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先輩はあの後も仕事があるということだったので、それが終わるまで待ってから先輩の家に泊めてもらった。
先輩は騎士として城で働いているそうだ。この国のことについても聞いたが、隣国との関係も良好で貿易も盛んらしく平和で住みやすいと言っていた。
先輩は城で働いているということなので、レオについても聞いてみたが、先輩曰く俺様だと噂高い王子様らしい。第二王子という事で色んな貴族や他国の姫から結婚を申し込まれているらしいが、全て即断してるらしい。
そして事あるごとに城下に出て遊び歩いたりしていると噂らしい。
まあ先輩と王子とは直接関わりはなく、すれ違った程度でしか知らないらしいのであくまで噂だと言っていたが、女性に囲まれているのを見るとあながち間違いではないのかも知れないと思った。
「それにしても、何で俺そんな人にプロポーズされたんだろ? 結婚も断ってるみたいだし、興味ないってことじゃないんですか?」
「お前が相当好みだったんじゃない?」
「男に言い寄られても嬉しくないです」
「そんな格好しといてよく言うぜ」
俺はただ可愛いものが好きだから女装をしているだけであって、決して男にモテたいわけではない。
「レオ様すげえイケメンだし、王子だからお金だってあるし、結婚すれば玉の輿どころじゃないぜ? いいじゃん」
「俺男ですからね?」
「この国は同性婚出来るぜ?」
「そういう問題じゃないです!」
俺はこの時、今後この国で暮らすならレオとはなるべく出会わないように行動しようと心に決めた。しばらく会いさえしなければ面倒にはならないだろう。
あれから数日。俺は先輩の知り合いの女性が営む時計屋で働かせてもらえることになった。
しばらくは先輩の家に居候し、働いてお金を貯めることにしたのだ。
「リョウくん! 悪いんだけどこれ奥に運んでくれる?」
先輩の知り合いで、店主でもあるランさんに頼まれた荷物を店の奥へ運ぶ。
この店は少し前にランさんがお祖父さんから継いだ店らしく、丁度働き手を探していたところだったらしい。
ランさんは、女装している俺をあっさりと受け入れてくれて、女装姿のまま働いていいと言ってくれた心優しい人だ。
「運んでおきました。他にやるとこありますか?」
「ある! 急で悪いんだけど、ちょっとお城にお使い頼める?」
「え?」
「お祖父ちゃんがやってた時に注文されてた時計でね。完成したから、これを第三王子のアンリ様に届けて欲しいの。本当は私が行く予定だったんだけど、ちょっと手が離せなくて……」
(城はまずい……! レオとは出会わないようにと決めたところなのに!)
「いや、でも王子への届け物なんて、ランさんが直接行かなくていいんですか? 俺城なんて行ったことないですし……」
「大丈夫だって! リョウくん礼儀正しいし、仕事も出来るし、お使いくらい余裕よ。今日届けることは伝えてあるから、門番に言えばすぐに入れるわ。じゃあよろしくね!」
「え、いや、ちょっ」
何とか断ろうとするが、ランさんの押しが強く無理やり荷物を渡され店から出されてしまった。
(まじかよ……)
道すら分からぬまま店から追い出された俺は、遠くに見える城を目印に歩いていた。
20分ほど歩くと、遠くから見て想像していたよりも数倍大きな城に辿り着いた。
「すみません。時計屋のランさんの代わりに来たんですけど……」
門番に声をかけると、すぐに中に通してくれた。アンリ様の部屋まではメイドさんが案内してくれるようだ。
門を抜けると、色とりどりの花が咲く広い庭があった。庭を抜け、大きな扉を開いて城に入る。すると、内装はそれはもう豪華な造りになっていた。中央にある螺旋階段はとても存在感がある。
見渡す限り高そうなものばかりが飾ってあり、見慣れぬ景色に緊張してしまう。
レオに会わないかドキドキしながら、メイドさんの後をついて歩く。「アンリ様はランさんのお祖父様の時計がとてもお気に入りだったんですよ」なんて話をしながら歩いていると、突然後ろから声がした。
「リョウ……!」
