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第三章 蜘蛛女
因縁
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十年前。
一足先に眠っている幼いリカを除いたカエデたち姉妹三人は、当時住んでいた家の二階、カエデとミナミの部屋に集まってお菓子を食べながら自分たちが犯して食した獲物の話題で盛り上がっていた。
カエデがふと窓を見ると帰宅中の母親の姿が見えた。いつもならこちらに手を振りながら玄関へと向かっている所なのだがその日は何か様子が違った。硬い表情で後ろを振り返ってから家の玄関とは逆方向にある細い路地へと入っていく。その後を黒いスーツに身を包んだ金髪の女が追っていくのが見えた。
「何あれ、ストーカーって奴?」
ミカは緊張感なくお菓子を口に運ぶ。
確かにただの不審者なら彼女たちの母親にあっさり返り討ちにされるだけの話である。だが、カエデは何か嫌な予感をしていた。
……しばらくたっても母親は帰ってこなかった。
三人は意を決して路地を見に行くことにした。
「嘘でしょ……」
路地には大量の血液と内臓と、母親が身につけていたアクセサリーが飛び散っていた。やがて、彼女たちの母親だったものの中身は黒い灰へと変化して風に吹かれていった。
……そして現在。
「嘘でしょ……」
カエデの後を追ってモニターの確認にやって来たミカは思わずそうつぶやいていた。あの時の死神が自分たちの元にやってきたのだ。
「ミカちゃん、私たちで倒しましょう」
カエデは覚悟を決めていた。愛する母親を殺したであろうあの女を自分の手でかならず仕留めると。
リカの大切なはじめてを邪魔してはならないとミナミはあえて呼ばなかった。
カエデが立てた作戦はこうだ。玄関のドアを開けた瞬間にミカと二人で女に向かって糸を放ちそれぞれで上半身と下半身を縛り上げるというもの。これが成功すれば相手に何もさせずに封殺出来ると考えたのだ。
モニターの向こうでは女は退屈そうに欠伸をしている。カエデとミカは顔を合わせて頷きドアを開けた。
だが、そこには誰もいなかった。
一足先に眠っている幼いリカを除いたカエデたち姉妹三人は、当時住んでいた家の二階、カエデとミナミの部屋に集まってお菓子を食べながら自分たちが犯して食した獲物の話題で盛り上がっていた。
カエデがふと窓を見ると帰宅中の母親の姿が見えた。いつもならこちらに手を振りながら玄関へと向かっている所なのだがその日は何か様子が違った。硬い表情で後ろを振り返ってから家の玄関とは逆方向にある細い路地へと入っていく。その後を黒いスーツに身を包んだ金髪の女が追っていくのが見えた。
「何あれ、ストーカーって奴?」
ミカは緊張感なくお菓子を口に運ぶ。
確かにただの不審者なら彼女たちの母親にあっさり返り討ちにされるだけの話である。だが、カエデは何か嫌な予感をしていた。
……しばらくたっても母親は帰ってこなかった。
三人は意を決して路地を見に行くことにした。
「嘘でしょ……」
路地には大量の血液と内臓と、母親が身につけていたアクセサリーが飛び散っていた。やがて、彼女たちの母親だったものの中身は黒い灰へと変化して風に吹かれていった。
……そして現在。
「嘘でしょ……」
カエデの後を追ってモニターの確認にやって来たミカは思わずそうつぶやいていた。あの時の死神が自分たちの元にやってきたのだ。
「ミカちゃん、私たちで倒しましょう」
カエデは覚悟を決めていた。愛する母親を殺したであろうあの女を自分の手でかならず仕留めると。
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カエデが立てた作戦はこうだ。玄関のドアを開けた瞬間にミカと二人で女に向かって糸を放ちそれぞれで上半身と下半身を縛り上げるというもの。これが成功すれば相手に何もさせずに封殺出来ると考えたのだ。
モニターの向こうでは女は退屈そうに欠伸をしている。カエデとミカは顔を合わせて頷きドアを開けた。
だが、そこには誰もいなかった。
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