35 / 65
準備運動始め...です 2
しおりを挟むあれから数日、ウチは…津村さん宅は忙しい。
各自それぞれが…。
あっ、例外が1人…キースさんは除いてね。
忙しい理由は言わずもがな、"引越し"に向けた準備である。
母さんは受けていた仕事もほぼ片付け、今は魔導具を開発中。
ばあちゃんとオレの要望もあり、こちらでの便利な物を異世界へ持っていけないか…と言う希望を極力叶える為、奮闘中。
目下のところは動力の電気を、魔力で代用出来るように、電力の供給元の仕組みを試行錯誤して作成中。
ちなみに、オレは、持ち込みたい物の仕組みを勉強中。
ばあちゃんと母さん曰く、仕組みさえなんとか解れば、単純な作りの物であれば、魔導具として作れるのではないか?との事だった。
そうなのか?ホントに?
実際作った事はないけれど、こちらの世界の常識に当て嵌めると......多分、難しい...と思うんだけど。と、オレは思うんだけど。
まぁ...恐らく「頭の良い奴の言っていることは良く分からない」的なものだろう。
そう思う事にして、色々な物の仕組みを勉強中。
地球程快適に過ごせなくても、ある程度の生活は保ちたいしね。
そうそうそれと...ばあちゃんからの要望、これが一番大変かも?と思ってたら、母さんはあっさり、出来るわよ~と言っていた。
ばあちゃん曰く、異世界に行ったっきりと言うのは、嫌だ...との事。
けど、異世界にも帰りたい……なので、どこか一定の場所に座標を固定し、行き来出来ないか?という事だった。
これは、座標固定の場所の選定さえどうにかなれば、わりと(母さんは)簡単に出来るそうだ。
理論も実証も、実体験済だそうだ。
ただ...当然ながら、人の出入りに不自然さが出やすいから、1ヶ所固定は難しいだろう(オレ、航太、キースさん談)というのと、できればパワースポット的な、魔素の強い場所に近い所が望ましいらしい。
某有名アニメの、どこにでも行けるドア的な形とか、鏡とかだと自然かしら?なんて母さんはブツブツ言っていたが、その辺は良くわからないので、母さんに丸投げのオレ。
いいよね…それぐらい。オレにだって苦手はあるんじゃ。って言ってみた。誰も聞いてくれないけどね(涙)
⚫〇⚫〇
なんだかんだと忙しく日々は過ぎ、気が付けば来週には卒業式が迫っていた。
さんざん悩んだ魔導具は...色々と要望はあったけれど、程々便利な物をピックアップし……異世界への入口も、拠点をいくつか経由するという手段を使い、この町に出入りする時は、最終的には公共の交通機関を使い、"帰ってきた感"を出して行こうと、なんとなく面倒な方法に落ち着いた。
ちなみにスマホについては、充電はソーラーで...通話については、何をどうしたのかさっぱり解らないが、トランシーバーの電波特性を応用したという、補助の魔導具を作っていた。
薄い魔法陣のようなものが描かれたシートを、スマホの裏側に貼り付けて使うようで、同じ魔法陣を持っている者同士なら、ほんの少しの魔力を通すだけで、通話ができるらしい。
キースさんに聞いたところ、異世界でも通信の魔導具は一応あるそうだけれど、凄く魔力を使うし、質がとても悪いらしい。
キースさんのように、魔力が少ない人はそもそも使えないらしく、どうしても使わなければいけない時は、魔石を準備した上で使うようで、今回母さんが作ったこの通信の魔導具は、従来の物に比べるまでもなく凄いものらしい。
魔導具作りは、センスとアイディアが重要で、昔から母さんは魔道具の作り手としては、天才と呼ばれる程だったらしい。
その天才に地球の"科学"が融合されれば、間違いなく異世界最高の魔導具が出来るはずで、きっと異世界に戻ったら引く手あまただろうと。
そうか。引く手あまたか。
こちらでも、翻訳家として引く手あまただったことを思い出す。結局、どこに行っても、母さんは母さんらしい。
あっちとこっちを行き来出来るようになり、色々と選択肢が増えたオレ達。
まぁ...その分、面倒事も増えるんだろうけど、とりあえず普通に生きていたのでは体験出来ない、異世界へ行ける。
不安もあるけど、まずは楽しまなければ。
そう思いいつつ、準備を進めるオレ。
実はかなりワクワクしている。
気分は小学校の遠足前夜だ。
あまり浮かれていると怒られるので、内緒だけどね。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
導きの暗黒魔導師
根上真気
ファンタジー
【地道に3サイト計70000PV達成!】ブラック企業勤めに疲れ果て退職し、起業したはいいものの失敗。公園で一人絶望する主人公、須夜埼行路(スヤザキユキミチ)。そんな彼の前に謎の女が現れ「承諾」を求める。うっかりその言葉を口走った須夜崎は、突如謎の光に包まれ異世界に転移されてしまう。そして異世界で暗黒魔導師となった須夜埼行路。一体なぜ異世界に飛ばされたのか?元の世界には戻れるのか?暗黒魔導師とは?勇者とは?魔王とは?さらに世界を取り巻く底知れぬ陰謀......果たして彼を待つ運命や如何に!?壮大な異世界ファンタジーが今ここに幕を開ける!
本作品は、別世界を舞台にした、魔法や勇者や魔物が出てくる、長編異世界ファンタジーです。
是非とも、気長にお付き合いくだされば幸いです。
そして、読んでくださった方が少しでも楽しんでいただけたなら、作者として幸甚の極みです。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる