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第57話 遺跡攻略③ 一気に最下層へ
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「よし、全員乗ったな。ビトラ、術式の調子はどうだ?」
俺は転移魔法陣からはみ出た者がいないことを確認してから、ビトラに話しかけた。
「む。特に問題ない。全員の識別情報を術式の組み込んだところ。行使自体は、もう少し待って欲しい」
「分かった。ビトラのタイミングで魔術を行使してくれ」
「む。了解」
彼女は今、転移魔法陣の最終調整を行っている。
何しろ数千年前からずっと使っていない術式だ。
遺跡から供給される魔力で待機状態にはなっていたようだが、経年劣化による術式の綻びが散見された。
それを直さなければ、安全に転移できない。
適当に作動させて、どことも知れない地中に転移でもしたら目も当てられないからな。
「ねえにいさま、本当に大丈夫なの? 私、転移魔術なんて初めてだわ」
アイラが不安そうな顔で話しかけてきた。
俺の服の端を摘まんで離れないようにしており、かなり緊張してるいるのがうかがえる。
「大丈夫だろ。俺も、パレルモの遺跡でさんざん使っているからな」
言って、俺の隣にいるパレルモを指さす。
「そ、そうなの? というかやっぱり、パレルモちゃんも『魔王の巫女』なのね……ただの可愛らしい女の子にしか見えないんだけど……」
「ふっふっふー、わたしも巫女なのだよー」
パレルモが謎の香ばしいポーズを取ってアイラにドヤ顔をキメているが、転移魔法陣関連については、もちろんパレルモは何もやってない。
俺がパレルモの部屋に積んであった魔導書をイチから読み込んで、全部自分で魔法陣を描いたからな。
正直、あれはかなりキツかった。
「む。ライノ、最終調整が完了した。いつでも飛べる」
そうこうしているうちに、ビトラが転移魔法陣の調整を終えたようだ。
「ああ、大丈夫だ。パレルモ、アイラ、用意はいいか?」
「うん! 大丈夫だよー」
「う、うん。私も、大丈夫……!」
「よし。じゃあビトラ、よろしく頼む」
「む。よろしく頼まれた。アイラ、安心して。私が皆を安全に最下層まで転移させる。――《起動》」
ビトラは軽くうなずくと、目を閉じ集中する。
瞬間、足元の魔法陣が強い光を放った。
淡い光の粒子が魔法陣から立ち上り、周囲を旋回し始める。
転移魔法陣を使うさいはいつも思うのだが、なかなか幻想的な眺めだ。
だが、それもほんの数秒のことだ。
魔法陣から放たれる光が臨界に達する。
同時に、平衡感覚が狂ったような奇妙な感覚を覚え――
景色が一変した。
「アイラ、着いたぞ」
「……えっ? もう終わり?」
目をギュッと瞑って俺の腕にしがみついていたアイラがうっすらと目を開き、辺りを見回して……呆けたような声を上げた。
今俺の視界に見えるのは、先ほどの大部屋の十分の一ほどの部屋だ。
転移魔法陣が放つ淡い光に照らされた室内には、何も置かれていない。
ちょうど視線の先に、鉄製の扉が見えるくらいだな。
殺風景な部屋だ。
「無事に転移できたようだな」
「む。当然。私の術式に失敗などない」
ビトラがふんす、と鼻から息を吹き出した。
パレルモに続いて、ビトラもドヤ顔をしている。
魔王の巫女たちはドヤ顔がお好きらしい。
まあ俺も二人のこの表情は嫌いじゃないが。
「じゃあ、早速ビトラのお宅拝見と行きたいところだが……どうやら先客がいるらしいな」
俺の《気配感知》スキルは、俺たちが転移した瞬間から扉の向こう側に三体の魔物の反応を捉えている。
扉を隔てているせいか、魔物の方はこちらに気づいた様子はない。
「にいさま、それって……」
「分からん。だが、覚悟はしておけ」
「……うん」
アイラが泣きそうな顔で、俺の服の袖をきゅっと握りしめた。
「ビトラ、一応確認だが、この遺跡の最深部は何階層だ?」
