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いざ異世界へ 2
しおりを挟む「夏樹…またこれからもよろしくな」
「こちらこそ。カイト…ずっと一緒にいてくれてありがとう。これからもまたずっと一緒にいてね」
特別な言葉も、甘い雰囲気もないけれど、オレ達らしい記念日。
今日、夏樹と役所に婚姻届けを出してきた。
指輪はこれからの予定。
自分で作れたらいいなぁ…と秘かに考えている。
母さんが魔導具を作るように。
夏樹を守れる指輪を作るのが、目下のオレの目標。
今はとりあえず、あまり使い道のなかった小遣いを貯めて買った、シルバーのシンプルなリングのみ。異世界に行って夏樹の両親に会うのに、リングも無いのでは格好がつかない…という、ただ単に見栄を張っただけだけど。
学校から入籍に待ったをかけられていたこともあり、入籍は4月の初めの日取りが良い日を選んでの入籍だった。
異世界へ行くにあたり、結婚の証明的な物が必要かも…とも思ったけど、実際こちらの書類を持って行ったとして、文字が読めない事には、持って行ってもしょうがないのではないか?となり…最終的に、写真を持っていくことにした。
ウエディングフォト…ってやつです。
異世界にはまだ、鮮明な写真の技術はないとの事で、見せたらかなり驚かれるだろう…とは思うけれど、どうせ見せるのは夏樹の両親だ。
少しくらい、こちらの技術を見せたとしてもなんの問題も無いだろうとの事で、卒業式の後、ばあちゃんと母さん、夏樹とオレで撮ってきた。
夏樹のウエディングドレスはばあちゃんの見立てだ。
「本当は自由に選ばせてあげたいんだけど、それは今度ね…」
といって、クラッシックな感じの、レースがふんだんに使われたドレスを選んだ。
写真を異世界に持っていくのだから、それ前提に選んだようだ。
まかりまちがってミニなぞ選んだ日には、卒倒されるから気を付けてねって言われた(汗)
あちらでは、女性は足を見せるのははしたないとされているようだ。
まぁ、この辺はラノベ等にも書いてあったりするからな。
こちらの中世辺りの服装だと思ってくれれば間違いないらしい。
ちなみに…オレはフロックコートと呼ばれる黒の礼装だった。
衣裳屋さんの店員に、衣装写真のモデルやりませんか…と言われ、本気で困ったよ。
オレはひっそり、普通の生活がしたいんだ。
モデルなんて以ての外…っていうのを、帰ってから航太に話したら、また苦笑いされた。
「カイト自覚なさすぎだよ。その見た目でひっそり、普通はありえないから」
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