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二幕
拾壱話
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鈴は、琥珀と柘榴の対峙を見つめながら、琥珀が無事に戻ってくることを信じた――
柘榴から溢れる黒い瘴気は、白い神気を放つ琥珀を取り込もうと纏わりつくように襲い掛かる。
その穢れを祓う為、琥珀は手に一矢の弓を持つと以前と同じように、柘榴に向けて放った。
「柘榴、俺はお前を鎮める!!」
「はははっ、やってみろ琥珀。お前の力で私が消せるはずはない」
一矢を放つと、彼女を包む黒い瘴気が手の形に変化しその矢は簡単に吸収された。
彼女は嘲笑うように笑みを浮かべると、今度は自分の番というように琥珀に向けて力を放った。
その力は、琥珀を飲み込まんと彼を襲い、身体を包みだす。
「琥珀さん!!」
思わず鈴は声を上げ、駆けだそうとしたが光の珠に阻止される。
(駄目よ、鈴。貴女が近づいたら命が危ないわ。琥珀様を信じましょう)
「……」
糸の制止に鈴は軽く唇を噛んだ。
大丈夫だと信じたいのに、柘榴の攻撃を見ていると恐ろしくなってしまう。
琥珀の身体が、柘榴の瘴気により黒く霞んでいくのが映るのが見えた。
だが、彼はじっとその攻撃に耐えたまま動かない。
「ふっ、敵うまいと諦めたか?琥珀……さぁ、私と一つになろう」
「……攻撃が通じねぇなら……お前を取り込むしかない」
――この黒い闇もろとも――
このまま、別次元に居続けては鈴の命が危ないと琥珀は思っていた。
生きた人間が、神や別の次元の者が作り出した空間にいることなど本来あってはならない。
自分は彼女と共に生きていく望みがある。
その為に自分は消えるわけにはいかないと強く思った。
「終わらせてやる……」
首にかけてある琥珀色の首飾りを握りしめながら、琥珀は息を整え意識を集中した。
己が今まで生きてきたことを頭に過らせながら……。
自分が柘榴と二つに分かれて生まれてきたこと――
彼女に呪われ選んだ贄とは結ばれることなく終わったこと――
かつての主を彼女が殺めたこと――
「鈴……俺は消えない。絶対に生き残りお前と……生きる!!」
いい放つと、彼女を引き寄せるように抱き寄せる。
同時に喰らわれそうな感覚に陥り、意識が揺らいでいく。
彼女がそれを喜ぶように強く背にしがみついてくるのがわかった。
「放すまい……琥珀、永遠に私のものだ」
「……ぐっ、お前が俺に喰われろっ!」
「……あぁ、琥珀。私とお前は二つで一つ……離れてはいけない宿命なのだ。邪魔する者は排除する……」
呑まれるように身体が奪われていきそうになる――
この身が消えたら、自分は鈴を抱くこともできない……
「お前は、私と同じ化け物なのだ。蛇の神霊が、人として生きるなど馬鹿な話だ」
「うぅっ……馬鹿だと言われようと。俺はもう決めてるんだよ……」
神気が吸い取られていき、薄れゆく意識の中首飾りを強く握りしめ消えまいと堪える。
だが、その抵抗もいつまでもつかわからない。
取り込もうとしたいのに、闇が強すぎる。
ここまで陰の気が強く引き付けるようになっているというのか――?
黒い瘴気の中で、かつての同胞たちの邪念も感じる。
この者が喰らった多くの命――
かつての主も含めすべてこの者が奪っていった。
自分がもし最初から彼女の一部で生まれていなかったら……
このようなことにならず、聖域は平和になっていたかもしれない――
意思を持たねばよかったのか――?
「主…‥」
「ふふっ、あぁ、最後にこの身体で交わろうか?琥珀……まぐわいながらお前を喰らってやる」
「……っ」
彼女の手が、衣の間から忍び込み胸元に触れていく。
その感覚すらまともに感じなくなっている――
その時だった――
「琥珀さん!」
(鈴、駄目……!)
糸の制止を振り切り、鈴は瘴気の間に踏み込み琥珀を抱きしめた。
「……す……ず。よせ……」
「嫌です。私は、琥珀さんがこれ以上傷つくのを見たくない……」
「邪魔な女め……楽しみを……」
「鈴!離れろ!」
このままでは、彼女が柘榴に殺されてしまう。
すぐさま彼女を離そうとすると、不意に口づけをされた。
贄の効果のせいだろうか……
温かい気が流れ込んでくる感じがする――
「っ!!」
「……大好き、琥珀さん……」
「えぇい!!邪魔だ!!何故、お前は琥珀を拒まない……何故、何故だ!呪ってやる!」
「柘榴!鈴にはお前の術なんて通じないんだよ!!」
神気を爆発させ、柘榴を跳ね返すと、彼女は身を震わすようにぶつぶつと何かを呟きだした。
彼女の目が赤黒く光り出し、辺りを纏う瘴気は更に深みを増していった。
少し離れた場所で、糸の声が響いてくる。
(鈴、戻って……琥珀様が大事なのはわかるけど……危ないわ!)
