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学園編
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いよいよファシアス学園の入学式。
緑を基調とデザインの制服で、成績優秀者には学園から黒いマントが支給される。
もちろん僕はマントを羽織って登校だ。
エトワーテルの者として当然の結果ーーー
キルシュは口をキュッと閉じる。
『家のことなど気にせず楽しんでおいで。』
とても優しい声だった。思い出すだけで恥ずかしくなるような。
だから王都までの馬車の中でその意味を一生懸命考えたのだ。
兄上は実は引きこもっていることによってエトワーテルの評判を下げていることに罪悪感を感じていた?
いや、兄上はいつも堂々としているし、引きこもっているのも理由があるのだと思う。
では、僕がエトワーテルの評判を気にし過ぎないようにというアドバイスだろうか。
僕は考える。考えていたい。考えなければいけないのだ。
だってそうしなきゃ、兄上に破滅願望があるみたいじゃないか。
僕は兄上の腕の中で、思ったことはそれだった。
貴族が家のことを気にせず楽しんでいいときとはいつだろうか。
破滅願望まで行かなくても、兄上は家の事などどうでもいいと思っているのでは無いだろうか。
そんな考えばかり思い浮かんでは消える。
「初めまして、エトワーテルくん。」
いつの間にか隣に座っていた黄緑の髪色をカールさせている男の子に話しかけられる。
キルシュは考えごとをしながらも廊下に張り出された案内を見てクラスの場所を確認し、後ろの方の席に着いていた。
「初めまして、クリスティ様。」
ヒュー クリスティ。侯爵家の長男で、この学年で1番爵位が高い方だ。
辺境伯は侯爵と同じくらいの爵位だが、相手を立てておく。
余計ないざこざは避けたい。
「やめてやめて!ヒューって呼んでよ。今日からクラスメイトなんだから。」
「ではヒューと。僕のこともキルシュと呼んでください。」
それを聞くととヒューは口に手を当てて微笑む。
「ふふ、わかった。敬語も無しで行こ?」
「いえ、それは癖なので。」
別に癖って訳でもないけど、彼をよく知らないのに仲がいいと思われるのもあまり良くない。
「えぇ~、気軽に話せるのキルシュだけなのに。君だってそうじゃないの?」
ヒューは不満そうに肘を付き、ピンク色の目でこちらを見てくる。
自分に価値があることをわかっているその仕草がある人と重なって少し...苦手だ。
「そういう人は作るものだと思っていますので。」
「はっ反論しずらい...。」
その後少しの静寂が訪れ、気づく。
すごく視線を感じる。
まるで獲物を狩るような視線や、こちらを見て頬を染める女子の視線、話しかけるときを伺っている視線。
この学年で侯爵嫡子なのはヒュー1人。そこに辺境伯の兄を持つ僕がいるとなると...なるほど、こうなるのか。
繋がりが欲しいのか、玉の輿を狙っているのか。
エトワーテルの学園にいるときはどう接しようかという視線が最初の数日飛んできただけだったが、これはいつまで続くのだろう。
ヒューの言った気軽に話せる人が僕だけという意味が少しわかってチラリとそちらを見ると、目が合った。
「ね?」
やっぱり苦手。
その後は入学式をやって学校は終わった。
新入生の挨拶はヒューがやったため、僕は座っていただけだ。
今日はそれより大切なことがある。それは寮の部屋だ。
同室の人は同学年の同性だと決まっているが、それ以外は完全なランダム。
僕は学校とはまた違った木のドアの前で深呼吸をする。
ある程度防音機能がついているのか、まだ同室の人は来ていないのか、中から音は聞こえない。
貴族が集まる寮だ。セキュリティはしっかりしていて、鍵もついている。
ヒューみたいな人だったら毎日外泊届を出そう。そして王都にある屋敷で過ごそう。
兄上みたいな人だったら嬉しいな。いや、兄上のような人がこの世に2人もいるわけないじゃないか。
というか兄上みたいな人だったら毎日屋敷に帰って仕事をしているはずだ。だって兄上がそうだったから!
流石です、兄上!
