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準備運動始め...です 2

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あれから数日、ウチは…津村さん宅は忙しい。
各自それぞれが…。
あっ、例外が1人…キースさんは除いてね。
 
 
忙しい理由は言わずもがな、"引越し"に向けた準備である。
母さんは受けていた仕事もほぼ片付け、今は魔導具を開発中。
ばあちゃんとオレの要望もあり、こちらでの便利な物を異世界へ持っていけないか…と言う希望を極力叶える為、奮闘中。
 
 
目下のところは動力の電気を、魔力で代用出来るように、電力の供給元の仕組みを試行錯誤して作成中。
ちなみに、オレは、持ち込みたい物の仕組みを勉強中。
 
 
ばあちゃんと母さん曰く、仕組みさえなんとか解れば、単純な作りの物であれば、魔導具として作れるのではないか?との事だった。
そうなのか?ホントに?
 
実際作った事はないけれど、こちらの世界の常識に当て嵌めると......多分、難しい...と思うんだけど。と、オレは思うんだけど。
 
 
まぁ...恐らく「頭の良い奴の言っていることは良く分からない」的なものだろう。
そう思う事にして、色々な物の仕組みを勉強中。
 
 
地球こちら程快適に過ごせなくても、ある程度の生活は保ちたいしね。
そうそうそれと...ばあちゃんからの要望、これが一番大変かも?と思ってたら、母さんはあっさり、出来るわよ~と言っていた。
 
 
ばあちゃん曰く、異世界あっちに行ったっきりと言うのは、嫌だ...との事。
けど、異世界あっちにも帰りたい……なので、どこか一定の場所に座標を固定し、行き来出来ないか?という事だった。
 
 
これは、座標固定の場所の選定さえどうにかなれば、わりと(母さんは)簡単に出来るそうだ。
理論も実証も、実体験済だそうだ。
ただ...当然ながら、人の出入りに不自然さが出やすいから、1ヶ所固定は難しいだろう(オレ、航太、キースさん談)というのと、できればパワースポット的な、魔素の強い場所に近い所が望ましいらしい。
 
 
某有名アニメの、どこにでも行けるドア的な形とか、鏡とかだと自然かしら?なんて母さんはブツブツ言っていたが、その辺は良くわからないので、母さんに丸投げのオレ。
いいよね…それぐらい。オレにだって苦手はあるんじゃ。って言ってみた。誰も聞いてくれないけどね(涙)



⚫〇⚫〇




なんだかんだと忙しく日々は過ぎ、気が付けば来週には卒業式が迫っていた。
 
 
さんざん悩んだ魔導具は...色々と要望はあったけれど、程々便利な物をピックアップし……異世界への入口も、拠点をいくつか経由するという手段を使い、この町に出入りする時は、最終的には公共の交通機関を使い、"帰ってきた感"を出して行こうと、なんとなく面倒な方法に落ち着いた。
 
 
ちなみにスマホについては、充電はソーラーで...通話については、何をどうしたのかさっぱり解らないが、トランシーバーの電波特性を応用したという、補助の魔導具を作っていた。
薄い魔法陣のようなものが描かれたシートを、スマホの裏側に貼り付けて使うようで、同じ魔法陣を持っている者同士なら、ほんの少しの魔力を通すだけで、通話ができるらしい。
 
 
キースさんに聞いたところ、異世界でも通信の魔導具は一応あるそうだけれど、凄く魔力を使うし、質がとても悪いらしい。
 
キースさんのように、魔力が少ない人はそもそも使えないらしく、どうしても使わなければいけない時は、魔石を準備した上で使うようで、今回母さんが作ったこの通信の魔導具は、従来の物に比べるまでもなく凄いものらしい。
 
 
魔導具作りは、センスとアイディアが重要で、昔から母さんは魔道具の作り手としては、天才と呼ばれる程だったらしい。
 
 
その天才に地球こっちの"科学"が融合されれば、間違いなく異世界最高の魔導具が出来るはずで、きっと異世界あちらに戻ったら引く手あまただろうと。
 
 
そうか。引く手あまたか。
こちらでも、翻訳家として引く手あまただったことを思い出す。結局、どこに行っても、母さんは母さんらしい。
 
あっちとこっちを行き来出来るようになり、色々と選択肢が増えたオレ達。
まぁ...その分、面倒事も増えるんだろうけど、とりあえず普通に生きていたのでは体験出来ない、異世界へ行ける。
 
 
不安もあるけど、まずは楽しまなければ。
そう思いいつつ、準備を進めるオレ。
実はかなりワクワクしている。
気分は小学校の遠足前夜だ。


あまり浮かれていると怒られるので、内緒だけどね。
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