「でも……」
離れてしまったら彼はまた囚われてしまうのではと不安になる。
できれば離れたくはない。自分にも力があったらと思ってしまう……。
沈んでいると、琥珀の手がそっと鈴の顔を上げた。
琥珀はにこやかに微笑むと、口づけをし身を強く抱きしめた。
藤の香りに包まれるように抱かれた後、そっと離される。
「鈴、お楽しみは終わってからだ……今なら生まれてきてよかったと思える。お前に会えたからな」
「……」
(まぁ……)
糸の声が呆れたように響くのが聞こえた。
「糸、お前に会えたことも俺は嬉しかったよ。二人で幸せになろうって思ったんだからな……ま、そうなってたら鈴には会えなかった」
「……」
(私は、願ってたから……ずっと貴方の幸せを。だから、弁天様にお願いしたの。私の後に彼を幸せにしてくれる人を結ばせてって……)
「……え?それって……」
(琥珀様、鈴と添い遂げて……どうか貴方の幸せの為に生きて)
「琥珀――!許さんぞ!忌々しい人間たちめ!琥珀は私のもの……そう、琥珀だけが私のもの。人間の男よりも彼は美しい……そう」
「狂ってるな……。柘榴、いい加減目を覚ませ。翡翠はお前を思っているってのに……」
「翡翠は私の駒にすぎん……慕われども……やはり琥珀、お前がいい」
柘榴はすでに自我を無くしているかのように、一人呟き続けながら瘴気をまき散らしていた。
姿は人型から半人半蛇の姿となり地面を這いずりだす。
「お前を楽にしてやらねぇとな。その穢れきった身体を……負の力を鎮めてやる」
(琥珀様、どうか私の魂をお使いください。そして、彼女の身に眠るあの方を起こせたら……)
「待て、何を言うんだ!糸」
やがて糸の光が強く輝き出し、一つの矢となった。
(どうか、この矢であの者の身を……)
「馬鹿言え!そんなことしたらお前の魂が……」
(たとえ、私が消えようとも……もう貴方には鈴がいる)
「……糸さん」
(鈴、貴女を見てたら琥珀様を大事にしてくれるって思った。だから心配ない……彼をお願いね)
「……はい」
「糸、できない……お前をあいつの攻撃の為に使うなんて」
(琥珀様、彼女を止めるにはこれしかありません。どうか……。私を思い出してくれてありがとう)
彼女の声音を聞きながら、鈴はそっと糸に声を掛ける。
「糸さん、どうか私の身体を……」
(え……?)
「彼に触れてあげてください……」
その光の矢を包むように抱き寄せると、糸の気が流れ込んでくる気がした。
「……琥珀様……」
「糸……」
「……っ。愛していました……貴方と過ごせて幸せでした」
鈴の身を抱き寄せながらも、糸の気を感じた。
あの頃の感情が蘇ってくる気がした。
幸せだったあの頃……
彼女の優しさが俺を孤独から救ってくれた。
「お前には本当に感謝してる……忘れない。ずっと……。では、お前の力貸してもらうぞ」
「はい……」
そう言い残し、鈴の身体から光が離れると、再び光の矢となり琥珀の元に浮かんだ。
その矢を手に取ると、琥珀は柘榴の胸元目掛け力強く放った。
「糸!頼んだ!!」
その一矢は光の線を描きながら、真っすぐに柘榴の身体を打ち抜いた。
「ぎゃああぁぁ!!」
すさまじい咆哮が辺りに響き渡った。
***
二つの力が激突し霧が晴れていくと…‥
その場所に二つの蛇が横たわっているのがわかった。
「……愚かな戦いをしやがって……」
『……私は、死ぬのですね……』
赤褐色の蛇が身を震わせながら、息絶え絶えに話している。
その身を大物主は拾い上げると、自らの力をそっと彼に放った。
『……何をなされた?』
「瑪瑙とか言ったな。お前は今日から我の眷属とする……」
『え……?』
一瞬瑪瑙は何が起こったのか、言葉を失っていると大物主は笑いながら、蛇の身体を撫でた。
「人と神が結ばれる結末を見届けたいだろう?」
『それは……』
『……何が、結ばれるだ……』
すぐそばで同じように、身を震わせながら緑の蛇が語りだした。
『あいつは今頃、主に喰われているさ……はははっ!!』
「お前は、あの女が好きなのだろう……あいつの為なら死をもいとわないと……」
『何が言いたい?』
「翡翠……お前が彼女と共にいたいと言うのなら力をやろう。我が荒魂の一部の力を与える。お前が彼女の陰の気を鎮めろ……そうすればお前は彼女と一つになれる」
『何だと……』
「共に添い遂げたいのだろう?望むならその願い俺が叶えてやる……どうするか?」
『大物主様。この者は簡単に言うことなど……』
「まぁ、待て。翡翠、お前にとっては好都合な話だと思うが?琥珀から彼女を奪い。共に添い遂げられるぞ……」
大物主が悪戯気に翡翠に話す姿を、横から見ていた瑪瑙は、一瞬ぞっとした。
穏やかに話してはいるが、それは確実に死を招くということ……
柘榴と共に自分も死ぬということ――
『いいだろう……俺に力をよこせ!』