聞き覚えのある声に名を呼ばれ、恐る恐る振り向く。
そこには俺の予想していた通りの、そして今一番会いたくない人物が立っていた。
先輩は騎士として城で働いているそうだ。この国のことについても聞いたが、隣国との関係も良好で貿易も盛んらしく平和で住みやすいと言っていた。
先輩は城で働いているということなので、レオについても聞いてみたが、先輩曰く俺様だと噂高い王子様らしい。第二王子という事で色んな貴族や他国の姫から結婚を申し込まれているらしいが、全て即断してるらしい。
そして事あるごとに城下に出て遊び歩いたりしていると噂らしい。
まあ先輩と王子とは直接関わりはなく、すれ違った程度でしか知らないらしいのであくまで噂だと言っていたが、女性に囲まれているのを見るとあながち間違いではないのかも知れないと思った。
「それにしても、何で俺そんな人にプロポーズされたんだろ? 結婚も断ってるみたいだし、興味ないってことじゃないんですか?」
「お前が相当好みだったんじゃない?」
「男に言い寄られても嬉しくないです」
「そんな格好しといてよく言うぜ」
俺はただ可愛いものが好きだから女装をしているだけであって、決して男にモテたいわけではない。
「レオ様すげえイケメンだし、王子だからお金だってあるし、結婚すれば玉の輿どころじゃないぜ? いいじゃん」
「俺男ですからね?」
「この国は同性婚出来るぜ?」
「そういう問題じゃないです!」
俺はこの時、今後この国で暮らすならレオとはなるべく出会わないように行動しようと心に決めた。しばらく会いさえしなければ面倒にはならないだろう。
あれから数日。俺は先輩の知り合いの女性が営む時計屋で働かせてもらえることになった。
しばらくは先輩の家に居候し、働いてお金を貯めることにしたのだ。
「リョウくん! 悪いんだけどこれ奥に運んでくれる?」
先輩の知り合いで、店主でもあるランさんに頼まれた荷物を店の奥へ運ぶ。
この店は少し前にランさんがお祖父さんから継いだ店らしく、丁度働き手を探していたところだったらしい。
ランさんは、女装している俺をあっさりと受け入れてくれて、女装姿のまま働いていいと言ってくれた心優しい人だ。
「運んでおきました。他にやるとこありますか?」
「ある! 急で悪いんだけど、ちょっとお城にお使い頼める?」
「え?」
「お祖父ちゃんがやってた時に注文されてた時計でね。完成したから、これを第三王子のアンリ様に届けて欲しいの。本当は私が行く予定だったんだけど、ちょっと手が離せなくて……」
(城はまずい……! レオとは出会わないようにと決めたところなのに!)
「いや、でも王子への届け物なんて、ランさんが直接行かなくていいんですか? 俺城なんて行ったことないですし……」
「大丈夫だって! リョウくん礼儀正しいし、仕事も出来るし、お使いくらい余裕よ。今日届けることは伝えてあるから、門番に言えばすぐに入れるわ。じゃあよろしくね!」
「え、いや、ちょっ」
何とか断ろうとするが、ランさんの押しが強く無理やり荷物を渡され店から出されてしまった。
(まじかよ……)
道すら分からぬまま店から追い出された俺は、遠くに見える城を目印に歩いていた。
20分ほど歩くと、遠くから見て想像していたよりも数倍大きな城に辿り着いた。
「すみません。時計屋のランさんの代わりに来たんですけど……」
門番に声をかけると、すぐに中に通してくれた。アンリ様の部屋まではメイドさんが案内してくれるようだ。
門を抜けると、色とりどりの花が咲く広い庭があった。庭を抜け、大きな扉を開いて城に入る。すると、内装はそれはもう豪華な造りになっていた。中央にある螺旋階段はとても存在感がある。
見渡す限り高そうなものばかりが飾ってあり、見慣れぬ景色に緊張してしまう。
レオに会わないかドキドキしながら、メイドさんの後をついて歩く。「アンリ様はランさんのお祖父様の時計がとてもお気に入りだったんですよ」なんて話をしながら歩いていると、突然後ろから声がした。
「リョウ……!」
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