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13、モブof theモブ

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イリヤ様の言葉に甘え、キース様とイリヤ様にお任せしてそそくさと生徒会室を出る。
少し後ろめたいけれど、私は本来は補佐であって、キース様より決定権はないし、そもそもが理事や学院長との折衝は会長と副会長の仕事である……なんて言い切ってしまうと、イリヤ様は補佐の補佐だったりするので、難しいのだけれど……。

(会長もあれはあれでストッパーにはなっていたのよね……)

それに、会長補佐を任命された当初は副会長のアデイラ様がいたお陰かという程度だった気がする。

(まぁ、ウワサではそのアデイラ様のお家はノートル公爵派で、第二王子を追い込む為色々と画策していたらしいし……)

恐らく王子の浮気云々は半分仕組まれたもので、まんまと乗せられたのだと思う。
単純なところがたまにキズだけれど、王子だし、性格も悪いわけではない。

それに、アデイラ様も……家からの指示には逆らえなかったのだろうし、敢えて指示されなかったとしても上手く乗せられて、今のような結果になったのだと推測する。

そして、この国の貴族令嬢の中でも魔力量があり、巧みな魔法を使うと言われていたアデイラ様はノートル公爵の縁戚である侯爵家と嫁ぐことが決まり…第二王子はいまだ謹慎中。

今の私の交友関係や行動範囲だと、どうしてもウワサ程度の話しか聞けないのだけれど、恐らく第二王子の王位継承は破棄されると……。


「まぁ……ここが小説やゲームに似た世界だとしても、侯爵令嬢で王族との婚姻など程遠く、侯爵家当主の力もモブのモブ程度の令嬢の自分は傍観者だろうし、物語には名前も出ないモブよモブ」


物語の主役はアデイラ様やお兄様の婚約者となる王女殿下、それか会長である第二王子のお相手だったご令嬢であって、間違っても自分が主人公などとは思いたくもない。

(なんてこと言って思いっきりフラグ立ててたりはしないわよね?)

これでも分相応に生きてきたつもりだけれど……はっきり言って自信はない。
だって、自分は今もモブだが前世もモブ。
『モブof the モブ』なのだ。
悲劇のヒロインにも、ハッピーエンドのヒロインにも興味はない。

(私は普通に何事もなく学院を卒業して、侯爵家を出るのよ。私に社交なんて出来るわけないし、お兄様やお母様みたいに注目されるようなモノは持っていないからね。まぁ……あんまり羨ましくもないんだけどね)

いっそ、呆れられて勘当されるのも手かな?などと思いながら、先月より正式にジュリエッタ付きの侍女になったマリーが入れてくれたお茶を飲む。

(せめてあと少し……生徒会の役員が交代するまで……叶うなら学院を卒業するまで、何も問題が起きないよう祈るしかないわね……)

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