そう口にすると、大物主は翡翠に手を翳し荒魂の一部を分け与えた。
その力は神霊といえど強力なのか苦しむ声を上げた。
蛇から人型になった翡翠は、身体を抱えながらも笑い光の中へゆっくり歩いて行った。
『これでよかったのですか……?貴方が戦いを止めれば早い話だというのに……』
「……神は無駄な争いに干渉しない。俺は行く末を見届ける為に手を貸すだけだ」
『……』
「さて、無事にあの者達が帰ってくればいいのだがな……」
瑪瑙たちはまだ戻らない、彼らのいる光の場所を見つづけていた――――
一矢の矢がゆっくりと彼女の身に吸い込まれていくのがわかった。
その矢が完全に飲み込まれた時、彼女の内側から光が溢れるのがわかった。
「ぐあぁ……何だ?何が起こっているぅ……」
「いったい……」
「身体が熱い……何だこれは」
柘榴は溢れる光を閉じ込めようと、自身を抱きしめると頭の中に声が響いてくるのを感じた。
――柘榴、お前の好きにはさせぬ――
「このっ……声は、主?馬鹿な……」
(お前の闇は私が抑え込もう……お前は負の穢れを纏いすぎた)
「何を馬鹿な……琥珀との幸せを邪魔する気か!!」
「何が起こっている……?」
「ぐっ……我が身の気が残っている内に……琥珀!その者を連れてここから逃げろ!」
「!!主……?」
柘榴の姿をしているが、主だと思った――
あの時会いに来てくれた主が、再びこうして話し合っていることに琥珀はあの時の懺悔を口にした。
「申し訳ありません、主……俺は貴女に迷惑ばかり」
「琥珀、もうお前の幸せの為に生きろ……神を取るか、人を取るか。私はお前の幸せを祈っている……だから、早く!この闇を私が抑えている内に!!」
「っ……」
「琥珀さん……」
琥珀は鈴の手を取ると、その場所から離れようとした。だが、その先から翡翠の姿が目に入った。
その姿から強い力が渦巻いているのが見て取れた。
「くくくっ、まだ生きていたか……琥珀」
「翡翠、お前何しに来た……?」
「琥珀、お前にあの方は渡さない!俺が……いただく」
「翡翠……お前、何をするつもりだ?その光はまさか……あの者の?」
「あぁ、主……お久しぶりです。貴女は柘榴様に喰われていたのですね。邪魔だ、消えろ。その身は俺だけのものだ!!」
強い力は柘榴の身体を包み、翡翠は彼女の身を取り込んでいく。
やがて、主の気配は消え去り、柘榴の声音に変わる。
「おぉ、翡翠……戻ってきたか?どうした、鈴を殺さぬか?」
「……後でもできましょう……柘榴様。俺と一つに……」
「な、何を言う?」
「俺のものだ……貴方は俺だけの……」
強い光が彼女の黒い瘴気を飲み込んでいくのが見える。
「何て光だ……」
その光景を見ながら琥珀はじっと二人の様子を見つめていた。
「あぁぁぁっ!何をするか……翡翠。離れろ……」
「離れない……ずっと、貴女と共にいたい。この俺と一つになりましょう。柘榴様…‥」
「馬鹿な、お前にそんな強い力が……まさか、お前!」
「はははっ、やっと俺のものになる。柘榴様……たとえ代わりでも構わない。俺が陽の気の代わりとなって……貴女と交わる……永劫に」
その光が彼女の闇を飲み込んだ後、柘榴と翡翠は一つの大蛇となりて地に落ちた。
『我が身は一つとなり……』
「翡翠、お前……」
その身の自我は翡翠のものになったのか、恨みを込めた声が響き渡る。
やがて、じりじりと自分の元へ近づいてくるのがわかる。
『琥珀、殺してやる……』
「やめて!!」
『うあぁぁぁ!鈴め……殺してくれるぅ』
二つの魂は交互に意識を持ち対峙しているようだった。
荒ぶるものを鎮めるには……
「鈴……こうなったら、俺の神力全部注いで……」
「琥珀さん、何するんですか?」
「俺の力をすべて、こいつにぶつける……こうするしかもう止める方法がない」
「そんなことしたら……琥珀さんは」
もしかしたら、人型を保てなくなるかもしれない……
そうなれば、人として生きる未来は閉じてしまう。
そのような結末にはなりたくないが、やるしかない……
「鈴、こいつを倒して元の場所に帰ろう。だからここで見ててくれ」
「……わかりました」
そう言うと、彼は大蛇目掛けて自らの神気を再び放ち、立ち向かっていった。
「もう共に眠れ―――!」
『琥珀うぅぅぅ――!!』
大蛇が口を開けると瞬時に琥珀を呑み込んだ。
呑み込まれた後、大蛇の動きが一瞬止まった。
だが、一向に彼は出てこない。
大蛇の様子を見ながら鈴は不安に苛まれた。
『琥珀め……じっくり我の一部になるがいい……』
『死ね、琥珀……』
(我ら眷属はここで終わりだ……もう、眠れ……)
大蛇の体内で残る神気を流し込んだ……
琥珀の力に反応したのか、翡翠が受け取っていた荒魂の力が渦を巻き、大蛇の身体を溶かし始めた。
『うあぁぁぁ!!』
(……陰陽を和合し、滅せよ!!)
