【完結】劣情を抱く夢魔

朔灯まい

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14.いじわる※

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「っ…!!」
「ごめんね、無理やりちゅーしちゃって」

 わざとらしく謝るキール君は、すでに私の拘束をやめて座ってこちらを見ていた。
 私は目覚めた時に寝かされていたあのふかふかしたところで一人悶えていた。

「……」
「苦しそうだね、大丈夫?」

 言っている内容とは裏腹に椅子から垂れ下がった尻尾がゆらゆらと楽しげに揺れている。

「隠せて…ないけ、ど」
「え?何のことー?」

 白々しいその様子に怒りが湧いてくるが、正直今はそれどころではなかった。

「ギブアップするなら早い方がいいよ」
「…っふぅ…ぅ…」
「俺ももう少し味わいたいし、さ」

 我慢をしているからか、目尻に涙が溜まる私を見てにやりとほくそ笑むキール君。
 
「泣き顔なんて余計に煽ってるようにしか見えないよ?」
「…うっ、さい…!」
「…ま、そういう強気な部分をぐちゃぐちゃにするのも好きだからいいけどさ」

 静観するのは飽きたのか、椅子から立ち上がると私の上に覆い被さってくる。

「泣き顔も可愛くていいね」
「…ぅっ…、んぅ…」
「ここ、触って欲しいんでしょ?」
「んぁっっ??!」

 下着の上から敏感な部分を指でなぞられ、びりびりと電流が体に走る。

「…ちょっと触っただけなのに、お姉さんえっちだね」
「あっ、んっ…ちがっ、」
「パンツぐしょぐしょだよ」
「やっ、だぁ…んんっぁ…!?」

 こりこりと布越しに触られて、羞恥と快楽で涙が止まらない。

「腰、浮いてるよ…気持ちいい?」
「うっ、ぁん…も、やめ…」
「……わかった、やめるね!」
「っ、…」

 絶え間なく襲ってきていた快楽の波がぴたりと止まる。
 心ではそれを望んでいたはずなのに、体は正直でびくびくと痙攣を繰り返している。
 それをわかっているのか、キール君はそのままの体制でこちらを見て笑っているだけ。

「…いいの?やめて」
「うっ、…ん…」
「きついのはお姉さんだよ?」
「……っ、うっさ…い」
「…強情だなあ…何でそんなに抗うのさ」

 ここまで快楽に呑まれずに抵抗する人がいなかったのか、キョトンとした表情でこちらを見ている。

「だ、だっ…て、」
「…」
「気持ちよく、ないもん…」
「……は??」

 確かにとてつもない気持ちよさを体は感じている。けれど、それだけ。
 ただ無理やり体が気持ちよくされているだけの状態に理性は嫌悪感を抱いている。
 アビリウスさんとやっていることは大して変わらないのに、何が違うんだろうと冷静に分析している自分さえいた。

「ここ、こんなことになってるのに?」
「ぁぁっ!!!!」
「…嘘はよくないなあ、」

 それが気に入らなかったのかぐりっと指が下着越しではなく、ナカに直接入って来る。
 今までギリギリのところで持っていた理性を容易く破壊するほどの快楽を与えられ考える余裕などあっという間に奪われる。

「こうやってヤローにも気持ちよくしてもらったんでしょ?!」
「ちがっ、…ぁん!!…あ、び…ぅすさんは…んっ、こんな…してぁっ?!」

 だんだんと激しくなる指の動きに、もはや抵抗する事などできなかった。
 絶頂に達しようとした時、指の動きが突然ぴたりと止まった。

「…今、何て?」
「…はぁ…っぁ…え…?」
「アビリウスって言った?」
「んっ、…」

 奥まで掻き乱していた指は簡単に抜かれ、息も絶え絶えな私に冷たく見下ろしてくるキール君は何だか余裕がないように見えた。
 無意識にアビリウスさんの名前を口に出していたのか、キール君の口から彼の名前が吐き出される。
 
「だ、ったら…なに?」
「ちっ…ヤローの臭いは青目だったのかよ…通りで」

 肯定するとアビリウスさんを知っているのか、忌々しそうに舌打ちをした。
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