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16.考察
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仄暗い路地裏に一人佇んでいた私は、一瞬何が起こったのか理解できなかった。
「…キール君!!」
そこには私しかおらず、叫んだところでもちろん返事はない。
「…」
本当に夢だったのかと思うほど現実離れした出来事だったが、恥ずかしい事に濡れたパンツが紛れもない現実だったと教えてくれている。
(うっ…帰ろう…)
携帯を見ると時刻はとうに正午を回っており、学校に行く気も失せたので、その場で学校に電話をかけて家に帰った。
**
家につき、着替えてベッドに寝転がりながら携帯を開く。
数件のメッセージが入っており、真実からの心配のメッセージとお母さんから今日家に帰るのが難しくなったとの内容だった。
「お母さん今日も帰ってこないのかあ…」
時々仕事の都合で家を空けることはあったが、数日空けることは珍しい。
それだけ大変な案件をこなしているんだろう。
「…」
一人誰もいない静寂の中で思い返すキール君との会話。
「…人を殺した…か」
キール君の事を何も知らないけれど、嘘をついているようには見えなかった。
危険だから近づくなと警告してくれた事も本当に私の身を案じてくれていたように思う。
(私をぶち犯す宣言した貴方も大概危険ですけど)
少年の姿だと油断させて、人の生気を奪うのがきっと彼のスタイルなんだろうなと想像する。
実際私も油断した身ではあるが自分のこと棚にあげすぎでは?
(んー、それにしても引っかかるんだよなあ)
あの状況で私の生気を奪いたかったのなら簡単に奪えたはず。それなのに、そうはせずにアビリウスさんの事を教えてくれた…。
考えれば考える程、キール君が何を思って一連の行動をしていたのか分からなかった。
(第一、私達会ったの初めてだよね…多分)
私達人と夢魔とではそもそも根本的な考え方が違うと言われてしまえばそれまでだが、初対面の相手に対しての言動とはとても思えなかった。
(極め付けは最後だよ…満足って…まるで死ぬ前の遺言じゃん…)
「…ん?」
そこでふと私はとんでも無いことに気づいた。
アビリウスさんが追放されたのなら、その後の事をキール君が知る術はないはず。
私にアビリウスさんの匂い?がついていたとはいえ、それだけで彼の心情なんて読み取れるものなの?
「キール君…アビリウスさんに会ってた?」
もし、そうだとしたら。
キール君に私への伝言を預けていたとしたら?
「…もう、会えないかもしれない」
一つの結論に辿り着いた私は居ても立っても居られなくなり、再びあの路地裏に向かった。
「…キール君!!」
そこには私しかおらず、叫んだところでもちろん返事はない。
「…」
本当に夢だったのかと思うほど現実離れした出来事だったが、恥ずかしい事に濡れたパンツが紛れもない現実だったと教えてくれている。
(うっ…帰ろう…)
携帯を見ると時刻はとうに正午を回っており、学校に行く気も失せたので、その場で学校に電話をかけて家に帰った。
**
家につき、着替えてベッドに寝転がりながら携帯を開く。
数件のメッセージが入っており、真実からの心配のメッセージとお母さんから今日家に帰るのが難しくなったとの内容だった。
「お母さん今日も帰ってこないのかあ…」
時々仕事の都合で家を空けることはあったが、数日空けることは珍しい。
それだけ大変な案件をこなしているんだろう。
「…」
一人誰もいない静寂の中で思い返すキール君との会話。
「…人を殺した…か」
キール君の事を何も知らないけれど、嘘をついているようには見えなかった。
危険だから近づくなと警告してくれた事も本当に私の身を案じてくれていたように思う。
(私をぶち犯す宣言した貴方も大概危険ですけど)
少年の姿だと油断させて、人の生気を奪うのがきっと彼のスタイルなんだろうなと想像する。
実際私も油断した身ではあるが自分のこと棚にあげすぎでは?
(んー、それにしても引っかかるんだよなあ)
あの状況で私の生気を奪いたかったのなら簡単に奪えたはず。それなのに、そうはせずにアビリウスさんの事を教えてくれた…。
考えれば考える程、キール君が何を思って一連の行動をしていたのか分からなかった。
(第一、私達会ったの初めてだよね…多分)
私達人と夢魔とではそもそも根本的な考え方が違うと言われてしまえばそれまでだが、初対面の相手に対しての言動とはとても思えなかった。
(極め付けは最後だよ…満足って…まるで死ぬ前の遺言じゃん…)
「…ん?」
そこでふと私はとんでも無いことに気づいた。
アビリウスさんが追放されたのなら、その後の事をキール君が知る術はないはず。
私にアビリウスさんの匂い?がついていたとはいえ、それだけで彼の心情なんて読み取れるものなの?
「キール君…アビリウスさんに会ってた?」
もし、そうだとしたら。
キール君に私への伝言を預けていたとしたら?
「…もう、会えないかもしれない」
一つの結論に辿り着いた私は居ても立っても居られなくなり、再びあの路地裏に向かった。
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