『消える……消えていく……』
『……柘榴様…‥やっと俺は……』
光の渦が巻くように大蛇の身を溶かすと、光の粒になり消えていった。
やがてその場にいた空間が揺らぎだし、白の世界はもとの沼の辺りに戻っていった。
だが、辺りを見渡しても琥珀の姿は見当たらない――
「嘘……琥珀さん!」
沼の水はきらきらと澄んだ水に変わっていた。
水の底を見ると、彼がしていた首飾りが目に見えた。
「琥珀さん……」
その首飾りを掴む為沼に飛び込み、その飾りに手を伸ばした。
不意にその水の底で一匹の白蛇が目に移った。
彼だ――
(琥珀さん……しっかりして)
その姿を掴むように手を伸ばした。
一緒に帰るために……
急いでその姿を掴み水上へと持ち上げる。
声をかけてみたが、白蛇は動かず項垂れていた。
「琥珀さん、起きて……帰ってきましたよ」
それでも白蛇は動かなかった――
「約束したのに……」
「鈴、終わったのだな……」
声がした方を向くと、大物主と瑪瑙の姿を捉えた。
「大物主様、琥珀さんが……琥珀さんがっ……」
鈴は泣きつくように大物主に縋りついた。
その様子を見るなり、大物主は白蛇に手を添えて気を流し込んだ。
「相当弱っているな……神気を感じられない」
「先程の戦いで……」
『琥珀殿すべての力を翡翠たちに使ったようですね……』
「陰の気が強すぎたか……琥珀、お前は彼女を置いて死ぬつもりか?それがお前の望みか?」
『……っ』
大物主の問いかけに、彼は微かに声を上げた。
だが、その声は弱々しく小さげだった。
「琥珀さん……」
『鈴……ごめんな』
「瑪瑙、琥珀と大事な話がある。鈴を別のところへ連れていってくれ」
「え?」
『かしこまりました……では、鈴殿』
「大丈夫だ、悪いことしないから……暫く二人きりにさせてくれ」
大物主の言葉に、鈴は頷くと蛇の姿の琥珀を大物主に手渡した。
そして、瑪瑙に導かれ神社の境内へと入っていった。
彼女がいなくなったのを確認した大物主は、琥珀に向かい話し出した。
「さて、お前はどちらの世界を選ぶか……人になり彼女と共に生きるか。それとも、蛇神として彼女の一生を見届けるか……」
『そんなこと……決まっています。俺は人になって……』
「だが、神力が弱まっているお前が人になろうとも……お前は彼女より先に亡くなるのは明らかだ」
『……なんだと』
「力も仕えなくなるし、人の世で生きるのは辛いぞ?それでも彼女と共に生きていきたいか?」
大物主の問いかけに、何も言葉がでてこなかった。
自分の世界を捨てて、人としての時間を彼女と歩む――
それは長年の希望だった――
だがいざその話を聞くと不安はある。
それでも、自分は彼女と共にいたいと思った――
神として生き、彼女のもとにいられなくなるくらいなら……
『俺は、人になる……たとえ、俺が彼女を残して先にいくとしても」
「……少し力を戻す必要があるな。人に顕現できるようになって、お前の覚悟ができたらまた俺に話せ」
『……わかりました』
それから数日が経ち、琥珀が境内にて大物主に声を掛けた。
「大神、俺は決めました……」
『何だ?どうするつもりだ……?」
大物主の問いかけに、琥珀は自らが決めた答えを話したのだった。
柘榴から溢れる黒い瘴気は、白い神気を放つ琥珀を取り込もうと纏わりつくように襲い掛かる。
その穢れを祓う為、琥珀は手に一矢の弓を持つと以前と同じように、柘榴に向けて放った。
「柘榴、俺はお前を鎮める!!」
「はははっ、やってみろ琥珀。お前の力で私が消せるはずはない」
一矢を放つと、彼女を包む黒い瘴気が手の形に変化しその矢は簡単に吸収された。
彼女は嘲笑うように笑みを浮かべると、今度は自分の番というように琥珀に向けて力を放った。
その力は、琥珀を飲み込まんと彼を襲い、身体を包みだす。
「琥珀さん!!」
