60 / 65
後始末はしっかりね? 1
しおりを挟む航太から電話を受け、たまたま近くのファミレスでお茶してたオレと夏樹はとりあえず、航太達がいる学校に向かう。
色々と思うことはあれど、とにかく学校内でいそうな所を事務室で聞いて向かう。
少し前に授業自体は終わっているようで、今見ているとすれば、部活動じゃないか…と教えてもらったので、片っ端から使っていそうな場所を当たるか…と思っていたところ、すれ違いざまに男子生徒が騒いでいる内容が耳に入った。
「あの外人って、津村先輩のお父さんだよな?」
一瞬かちりと止まって、思わず夏樹を見る。
「カイト?行こうよ。とりあえず行かないと」
嫌な予感しかせず、足を止めたオレを急かす夏樹。
今すれ違った生徒が来た方向に行くと、体育館の脇の建物…武道館の入口には予想通りの人集り。人を掻き分けて中に入ってみると、道着を来たハルトさんと、確かあれは自分達より1つ下の、今年居合部の部長になったヤツじゃないかと思い、ちょっとげんなりする。
あいつ…オレにもやられてんだよなぁ……
ふと3年生の始めの頃を思い出す。
合気道の県予選の1ヶ月前、同じクラスの合気道部の部長をやっている田村から助っ人を頼まれた。それも、よりによって団体戦の大将戦の……。
怪我をした自分の代わりに出てくれないか…と頼まれたが、当然断った。
部活内で強いやつならいるだろうと。
確か、下の学年でいたはずだ…と言ったら、あいつはダメだと言った。理由を聞いたら…怪我の原因があいつだと、今年部長になったあいつだと言っていた。
自分の証言しか証拠が無く、事件として扱えず事故扱いになったそうだ。
ちなみに…田村の怪我は全治2ヶ月で、自分が出れないとなると補欠の2年…今年部長になった長嶺が繰り上がりで出るようになるのだが……個人の感情を持ち込んではいけないと思いつつも、割り切ることができなかったそうだ。
コーチに直談判したところ、オレに助っ人を依頼出来たら田村の意向をのむと言われ、嬉々として来たらしい。
まぁ…コーチの先生には、個人的にお世話になってるしなぁ…と思うのだが、なんとも微妙な気分だった。
一応…カイトは段持ちで合気道部にも所属になっていたし、コーチが所属していた合気道の団体に所属して、練習や昇段試験は受けてもいたけれど、部の所属の件は…コーチの個人的な理由だ。
武道に怪我は付き物だけれど、控えに目星い選手が居らず、苦肉の策だった。
結局のところ3年になるまで出番はなかったが、最後のそれが厄介だった。
田村の言う事を全面的に支持する事もできず…かといって、長嶺を出場させるのもタイミング的にあまり良いとは言えない時期だったようだ。
最終的には…オレと長嶺が試合をして、勝った方が本番に出ると言う事になったんだけど…オレ勝っちゃったんだよね。余裕で。
実はギリギリ位で負けようと思ってたんだけど、負けられなかったんだよなぁ。
結局、県予選・県大会とオレが出て、県大会では3位に入ったところで、3年生の出番は終わった。
あれ以来、長嶺の目が怖くて武道館には寄りつかず卒業になったんだけど……。
なんでこんな事になってんの?思わず、航太とコーチに文句を言いそうになってしまった。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
ぼくたちは異世界に行った
板倉恭司
ファンタジー
偶然、同じバスに乗り合わせた男たち──最強のチンピラ、最凶のヤクザ、最狂のビジネスマン、最弱のニート──は突然、異世界へと転移させられる。彼らは元の世界に帰るため、怪物の蠢く残酷な世界で旅をしていく。
この世界は優しくない。剥き出しの残酷さが、容赦なく少年の心を蝕んでいく……。
「もし、お前が善人と呼ばれる弱者を救いたいと願うなら……いっそ、お前が悪人になれ。それも、悪人の頂点にな。そして、得た力で弱者を救ってやれ」
この世界は、ぼくたちに何をさせようとしているんだ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる