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もふもふさんこんにちは2

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『へにょ……』


そんな言葉がお似合いのオレの耳。
不思議だ...見れば見る程不思議だ。


だってケモ耳もあるけど、人間の普通の耳も付いてる。
耳が4つ。
特に聴こえが良くなる感じではない。
ケモ耳も人間の耳も、普通に音は拾っているようだ。


不思議だ。
面白い。
まさか本物のケモ耳を見れるとは思わなかった…自分のだけど。


好奇心はあるけど、実は落ち込んでいるのが丸わかりの耳と尻尾。


そう...尻尾もですよ。
気を抜くと、足の間に尻尾をしまってしまう位にはびびってますよ。


実は...夏樹を置き去りにするように急に走り出した理由はこれだ。
心のアラームと共に、すごく...凄く違和感を持ったのが、お・し・り。


いや...ホントに過去に類を見ない程の違和感だったので、急いだ。
この箱を持っていた時感じた、ジリジリとした感じとお尻の違和感。


原因はこれ?


他に原因が見当たらず、テーブルの上の宝石箱を凝視する。
触ってはいけないような塗料が塗ってあって、それに反応した?
いやいや...アレルギーじゃないんだから。


あまり触って壊すのも怖いし、母さんが帰る前に開けるのもマナー違反だよな。


結論も何もないまま、うだうだと過ごしてる内に、玄関が開く音がして、母さん達の帰宅を知らせる。

これでどうにか解決できる……

そう思った瞬間玄関から、「うおぉっ!?」と、キースさんの声とガシャンという、何かを落としたと思われる音。

そして…………


「あれ?なんで出てんの?あれ?」
という慌てたキースさんの声と、

「何?なんでこんな家の中に魔素が充満してるの?」
という驚いた母さんの声だった。





⚫〇⚫〇


母さんが帰宅して数時間。


慌てて帰ったオレを心配して来てくれた夏樹が、今現在オレの隣にいて、深刻な顔をした3人(?)を余所に、ソファに座るオレの隣で、ニコニコしながら頭や尻背中を撫でております。


思ったより少し硬いのねぇ…とか、ふさふさもふもふ...かわいい♪とか言いながら、ひたすら、なでなでなでなでなでなでなで。


そんな夏樹を見ながら難しい顔をして、向かいのソファに座る母さん……と床に正座するキースさん。
買い物してきたお高い細工用の道具を、キースさんが落として壊したらしい。



只今反省中のキースさん。
くまの耳って、感情とかで向きが変わったりしなさそうだな。
なんて、考えながら頭を抱えるオレ。


カオスってやつ?
多分...これがカオスってやつですよ!
意味もなく叫びたくなっても叫べない……。


だって...オレ、今、オオカミですからっ!!

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