思わず鈴は声を上げ、駆けだそうとしたが光の珠に阻止される。
(駄目よ、鈴。貴女が近づいたら命が危ないわ。琥珀様を信じましょう)
「……」
糸の制止に鈴は軽く唇を噛んだ。
大丈夫だと信じたいのに、柘榴の攻撃を見ていると恐ろしくなってしまう。
琥珀の身体が、柘榴の瘴気により黒く霞んでいくのが映るのが見えた。
だが、彼はじっとその攻撃に耐えたまま動かない。
「ふっ、敵うまいと諦めたか?琥珀……さぁ、私と一つになろう」
「……攻撃が通じねぇなら……お前を取り込むしかない」
――この黒い闇もろとも――
このまま、別次元に居続けては鈴の命が危ないと琥珀は思っていた。
生きた人間が、神や別の次元の者が作り出した空間にいることなど本来あってはならない。
自分は彼女と共に生きていく望みがある。
その為に自分は消えるわけにはいかないと強く思った。
「終わらせてやる……」
首にかけてある琥珀色の首飾りを握りしめながら、琥珀は息を整え意識を集中した。
己が今まで生きてきたことを頭に過らせながら……。
自分が柘榴と二つに分かれて生まれてきたこと――
彼女に呪われ選んだ贄とは結ばれることなく終わったこと――
かつての主を彼女が殺めたこと――
「鈴……俺は消えない。絶対に生き残りお前と……生きる!!」
いい放つと、彼女を引き寄せるように抱き寄せる。
同時に喰らわれそうな感覚に陥り、意識が揺らいでいく。
彼女がそれを喜ぶように強く背にしがみついてくるのがわかった。
「放すまい……琥珀、永遠に私のものだ」
「……ぐっ、お前が俺に喰われろっ!」
「……あぁ、琥珀。私とお前は二つで一つ……離れてはいけない宿命なのだ。邪魔する者は排除する……」
呑まれるように身体が奪われていきそうになる――
この身が消えたら、自分は鈴を抱くこともできない……
「お前は、私と同じ化け物なのだ。蛇の神霊が、人として生きるなど馬鹿な話だ」
「うぅっ……馬鹿だと言われようと。俺はもう決めてるんだよ……」
神気が吸い取られていき、薄れゆく意識の中首飾りを強く握りしめ消えまいと堪える。
だが、その抵抗もいつまでもつかわからない。
取り込もうとしたいのに、闇が強すぎる。
ここまで陰の気が強く引き付けるようになっているというのか――?
黒い瘴気の中で、かつての同胞たちの邪念も感じる。
この者が喰らった多くの命――
かつての主も含めすべてこの者が奪っていった。
自分がもし最初から彼女の一部で生まれていなかったら……
このようなことにならず、聖域は平和になっていたかもしれない――
意思を持たねばよかったのか――?
「主…‥」
「ふふっ、あぁ、最後にこの身体で交わろうか?琥珀……まぐわいながらお前を喰らってやる」
「……っ」
彼女の手が、衣の間から忍び込み胸元に触れていく。
その感覚すらまともに感じなくなっている――
その時だった――
「琥珀さん!」
(鈴、駄目……!)
糸の制止を振り切り、鈴は瘴気の間に踏み込み琥珀を抱きしめた。
「……す……ず。よせ……」
「嫌です。私は、琥珀さんがこれ以上傷つくのを見たくない……」
「邪魔な女め……楽しみを……」
「鈴!離れろ!」
このままでは、彼女が柘榴に殺されてしまう。
すぐさま彼女を離そうとすると、不意に口づけをされた。
贄の効果のせいだろうか……
温かい気が流れ込んでくる感じがする――
「っ!!」
「……大好き、琥珀さん……」
「えぇい!!邪魔だ!!何故、お前は琥珀を拒まない……何故、何故だ!呪ってやる!」
「柘榴!鈴にはお前の術なんて通じないんだよ!!」
神気を爆発させ、柘榴を跳ね返すと、彼女は身を震わすようにぶつぶつと何かを呟きだした。
彼女の目が赤黒く光り出し、辺りを纏う瘴気は更に深みを増していった。
少し離れた場所で、糸の声が響いてくる。
(鈴、戻って……琥珀様が大事なのはわかるけど……危ないわ!)
