黒猫文二のうわごと 日常の思い浮かんだことから趣味の漫画・アニメ・映画・ゲームとかの話をダラダラと語るエッセイ

黒猫文二

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名作ハードボイルドアニメ「妖獣都市」や「獣兵衛忍風帖」とか

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「妖獣都市」(1987年)は菊地秀行の伝奇アクション小説が原作で、川尻善昭が監督・キャラクターデザイン・作画監督のアニメ映画。

 普段はサラリーマンをしているが実は魔界の者と戦う闇ガードである滝蓮三郎が魔界側の闇ガードである麻紀絵と共に、五百年に一度行われる人間界と魔界の休戦条約に赴く霊能力者を魔界の過激派から護衛をするというお話の、エログロありの大人向けハードボイルドアクションアニメ。

 初めて観たのはまだ小学生にもなっていなかったころだったと思う。
 そんな幼児がなんで今の地上波では放送出来なさそうなHシーンもある大人向けアニメを観たかというと……。

 1987年~1995年の間に普段は観れない珍しいOVAや劇場アニメを放送していた「アニメだいすき!」という関西ローカル番組があった。
 今みたいにインターネットで気軽に色んな作品の情報や配信を観れたり出来なかった時代では貴重な番組だった。
 そこで放映された色んな作品を、自分とは年の離れた姉が録画をしていて一緒に色んな作品を観ていた。
「妖獣都市」もそのなかの一作だったという事。

 子供向けではない表現だらけの作品だが、それで何か悪影響を受けたわけでもトラウマになったりもせず今でも好きな作品だったりする。

「妖獣都市」はまず初っ端のクモ女のビジュアルから衝撃的だった。
 お洒落なバーで主人公が口説いていたという女性の姿に化けたクモ女がセックス後に両手足が長いクモの足に変形していき、股間も牙の生えた大きな口のような物に変化する。
 主人公を仕留め損ねて去って行く時の動きとか凄くてインパクトあったなー。

 途中で出てきた、胴体が巨大な女性器になって取り込んだ相手を絞り殺そうとする女性モンスターも強烈だった。
 大人になった今だと、あの中に取り込まれて日々の悩みから開放されて気持よく死ねたらそれはそれで幸せなのかもとか少し思ったりもするので、あの誘惑攻撃の恐ろしさがわかるしその誘惑をあっさり跳ね返す主人公のメンタルの強さもわかる。

 劇中に登場する女性キャラはヒロインの麻紀絵も敵側の女性モンスターたちもみんな切れ長の目の妖艶な美女ばかり。
 当時の流行りとも違う劇画タッチなキャラデザはかえってそれが独特の個性となっていて時代に流されることなく今観ても古臭さを感じない(好き嫌いは別れるだろうけど)。

 主人公の滝蓮三郎は見た目も性格も25才には全く見えない昭和のダンディな男前。
 アニメ作品の主人公としてはこういう大人な主人公は当時でも今でも珍しい気がする。
 男の子的には滝が使う特性のごっつい銃が格好良くて好きだったというか今でもああいうの好き。
 威力が強すぎて滝が背にしていた壁が衝撃で崩れてたりするような常人では使えないようなロマン武器。
 素手で魔界の者の体をぶち抜ける超人な滝だからこそ扱えるのだろう。
 この主人公、超人ではあるけど割りとあっさりピンチになって死にかけてはヒロインに助けられたりもする。
 決して弱くもないし格好良く派手に活躍するシーンもあるけど、無敵のスーパーヒーローではなくあくまでも強い「人間」という描かれ方なのがハードボイルド作品らしさを感じる。

 ヒロインの麻紀絵は主人公のピンチを救い敵を秒殺する登場シーンからして強くてカッコイイ黒スーツのクールビューティー。
 人間界では表の仕事としてモデルをしている(完璧すぎる美貌の影響で他のモデルから共演をNGされていてスポンサーも付かないので無名)。
 爪を伸ばして相手を切り刻んだり、元恋人に襲撃されて犯されかけた時は髪の毛を伸ばして相手の技を封じたりも。
 クールな彼女だが滝と共闘していく内に心に変化が。

 そんな、強くてカッコイイ麻紀絵が途中で触手に絡まれたり(生まれて始めて観た触手エロだった)、敵に囚われて前からも後ろからも陵辱されてるシーンとかは今観てもエロいし抜ける。
 別に18禁作品のように長々と描かれてるわけではないし、とっても短いシーンなんだけど、キャラが魅力的でシチュや映像のクオリティーが高いからか短いシーンでも下手な18禁作品よりもグッと来たりする。

 その後の、滝が囚われた彼女を救いに一人で殴り込みをかけるシーンがこれまたカッコイイ。
 最初から感情むき出しで怒りをぶつけるのではなく表向きはクールな態度のまま敵をぶっ殺していくのがいい。
 3人を銃で撃ち殺した後に麻紀絵を陵辱していた男の顔を全力疾走パンチでぶち抜くのとか観ていて気持ちがいい。
 そりゃ、麻紀絵も惚れるわ。

 エログロバイオレンスはあるけど、ただの性格の悪いスケベ爺さんかと思っていた霊能力者の爺さんが実は……とか、最後は主人公とヒロインの二人の愛の力が敵を倒して気持ちのいいハッピーエンドを迎えたりしてスッキリするので見終えた後は爽やかな気持ちになるロマンチックな名作。


 ちなみに「妖獣都市」には実写版があったりする。
「妖獣都市 ~香港魔界篇~」(1992年)という香港映画らしいのだが自分は観たことがない。
 出演者に仲代達矢が居たりして少し気になるが(笑)



 同じ川尻善昭監督の劇場アニメに「獣兵衛忍風帖」(1993年)という名作がある。
 超大雑把に言うと、主人公の牙神獣兵衛が色々あって特殊能力を持った化け物じみた忍びたちと死闘を繰り広げるという内容。
「バジリスク ~甲賀忍法帖~」(2003年)より10年早く、山田風太郎リスペクトの忍者アクション物をオリジナルでやっていたりする。
 ちなみに「妖獣都市」と比べるとHなシーンは少ないので「妖獣都市」よりは気軽にオススメ出来るかも。
 ただ、「妖獣都市」と違って主人公とヒロインがプラトニック・ラブで悲恋で終わるんよな。
 最高に格好良くて面白いアクション映画だけど、見終えた後は少し寂しい気持ちになる。
何度も観たくらい名作だけど。


「獣兵衛忍風帖」には「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」(2003年)というTVシリーズもあった。
 これは期待して観たんだけど、監督が川尻善昭ではないのもあってかコレジャナイ感が強いガッカリ作品だった。
 これの影響でしばらく佐藤竜雄監督のことを嫌っていた時もあった(笑)



 川尻善昭監督というと「バンパイアハンターD」(2002年)もあった。
 これに関してはもう出来が完璧すぎて語ることがないというくらい名作。
 Hなシーンも一切なかったので万人にオススメ出来るゴシックアクション映画。


 そういえば、「獣兵衛忍風帖」の新作が作られるという情報が出て何年も立っているけどどうなっているんだろ。
 「獣兵衛忍風帖BURST」という短編が作られたのまでは知っているけど。
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