私も異世界に転生してみたい ～令嬢やめて冒険者になります～

６７、遭遇

嫌がらせが殆どなくなった。


ロイス様とボードウィルさんに嫌がらせの話しをしたあとぐらいからだろうか？
あの強い視線はいまだに感じるけれど、嫌がらせがないだけで全然気持ちが違う。
なのでだいぶお気楽だ。


「ジュリ様、今度お茶会にいらっしゃいませんか？」
「ジュリ様、今度皆と食事会を予定しているのですが……」
「ジュリ様、もしお時間がございましたらエスコートをお願いしたいのですが……」


このような誘いが毎日のように来なければ……の話だ。
前にも言った通り、私は積極的に性別を偽っているわけではないし、意識して男装をしているわけではない。必要があれば話もするし、大きい声を出す時もある。
外見以外は何も手を加えたわけではないので、声は普通に（多分……）女の子だし、持ち歩いているようなハンカチは花の刺繍とかしてあって、とても女の子っぽい……はずなんだけど。


そんなことを考えながら人目を避け、中庭の隅で一休みしていると背後から声を掛けられた。


「あなたは……ロイス様の侍従をなさっている方かしら？」


目の端に映るのはかなり華やかな色のドレス。
今まで話したことのない令嬢……かな？
もしかして、ちょっと不味い状況？


「そうやって話を無視するのは無礼ではないのかしら？」


考え事をしていたせいで反応するのが遅れてしまった。
スッと右肩に扇子が乗る………。


「ロイス様に引き立てられ、皆にちやほやされ……いい気になってはいけません事よ？ジュリ様？」


そこにいたのは、予想通り……
今の今までなるべく合わないようにしていたドリスデン伯爵令嬢と、お友達一同だった。