「でも……」
離れてしまったら彼はまた囚われてしまうのではと不安になる。
できれば離れたくはない。自分にも力があったらと思ってしまう……。
沈んでいると、琥珀の手がそっと鈴の顔を上げた。
琥珀はにこやかに微笑むと、口づけをし身を強く抱きしめた。
藤の香りに包まれるように抱かれた後、そっと離される。
「鈴、お楽しみは終わってからだ……今なら生まれてきてよかったと思える。お前に会えたからな」
「……」
(まぁ……)
糸の声が呆れたように響くのが聞こえた。
「糸、お前に会えたことも俺は嬉しかったよ。二人で幸せになろうって思ったんだからな……ま、そうなってたら鈴には会えなかった」
「……」
(私は、願ってたから……ずっと貴方の幸せを。だから、弁天様にお願いしたの。私の後に彼を幸せにしてくれる人を結ばせてって……)
「……え?それって……」
(琥珀様、鈴と添い遂げて……どうか貴方の幸せの為に生きて)
「琥珀――!許さんぞ!忌々しい人間たちめ!琥珀は私のもの……そう、琥珀だけが私のもの。人間の男よりも彼は美しい……そう」
「狂ってるな……。柘榴、いい加減目を覚ませ。翡翠はお前を思っているってのに……」
「翡翠は私の駒にすぎん……慕われども……やはり琥珀、お前がいい」
柘榴はすでに自我を無くしているかのように、一人呟き続けながら瘴気をまき散らしていた。
姿は人型から半人半蛇の姿となり地面を這いずりだす。
「お前を楽にしてやらねぇとな。その穢れきった身体を……負の力を鎮めてやる」
(琥珀様、どうか私の魂をお使いください。そして、彼女の身に眠るあの方を起こせたら……)
「待て、何を言うんだ!糸」
やがて糸の光が強く輝き出し、一つの矢となった。
(どうか、この矢であの者の身を……)
「馬鹿言え!そんなことしたらお前の魂が……」
(たとえ、私が消えようとも……もう貴方には鈴がいる)
「……糸さん」
(鈴、貴女を見てたら琥珀様を大事にしてくれるって思った。だから心配ない……彼をお願いね)
「……はい」
「糸、できない……お前をあいつの攻撃の為に使うなんて」
(琥珀様、彼女を止めるにはこれしかありません。どうか……。私を思い出してくれてありがとう)
彼女の声音を聞きながら、鈴はそっと糸に声を掛ける。
「糸さん、どうか私の身体を……」
(え……?)
「彼に触れてあげてください……」
その光の矢を包むように抱き寄せると、糸の気が流れ込んでくる気がした。
「……琥珀様……」
「糸……」
「……っ。愛していました……貴方と過ごせて幸せでした」
鈴の身を抱き寄せながらも、糸の気を感じた。
あの頃の感情が蘇ってくる気がした。
幸せだったあの頃……
彼女の優しさが俺を孤独から救ってくれた。
「お前には本当に感謝してる……忘れない。ずっと……。では、お前の力貸してもらうぞ」
「はい……」
そう言い残し、鈴の身体から光が離れると、再び光の矢となり琥珀の元に浮かんだ。
その矢を手に取ると、琥珀は柘榴の胸元目掛け力強く放った。
「糸!頼んだ!!」
その一矢は光の線を描きながら、真っすぐに柘榴の身体を打ち抜いた。
「ぎゃああぁぁ!!」
すさまじい咆哮が辺りに響き渡った。
***
二つの力が激突し霧が晴れていくと…‥
その場所に二つの蛇が横たわっているのがわかった。
「……愚かな戦いをしやがって……」
『……私は、死ぬのですね……』
赤褐色の蛇が身を震わせながら、息絶え絶えに話している。
その身を大物主は拾い上げると、自らの力をそっと彼に放った。
『……何をなされた?』
「瑪瑙とか言ったな。お前は今日から我の眷属とする……」
『え……?』
一瞬瑪瑙は何が起こったのか、言葉を失っていると大物主は笑いながら、蛇の身体を撫でた。
「人と神が結ばれる結末を見届けたいだろう?」
『それは……』
『……何が、結ばれるだ……』
すぐそばで同じように、身を震わせながら緑の蛇が語りだした。
『あいつは今頃、主に喰われているさ……はははっ!!』
「お前は、あの女が好きなのだろう……あいつの為なら死をもいとわないと……」
『何が言いたい?』
「翡翠……お前が彼女と共にいたいと言うのなら力をやろう。我が荒魂の一部の力を与える。お前が彼女の陰の気を鎮めろ……そうすればお前は彼女と一つになれる」
『何だと……』
「共に添い遂げたいのだろう?望むならその願い俺が叶えてやる……どうするか?」
『大物主様。この者は簡単に言うことなど……』
「まぁ、待て。翡翠、お前にとっては好都合な話だと思うが?琥珀から彼女を奪い。共に添い遂げられるぞ……」
大物主が悪戯気に翡翠に話す姿を、横から見ていた瑪瑙は、一瞬ぞっとした。
穏やかに話してはいるが、それは確実に死を招くということ……
柘榴と共に自分も死ぬということ――
『いいだろう……俺に力をよこせ!』