「あっ、あの...僕の部屋に何か用?」
後ろを振り向くと茶色いもさっとした髪に分厚い眼鏡をかけた男の子が立っていた。
僕の部屋、ということはこの人がこれから一緒に過ごしていく人...。
「えーっと、そんなに見られると恥ずかしい、かも?」
彼は今買ってきたであろう何冊もの教科書を重そうに持っているため、首だけ動かして視線を外す。
よかった、仲良くなれそうだ。
「よろしくお願いします。」
「えっ、え?よっよろしく?」
僕は学生証をドアノブにかざし、鍵を開け、中に入った。
彼はそれを見て驚いていたが、僕がドアを押さえて置くとそそくさと中に入ってきた。
中は狭く、真ん中に2つの勉強机、両端にベッドが置いてあった。
入って右が僕のエリアのようで、メイドが用意したであろう本棚に教科書と自主的に持ってきた参考書、本が何冊か入っている。
「全部用意されているなんて...やっぱり上級貴族な、んですか?」
彼は教科書を勉強机の上に積み上げそう尋ねてくる。
それにしても変だ。
「僕を知らないのですか?いえ、責めてるわけではなく。」
「えっと、はい。いえっ、すみませんっ。どこかでお会いしましたか!?」
そう言われてキルシュは気づく。
確かに会ってもいない人を知っているわけないのだ。兄上が行かないパーティに僕が参加するわけもなく、僕のことを知っている人間はいても、顔を知る人は現時点で誰一人いないと言っていい。
ヒューめ、教室の視線はヒューのせいじゃないか。何が『ね?』だ。
「いえ、これが初対面です。すみません、変なこと聞きました。僕はキルシュ エトワーテルです。」
「エトワぁ!?」
彼は自分の声に驚き、手で口を塞いだ。そしてキョロキョロと辺りを見回し始め、僕を見る。
「え、あ、えっ、ぁ、たっタメ口で話してごめんなさいぃ!家だけはどうか!」
手と足が震えている彼の様子でエトワーテルがどう思われているかわかる。
確かにタメ口で話した相手が辺境伯の弟だったなんて可哀想な話だが、エトワーテルを名乗るだけでこんなに萎縮されるなんて、頑張った兄上が可哀想じゃないか。
そうだ、少し意地悪をしちゃおう。
緑を基調とデザインの制服で、成績優秀者には学園から黒いマントが支給される。
もちろん僕はマントを羽織って登校だ。
エトワーテルの者として当然の結果ーーー
キルシュは口をキュッと閉じる。
『家のことなど気にせず楽しんでおいで。』
とても優しい声だった。思い出すだけで恥ずかしくなるような。
だから王都までの馬車の中でその意味を一生懸命考えたのだ。
兄上は実は引きこもっていることによってエトワーテルの評判を下げていることに罪悪感を感じていた?
いや、兄上はいつも堂々としているし、引きこもっているのも理由があるのだと思う。
では、僕がエトワーテルの評判を気にし過ぎないようにというアドバイスだろうか。
僕は考える。考えていたい。考えなければいけないのだ。
だってそうしなきゃ、兄上に破滅願望があるみたいじゃないか。
僕は兄上の腕の中で、思ったことはそれだった。
貴族が家のことを気にせず楽しんでいいときとはいつだろうか。
破滅願望まで行かなくても、兄上は家の事などどうでもいいと思っているのでは無いだろうか。
そんな考えばかり思い浮かんでは消える。
「初めまして、エトワーテルくん。」
いつの間にか隣に座っていた黄緑の髪色をカールさせている男の子に話しかけられる。
キルシュは考えごとをしながらも廊下に張り出された案内を見てクラスの場所を確認し、後ろの方の席に着いていた。
「初めまして、クリスティ様。」
ヒュー クリスティ。侯爵家の長男で、この学年で1番爵位が高い方だ。
辺境伯は侯爵と同じくらいの爵位だが、相手を立てておく。
余計ないざこざは避けたい。
「やめてやめて!ヒューって呼んでよ。今日からクラスメイトなんだから。」
「ではヒューと。僕のこともキルシュと呼んでください。」
それを聞くととヒューは口に手を当てて微笑む。
「ふふ、わかった。敬語も無しで行こ?」
「いえ、それは癖なので。」
別に癖って訳でもないけど、彼をよく知らないのに仲がいいと思われるのもあまり良くない。
