを乞うた。

「……大丈夫」

 頑張ったけど声が少しだけ震えてしまった。私はサマエルの手を握ると、精いっぱいの笑顔を作った。

「皆さんも私を赦してくれる? 私を作ったせいで漏れてしまった息で苦しんでいたのは事実だから……ごめんなさい」

 やっと謝罪の言葉が言えた。
 皆に赦されるなら目を閉じてもサマエルと同じ場所へ行けるのかな?

「うぅ、サマエル様。私のせいでこんな目に遭って、ごめんなさい…っ」

「……泣くな、ばーか。お前と一緒なら俺はいい」

 サマエルは私の肩を抱き寄せた。
 その手つきがやけに優しい。厚い胸板の暖かさに心底ホッとして、気づけばポロポロと涙が溢れて止まらない。

「リリト。最後だからもう一度言ってやる。……愛してる、この世界の何よりも」

  ちゅっ、とサマエルの熱い唇が私の額に当たった。

「サマエル様……」

 空を覆い隠すほどの波が、街を呑み込もうと打ち寄せてくる。人々の中心に立ち波のほうを仰ぎ見ていれば、

『ンフフ。やはり、姫は人間が好きですねぇ』

 トリトンが笑った。
 ホラガイを口につけて息を吹き込むと、爽やかなメロディが木霊した。

「なに、これ……」

 私たちに叩きつけんとする怒涛が大きくうねって、飛び散った。水飛沫となった海水が街に降り注ぎ、陽光を反射して七色の虹が半円を描いた。

『お互いを許し合って危機を乗り越える。姫も人々もこれにて和解できました。ンフフ、まさに大団円ですねぇ』

「トリトン様……どうして?」

『ンフフ、妹君を巻き込んで葬るような真似はしませんよ、ただの脅しです。……状況によっては本気、かもしれませんけどねぇ』

 唖然とする私たちを前にして、トリトンは悪びれる様子もなくさっぱりした笑顔を浮かべた。
 雫で濡れる処刑台のほうでは、解かれた縄と木板だけが残されていた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

元平凡高校生の異世界英雄譚 ~転生してチートを手に入れましたが絶対に使いたくありません~

一☆一
ファンタジー
 ごく一般的なゲーム好きの少年、相良 彰人は、神様の抽選の結果、突如心臓発作で死んでしまう。  死者が少ないときに行われるその抽選によって死んでしまったものは神様によってチートを付与され、記憶を残したまま異世界で生きていくことになるのだが、彰人はチートを忌み嫌う、真面目系ゲーマーだった。  貴族、エイリアス・シーダン・ナインハイトとして生まれた彼は、一つの誓いを立てた。  【絶対にチートを使わない。】  努力を重ねるエイリアスだったが、そう簡単に理想は現実に追いつかない。  葛藤し、彼が出す結論とは。 「……生まれ直したこの世界で。後悔だけは、したくないんだ。絶対に」 ※俺TUEEEです。お察しください。

処理中です...