そう口にすると、大物主は翡翠に手を翳し荒魂の一部を分け与えた。
その力は神霊といえど強力なのか苦しむ声を上げた。
蛇から人型になった翡翠は、身体を抱えながらも笑い光の中へゆっくり歩いて行った。
『これでよかったのですか……?貴方が戦いを止めれば早い話だというのに……』
「……神は無駄な争いに干渉しない。俺は行く末を見届ける為に手を貸すだけだ」
『……』
「さて、無事にあの者達が帰ってくればいいのだがな……」
瑪瑙たちはまだ戻らない、彼らのいる光の場所を見つづけていた――――
一矢の矢がゆっくりと彼女の身に吸い込まれていくのがわかった。
その矢が完全に飲み込まれた時、彼女の内側から光が溢れるのがわかった。
「ぐあぁ……何だ?何が起こっているぅ……」
「いったい……」
「身体が熱い……何だこれは」
柘榴は溢れる光を閉じ込めようと、自身を抱きしめると頭の中に声が響いてくるのを感じた。
――柘榴、お前の好きにはさせぬ――
「このっ……声は、主?馬鹿な……」
(お前の闇は私が抑え込もう……お前は負の穢れを纏いすぎた)
「何を馬鹿な……琥珀との幸せを邪魔する気か!!」
「何が起こっている……?」
「ぐっ……我が身の気が残っている内に……琥珀!その者を連れてここから逃げろ!」
「!!主……?」
柘榴の姿をしているが、主だと思った――
あの時会いに来てくれた主が、再びこうして話し合っていることに琥珀はあの時の懺悔を口にした。
「申し訳ありません、主……俺は貴女に迷惑ばかり」
「琥珀、もうお前の幸せの為に生きろ……神を取るか、人を取るか。私はお前の幸せを祈っている……だから、早く!この闇を私が抑えている内に!!」
「っ……」
「琥珀さん……」
琥珀は鈴の手を取ると、その場所から離れようとした。だが、その先から翡翠の姿が目に入った。
その姿から強い力が渦巻いているのが見て取れた。
「くくくっ、まだ生きていたか……琥珀」
「翡翠、お前何しに来た……?」
「琥珀、お前にあの方は渡さない!俺が……いただく」
「翡翠……お前、何をするつもりだ?その光はまさか……あの者の?」
「あぁ、主……お久しぶりです。貴女は柘榴様に喰われていたのですね。邪魔だ、消えろ。その身は俺だけのものだ!!」
強い力は柘榴の身体を包み、翡翠は彼女の身を取り込んでいく。
やがて、主の気配は消え去り、柘榴の声音に変わる。
「おぉ、翡翠……戻ってきたか?どうした、鈴を殺さぬか?」
「……後でもできましょう……柘榴様。俺と一つに……」
「な、何を言う?」
「俺のものだ……貴方は俺だけの……」
強い光が彼女の黒い瘴気を飲み込んでいくのが見える。
「何て光だ……」
その光景を見ながら琥珀はじっと二人の様子を見つめていた。
「あぁぁぁっ!何をするか……翡翠。離れろ……」
「離れない……ずっと、貴女と共にいたい。この俺と一つになりましょう。柘榴様…‥」
「馬鹿な、お前にそんな強い力が……まさか、お前!」
「はははっ、やっと俺のものになる。柘榴様……たとえ代わりでも構わない。俺が陽の気の代わりとなって……貴女と交わる……永劫に」
その光が彼女の闇を飲み込んだ後、柘榴と翡翠は一つの大蛇となりて地に落ちた。
『我が身は一つとなり……』
「翡翠、お前……」
その身の自我は翡翠のものになったのか、恨みを込めた声が響き渡る。
やがて、じりじりと自分の元へ近づいてくるのがわかる。
『琥珀、殺してやる……』
「やめて!!」
『うあぁぁぁ!鈴め……殺してくれるぅ』
二つの魂は交互に意識を持ち対峙しているようだった。
荒ぶるものを鎮めるには……
「鈴……こうなったら、俺の神力全部注いで……」
「琥珀さん、何するんですか?」
「俺の力をすべて、こいつにぶつける……こうするしかもう止める方法がない」
「そんなことしたら……琥珀さんは」
もしかしたら、人型を保てなくなるかもしれない……
そうなれば、人として生きる未来は閉じてしまう。
そのような結末にはなりたくないが、やるしかない……
「鈴、こいつを倒して元の場所に帰ろう。だからここで見ててくれ」
「……わかりました」
そう言うと、彼は大蛇目掛けて自らの神気を再び放ち、立ち向かっていった。
「もう共に眠れ―――!」
『琥珀うぅぅぅ――!!』
大蛇が口を開けると瞬時に琥珀を呑み込んだ。
呑み込まれた後、大蛇の動きが一瞬止まった。
だが、一向に彼は出てこない。
大蛇の様子を見ながら鈴は不安に苛まれた。
『琥珀め……じっくり我の一部になるがいい……』
『死ね、琥珀……』
(我ら眷属はここで終わりだ……もう、眠れ……)
大蛇の体内で残る神気を流し込んだ……
琥珀の力に反応したのか、翡翠が受け取っていた荒魂の力が渦を巻き、大蛇の身体を溶かし始めた。
『うあぁぁぁ!!』
(……陰陽を和合し、滅せよ!!)