「えぇ~、気軽に話せるのキルシュだけなのに。君だってそうじゃないの?」
ヒューは不満そうに肘を付き、ピンク色の目でこちらを見てくる。
自分に価値があることをわかっているその仕草がある人と重なって少し...苦手だ。
「そういう人は作るものだと思っていますので。」
「はっ反論しずらい...。」
その後少しの静寂が訪れ、気づく。
すごく視線を感じる。
まるで獲物を狩るような視線や、こちらを見て頬を染める女子の視線、話しかけるときを伺っている視線。
この学年で侯爵嫡子なのはヒュー1人。そこに辺境伯の兄を持つ僕がいるとなると...なるほど、こうなるのか。
繋がりが欲しいのか、玉の輿を狙っているのか。
エトワーテルの学園にいるときはどう接しようかという視線が最初の数日飛んできただけだったが、これはいつまで続くのだろう。
ヒューの言った気軽に話せる人が僕だけという意味が少しわかってチラリとそちらを見ると、目が合った。
「ね?」
やっぱり苦手。
その後は入学式をやって学校は終わった。
新入生の挨拶はヒューがやったため、僕は座っていただけだ。
今日はそれより大切なことがある。それは寮の部屋だ。
同室の人は同学年の同性だと決まっているが、それ以外は完全なランダム。
僕は学校とはまた違った木のドアの前で深呼吸をする。
ある程度防音機能がついているのか、まだ同室の人は来ていないのか、中から音は聞こえない。
貴族が集まる寮だ。セキュリティはしっかりしていて、鍵もついている。
ヒューみたいな人だったら毎日外泊届を出そう。そして王都にある屋敷で過ごそう。
兄上みたいな人だったら嬉しいな。いや、兄上のような人がこの世に2人もいるわけないじゃないか。
というか兄上みたいな人だったら毎日屋敷に帰って仕事をしているはずだ。だって兄上がそうだったから!
流石です、兄上!
「あっ、あの...僕の部屋に何か用?」
後ろを振り向くと茶色いもさっとした髪に分厚い眼鏡をかけた男の子が立っていた。
僕の部屋、ということはこの人がこれから一緒に過ごしていく人...。
「えーっと、そんなに見られると恥ずかしい、かも?」
彼は今買ってきたであろう何冊もの教科書を重そうに持っているため、首だけ動かして視線を外す。
よかった、仲良くなれそうだ。
「よろしくお願いします。」
「えっ、え?よっよろしく?」
僕は学生証をドアノブにかざし、鍵を開け、中に入った。
彼はそれを見て驚いていたが、僕がドアを押さえて置くとそそくさと中に入ってきた。
中は狭く、真ん中に2つの勉強机、両端にベッドが置いてあった。
入って右が僕のエリアのようで、メイドが用意したであろう本棚に教科書と自主的に持ってきた参考書、本が何冊か入っている。
「全部用意されているなんて...やっぱり上級貴族な、んですか?」
彼は教科書を勉強机の上に積み上げそう尋ねてくる。
それにしても変だ。
「僕を知らないのですか?いえ、責めてるわけではなく。」
「えっと、はい。いえっ、すみませんっ。どこかでお会いしましたか!?」
そう言われてキルシュは気づく。
確かに会ってもいない人を知っているわけないのだ。兄上が行かないパーティに僕が参加するわけもなく、僕のことを知っている人間はいても、顔を知る人は現時点で誰一人いないと言っていい。
ヒューめ、教室の視線はヒューのせいじゃないか。何が『ね?』だ。
「いえ、これが初対面です。すみません、変なこと聞きました。僕はキルシュ エトワーテルです。」
「エトワぁ!?」
彼は自分の声に驚き、手で口を塞いだ。そしてキョロキョロと辺りを見回し始め、僕を見る。
「え、あ、えっ、ぁ、たっタメ口で話してごめんなさいぃ!家だけはどうか!」
手と足が震えている彼の様子でエトワーテルがどう思われているかわかる。
確かにタメ口で話した相手が辺境伯の弟だったなんて可哀想な話だが、エトワーテルを名乗るだけでこんなに萎縮されるなんて、頑張った兄上が可哀想じゃないか。
そうだ、少し意地悪をしちゃおう。
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