「む。地上部分を含めずに、第四十階層目が祭壇の広間になっている」
なるほど。
それならば扉の向こうにいる魔物がイリナやサムリのなれの果てという可能性は薄いだろう。
正直、戦力が万全とは言いがたいイリナとサムリでは、最深部である第四十階層まで到達するのはそもそも不可能に近い。
パレルモの遺跡と同じならば、深く潜れば潜るほど魔物は強力になるし、一定階層ごとに階層主が待ち受けているからな。
となれば、二人は二十五階層から数階層下までのどこかで救助を待っている可能性の方がずっと高い。
まあ、どのみち扉を開けば分かることだ。
「アイラ。どのみちここから出なけりゃ、その先がどうなってるのかなんて分からん」
俺はアイラに話しかける。
「だいたい、あの『魔法剣士』イリナだぞ?いくら斬っても死なないトロールを一瞬で消し炭にする高位火焔魔術を剣に込めてブンブン振り回すような人間兵器だぞ?たった三日やそこらでのたれ死ぬようなタマなわけねーだろ。自分の姉を信じろ」
「そ、そうね! きっとねえさまは……無事よね!」
俺の言葉を聞いて、少しだけアイラに笑顔が戻る。
「……でも、ねえさまのことを悪く言うのは感心しないわ」
が、その笑顔が徐々に黒くなっていく。
「だいたいいつでも美しくかっこいいねえさまのことを『トロールを片手でひねり潰す悪夢の殺戮兵器』ですって? これは聞き捨てならないわ。にいさまが影でそんなことを言っているってねえさまが知ったら、にいさまはどうなってしまうのかしらねー?」
アイラの背後に禍々しいオーラが見える。
……やべ。
これは口が滑ったか?
「ちょっと待てアイラ。さっきのはお前を元気づけようと言ったまでだからな? ホントだぞ? つまりは、言葉の綾ってやつだ。……いやだからホントごめんなさいイリナに殺されてしまいます」
つーかお前、さらっと『人間兵器』からパワーアップさせてんじゃねーよ!
だいたい人間どこいった! お前のねえさま、もう人間やめてるじゃねーか!
実はお前も常日頃からそう思ってたろ!
「えー? どうしようかしらー?」
口に手を当て、くすくすと笑うアイラ。
だが、口元を隠し付け加えるように、
「……ありがとう」
と小さな声で呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。
まあ、多少でも元気を出してくれたなら、なによりだ。
◇
「ここで待っててくれ」
俺は三人にそう告げてから、ほんの少しだけ部屋の扉を開いた。
鍵はかかっていない。
代わりに、隠蔽魔術が外側に施されているようだった。
扉の向こう側には、広大な空間がひろがっていた。
第一階層の転移魔法陣が描かれた部屋よりも、数倍広い。
誰が来るとも知れないのに、煌々と燃え上がる松明。
規則正しく並んだ、太い石造りの支柱。
そして……破壊された祭壇が見えた。
ある種、見慣れた光景だ。
ここはたしかに祭壇の広間だな。
「む。しばらく見ないうちにずいぶんと散らかってしまった」
ビトラが俺と扉の間に身体をねじ込んできて、そうぼやいた。
「お、おい。待ってろって言っただろ」
「む。ライノだけずるい。私も外の様子を見たい」
ずるいとか、そーいう問題じゃないのだが……
だが彼女が言うとおり、広間の様子は惨憺たる有様と言っていい。
床部分には大量の蔦状の植物がはびこり、支柱なんかは天井まで蔦で浸食されつつある。
まるで樹海だ。
いや、ここと比べるのなら、地上の樹海の方がまだ秩序ある風景だろう。
「む。でも、植物などあとで片付ければいい。許しがたいのは、あの不埒者たち」
「あいつらか」
ビトラの蔦髪がザワザワしだした。
おっと、これはかなりご立腹ですね。
俺と彼女の視線の先には、三体の魔物がいた。
――樹魔だ。
のそり、のそりと、蔦に侵食された広間を彷徨っている。
宿主である人間は、かなり前に食い尽くされたようだ。
トレントの樹皮に埋没した頭蓋や、装備品などが見える。
冒険者だろうか?
少なくとも、イリナやサムリではなさそうだな。
俺は転移魔法陣からはみ出た者がいないことを確認してから、ビトラに話しかけた。
「む。特に問題ない。全員の識別情報を術式の組み込んだところ。行使自体は、もう少し待って欲しい」
「分かった。ビトラのタイミングで魔術を行使してくれ」
「む。了解」
彼女は今、転移魔法陣の最終調整を行っている。
何しろ数千年前からずっと使っていない術式だ。
遺跡から供給される魔力で待機状態にはなっていたようだが、経年劣化による術式の綻びが散見された。
それを直さなければ、安全に転移できない。
適当に作動させて、どことも知れない地中に転移でもしたら目も当てられないからな。
「ねえにいさま、本当に大丈夫なの? 私、転移魔術なんて初めてだわ」
アイラが不安そうな顔で話しかけてきた。
俺の服の端を摘まんで離れないようにしており、かなり緊張してるいるのがうかがえる。
「大丈夫だろ。俺も、パレルモの遺跡でさんざん使っているからな」
言って、俺の隣にいるパレルモを指さす。
「そ、そうなの? というかやっぱり、パレルモちゃんも『魔王の巫女』なのね……ただの可愛らしい女の子にしか見えないんだけど……」
「ふっふっふー、わたしも巫女なのだよー」
パレルモが謎の香ばしいポーズを取ってアイラにドヤ顔をキメているが、転移魔法陣関連については、もちろんパレルモは何もやってない。
俺がパレルモの部屋に積んであった魔導書をイチから読み込んで、全部自分で魔法陣を描いたからな。
正直、あれはかなりキツかった。
「む。ライノ、最終調整が完了した。いつでも飛べる」
そうこうしているうちに、ビトラが転移魔法陣の調整を終えたようだ。
「ああ、大丈夫だ。パレルモ、アイラ、用意はいいか?」
「うん! 大丈夫だよー」
「う、うん。私も、大丈夫……!」
「よし。じゃあビトラ、よろしく頼む」
「む。よろしく頼まれた。アイラ、安心して。私が皆を安全に最下層まで転移させる。――《起動》」
ビトラは軽くうなずくと、目を閉じ集中する。
瞬間、足元の魔法陣が強い光を放った。
淡い光の粒子が魔法陣から立ち上り、周囲を旋回し始める。
転移魔法陣を使うさいはいつも思うのだが、なかなか幻想的な眺めだ。
だが、それもほんの数秒のことだ。
魔法陣から放たれる光が臨界に達する。
同時に、平衡感覚が狂ったような奇妙な感覚を覚え――
景色が一変した。
「アイラ、着いたぞ」
「……えっ? もう終わり?」
目をギュッと瞑って俺の腕にしがみついていたアイラがうっすらと目を開き、辺りを見回して……呆けたような声を上げた。
今俺の視界に見えるのは、先ほどの大部屋の十分の一ほどの部屋だ。
転移魔法陣が放つ淡い光に照らされた室内には、何も置かれていない。
ちょうど視線の先に、鉄製の扉が見えるくらいだな。
殺風景な部屋だ。
「無事に転移できたようだな」
「む。当然。私の術式に失敗などない」
ビトラがふんす、と鼻から息を吹き出した。
パレルモに続いて、ビトラもドヤ顔をしている。
魔王の巫女たちはドヤ顔がお好きらしい。
まあ俺も二人のこの表情は嫌いじゃないが。
「じゃあ、早速ビトラのお宅拝見と行きたいところだが……どうやら先客がいるらしいな」
俺の《気配感知》スキルは、俺たちが転移した瞬間から扉の向こう側に三体の魔物の反応を捉えている。
扉を隔てているせいか、魔物の方はこちらに気づいた様子はない。
「にいさま、それって……」
「分からん。だが、覚悟はしておけ」
「……うん」
アイラが泣きそうな顔で、俺の服の袖をきゅっと握りしめた。
「ビトラ、一応確認だが、この遺跡の最深部は何階層だ?」
「む。地上部分を含めずに、第四十階層目が祭壇の広間になっている」
なるほど。
それならば扉の向こうにいる魔物がイリナやサムリのなれの果てという可能性は薄いだろう。
