ショートショート 【怪奇小説集】

お払い箱

　今世紀最大の問題を解決する発明品が開発された。その名も、お払い箱。

使い方は簡単。会社のフロントに設置するだけ。
あとは、不要な人材が通ると、お払い箱へ自動的に廃棄されるシステム。

このシステムを使えば、いらない人材を、あっさりとリストラすることが可能。
お払い箱に捨てられたくない社員は、がむしゃらに働くので、収益もアップ。

　余分な人件費を削減しつつ、業績が伸びた会社はハッピーになること請け合いで、お払い箱は、売れに売れる大ヒット商品に。

しかし、しばらくすると、導入会社から返品が相次ぐように。
原因は、お払い箱にあるようだ。

どうやら不要な人間を廃棄し続けた結果。そのような人材を採用した上司。はては社長まで、廃棄される事案が発生したとのことであった。

こうして、お払い箱自体が、お払い箱されることになり、倉庫で埃をかぶることとなった。

　大量の不良債権を抱え、路頭に迷いそうな会社に、ある人物が訪ねてくる。

どうもお払い箱を引き取りたいとの申し出。
会社としては、いらないお払い箱をお払い箱できるのであればと、二束三文で了承した。



　今では全国どこの農家でも、このお払い箱を導入している。

なぜなら、植物に害をなす存在が、お払い箱になるのだから。