『消える……消えていく……』
『……柘榴様…‥やっと俺は……』
光の渦が巻くように大蛇の身を溶かすと、光の粒になり消えていった。
やがてその場にいた空間が揺らぎだし、白の世界はもとの沼の辺りに戻っていった。
だが、辺りを見渡しても琥珀の姿は見当たらない――
「嘘……琥珀さん!」
沼の水はきらきらと澄んだ水に変わっていた。
水の底を見ると、彼がしていた首飾りが目に見えた。
「琥珀さん……」
その首飾りを掴む為沼に飛び込み、その飾りに手を伸ばした。
不意にその水の底で一匹の白蛇が目に移った。
彼だ――
(琥珀さん……しっかりして)
その姿を掴むように手を伸ばした。
一緒に帰るために……
急いでその姿を掴み水上へと持ち上げる。
声をかけてみたが、白蛇は動かず項垂れていた。
「琥珀さん、起きて……帰ってきましたよ」
それでも白蛇は動かなかった――
「約束したのに……」
「鈴、終わったのだな……」
声がした方を向くと、大物主と瑪瑙の姿を捉えた。
「大物主様、琥珀さんが……琥珀さんがっ……」
鈴は泣きつくように大物主に縋りついた。
その様子を見るなり、大物主は白蛇に手を添えて気を流し込んだ。
「相当弱っているな……神気を感じられない」
「先程の戦いで……」
『琥珀殿すべての力を翡翠たちに使ったようですね……』
「陰の気が強すぎたか……琥珀、お前は彼女を置いて死ぬつもりか?それがお前の望みか?」
『……っ』
大物主の問いかけに、彼は微かに声を上げた。
だが、その声は弱々しく小さげだった。
「琥珀さん……」
『鈴……ごめんな』
「瑪瑙、琥珀と大事な話がある。鈴を別のところへ連れていってくれ」
「え?」
『かしこまりました……では、鈴殿』
「大丈夫だ、悪いことしないから……暫く二人きりにさせてくれ」
大物主の言葉に、鈴は頷くと蛇の姿の琥珀を大物主に手渡した。
そして、瑪瑙に導かれ神社の境内へと入っていった。
彼女がいなくなったのを確認した大物主は、琥珀に向かい話し出した。
「さて、お前はどちらの世界を選ぶか……人になり彼女と共に生きるか。それとも、蛇神として彼女の一生を見届けるか……」
『そんなこと……決まっています。俺は人になって……』
「だが、神力が弱まっているお前が人になろうとも……お前は彼女より先に亡くなるのは明らかだ」
『……なんだと』
「力も仕えなくなるし、人の世で生きるのは辛いぞ?それでも彼女と共に生きていきたいか?」
大物主の問いかけに、何も言葉がでてこなかった。
自分の世界を捨てて、人としての時間を彼女と歩む――
それは長年の希望だった――
だがいざその話を聞くと不安はある。
それでも、自分は彼女と共にいたいと思った――
神として生き、彼女のもとにいられなくなるくらいなら……
『俺は、人になる……たとえ、俺が彼女を残して先にいくとしても」
「……少し力を戻す必要があるな。人に顕現できるようになって、お前の覚悟ができたらまた俺に話せ」
『……わかりました』
それから数日が経ち、琥珀が境内にて大物主に声を掛けた。
「大神、俺は決めました……」
『何だ?どうするつもりだ……?」
大物主の問いかけに、琥珀は自らが決めた答えを話したのだった。
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