正直、戦力が万全とは言いがたいイリナとサムリでは、最深部である第四十階層まで到達するのはそもそも不可能に近い。
パレルモの遺跡と同じならば、深く潜れば潜るほど魔物は強力になるし、一定階層ごとに階層主が待ち受けているからな。
となれば、二人は二十五階層から数階層下までのどこかで救助を待っている可能性の方がずっと高い。
まあ、どのみち扉を開けば分かることだ。
「アイラ。どのみちここから出なけりゃ、その先がどうなってるのかなんて分からん」
俺はアイラに話しかける。
「だいたい、あの『魔法剣士』イリナだぞ?いくら斬っても死なないトロールを一瞬で消し炭にする高位火焔魔術を剣に込めてブンブン振り回すような人間兵器だぞ?たった三日やそこらでのたれ死ぬようなタマなわけねーだろ。自分の姉を信じろ」
「そ、そうね! きっとねえさまは……無事よね!」
俺の言葉を聞いて、少しだけアイラに笑顔が戻る。
「……でも、ねえさまのことを悪く言うのは感心しないわ」
が、その笑顔が徐々に黒くなっていく。
「だいたいいつでも美しくかっこいいねえさまのことを『トロールを片手でひねり潰す悪夢の殺戮兵器』ですって? これは聞き捨てならないわ。にいさまが影でそんなことを言っているってねえさまが知ったら、にいさまはどうなってしまうのかしらねー?」
アイラの背後に禍々しいオーラが見える。
……やべ。
これは口が滑ったか?
「ちょっと待てアイラ。さっきのはお前を元気づけようと言ったまでだからな? ホントだぞ? つまりは、言葉の綾ってやつだ。……いやだからホントごめんなさいイリナに殺されてしまいます」
つーかお前、さらっと『人間兵器』からパワーアップさせてんじゃねーよ!
だいたい人間どこいった! お前のねえさま、もう人間やめてるじゃねーか!
実はお前も常日頃からそう思ってたろ!
「えー? どうしようかしらー?」
口に手を当て、くすくすと笑うアイラ。
だが、口元を隠し付け加えるように、
「……ありがとう」
と小さな声で呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。
まあ、多少でも元気を出してくれたなら、なによりだ。
◇
「ここで待っててくれ」
俺は三人にそう告げてから、ほんの少しだけ部屋の扉を開いた。
鍵はかかっていない。
代わりに、隠蔽魔術が外側に施されているようだった。
扉の向こう側には、広大な空間がひろがっていた。
第一階層の転移魔法陣が描かれた部屋よりも、数倍広い。
誰が来るとも知れないのに、煌々と燃え上がる松明。
規則正しく並んだ、太い石造りの支柱。
そして……破壊された祭壇が見えた。
ある種、見慣れた光景だ。
ここはたしかに祭壇の広間だな。
「む。しばらく見ないうちにずいぶんと散らかってしまった」
ビトラが俺と扉の間に身体をねじ込んできて、そうぼやいた。
「お、おい。待ってろって言っただろ」
「む。ライノだけずるい。私も外の様子を見たい」
ずるいとか、そーいう問題じゃないのだが……
だが彼女が言うとおり、広間の様子は惨憺たる有様と言っていい。
床部分には大量の蔦状の植物がはびこり、支柱なんかは天井まで蔦で浸食されつつある。
まるで樹海だ。
いや、ここと比べるのなら、地上の樹海の方がまだ秩序ある風景だろう。
「む。でも、植物などあとで片付ければいい。許しがたいのは、あの不埒者たち」
「あいつらか」
ビトラの蔦髪がザワザワしだした。
おっと、これはかなりご立腹ですね。
俺と彼女の視線の先には、三体の魔物がいた。
――樹魔だ。
のそり、のそりと、蔦に侵食された広間を彷徨っている。
宿主である人間は、かなり前に食い尽くされたようだ。
トレントの樹皮に埋没した頭蓋や、装備品などが見える。
冒険者だろうか?
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