私も異世界に転生してみたい ～令嬢やめて冒険者になります～

１０３、惑う

婚約式の為登城したはずなのに……


ジリジリとした気持ちでロイスとソラの帰還を待つジュリエッタ。マリーには王太子殿下が勇者である事を聞いた時点で、無意識に『彼は無事だろう』と思い込んだ。
だって勇者だしね……と。


けど……物語ではその他の演者には容赦がない事を知っている。物語がハッピーエンドで終わるのは主人公であるヒーローやヒロインのみなのだ。


「祈る……しかできないのかな……」


この物語の主人公は勇者である王太子殿下。
じゃあヒロインは……？


周囲の人の話や先程の神官の話を思い返す。
この物語の主役はやはり私なのだろうか？そう思うとそこからは悪い事しか浮かばなくなる。


「信じて待っていれば…無事を祈って待つのも試練なのかもしれませんよ？」


落ち着かず部屋の中をうろうろする私を見兼ねたのか、マリーがボソッと呟く。


「そう……かもね」


マリーの言葉で負のスパイラルからなんとか抜け出せたかと思った時それは起こった……。


「ジュリ様っ！窓から離れて下さいっっ！」


遠く離れた塀の向こうから凄まじい魔力の爆発と共に、目も眩むような強い光が上がった。


「あれは何っ！？ソラはっ？ロイス様はっ？」


突然上がった強い光に胸騒ぎを覚え思わず叫んだ。そして、何故か私はその場で気を失った。