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レオのことを真剣に考えようと決めてから約一週間。結局答えは出ないままである。
レオと会う機会は数度あったが、どれも仕事の合間の事だったのでお互いに時間もなく少し話した程度だった。
レオのことが嫌いではないのは確かだ。それに、人としては好きだ、と思う。ただ、恋愛対象として好きかと言われると分からない。
それに、今まで男を恋愛対象として見たこともなかったので、正直抵抗がないとも言えない。
決して男同士だから無理だとか言うつもりはない。
ただ、その……もし俺がレオの気持ちを受け入れた場合、何がとは言わないが、おそらく俺は女側な訳で……。
男との経験なんてあるわけがないし、そもそも知識だってほんの少ししかない。
それらを加味して考えると、気軽に答えを出すことが出来ない。
そんな考えがぐるぐるし、最近では仕事でもミスが続いてしまっていた。
(このままじゃダメだよなあ……)
◆◇◆◇◆◇◆
俺は今、城の前にいる。
あの後散々悩んだ結果、一人で考えててもどうしようもねえ! と思い、レオに会いにきたのだ。
レオも忙しいだろうから、会えない可能性もあるが、そうなったらまた出直すつもりだ。
とりあえずは行動あるのみ! ということで、門番さんにレオに会えないかと尋ねてみる。
「えっと、時計屋の方ですよね? 今日はいらっしゃるとは聞いていないのですが……」
「今日は仕事ではなく、私用で来たんですが」
勢いで来てしまったが、よく考えればいくらレオがいたとしても、そう簡単に城に入れるわけがなかった……。
前は仕事で、ランさんが予め伝えておいてくれたからあっさり入れたということを失念していた。
(どうしたものか……)
「あれ? えっと、時計屋さんのリョウさん、だっけ?」
「アンリ様!」
「どうしたの? 今日は僕、頼んでないはずだけど」
門番さんと向き合いながら悩んでいたところに声をかけてくれたのはアンリ様だった。
「実は、レオに会いに来たんですけど、その、約束してた訳じゃなくて……」
「じゃあさ! ちょっと僕の話さない? レオ兄様、今出かけてていないんだけど、もうすぐ帰ってくると思うからさ」
「え?」
「あのレオ兄様があそこまで入れ込む君に、ちょっと興味あるんだよね」
そう言ってアンリ様はどこか可愛らしい、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
まさかの誘いだったが、レオに会うことができるのなら願ったり叶ったりだ。
アンリ様にお礼を言うと、俺は緊張した面持ちで城に足を踏み入れた。
レオと会う機会は数度あったが、どれも仕事の合間の事だったのでお互いに時間もなく少し話した程度だった。
レオのことが嫌いではないのは確かだ。それに、人としては好きだ、と思う。ただ、恋愛対象として好きかと言われると分からない。
それに、今まで男を恋愛対象として見たこともなかったので、正直抵抗がないとも言えない。
決して男同士だから無理だとか言うつもりはない。
ただ、その……もし俺がレオの気持ちを受け入れた場合、何がとは言わないが、おそらく俺は女側な訳で……。
男との経験なんてあるわけがないし、そもそも知識だってほんの少ししかない。
それらを加味して考えると、気軽に答えを出すことが出来ない。
そんな考えがぐるぐるし、最近では仕事でもミスが続いてしまっていた。
(このままじゃダメだよなあ……)
◆◇◆◇◆◇◆
俺は今、城の前にいる。
あの後散々悩んだ結果、一人で考えててもどうしようもねえ! と思い、レオに会いにきたのだ。
レオも忙しいだろうから、会えない可能性もあるが、そうなったらまた出直すつもりだ。
とりあえずは行動あるのみ! ということで、門番さんにレオに会えないかと尋ねてみる。
「えっと、時計屋の方ですよね? 今日はいらっしゃるとは聞いていないのですが……」
「今日は仕事ではなく、私用で来たんですが」
勢いで来てしまったが、よく考えればいくらレオがいたとしても、そう簡単に城に入れるわけがなかった……。
前は仕事で、ランさんが予め伝えておいてくれたからあっさり入れたということを失念していた。
(どうしたものか……)
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「アンリ様!」
「どうしたの? 今日は僕、頼んでないはずだけど」
門番さんと向き合いながら悩んでいたところに声をかけてくれたのはアンリ様だった。
「実は、レオに会いに来たんですけど、その、約束してた訳じゃなくて……」
「じゃあさ! ちょっと僕の話さない? レオ兄様、今出かけてていないんだけど、もうすぐ帰ってくると思うからさ」
「え?」
「あのレオ兄様があそこまで入れ込む君に、ちょっと興味あるんだよね」
そう言ってアンリ様はどこか可愛らしい、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
まさかの誘いだったが、レオに会うことができるのなら願ったり叶ったりだ。
アンリ様にお礼を言うと、俺は緊張した面持ちで城に足を踏み入れた。
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