人外さんはお友達 ～私だって仲良くなりたい！～

８０ 光陰矢の如しを実感

光陰矢の如し…とはよく言ったもの……。


つい最近ようやく二年に進級したと思ったら、あっという間に高校生活も終盤。


怜くんや宮田君、里奈に万葉……それぞれ自分で納得して決めて頑張って、それぞれの希望校に合格した。


ちなみに、里奈は進学先を決める際にだいぶ揉めたらしい。里奈の両親は当然のように進学先を提示してきたらしいけれど、里奈は却下したらしい。人生初の大喧嘩を繰り広げ、家出騒ぎを起こし受験が終わるまで両親……得に母親とは口を聞かなかったとの事だ。


当然のように『自分勝手に決めた学校の費用をなんで出さなくてはいけないんだ。受験も勝手にしたんだ。親もそうさせて貰う』と言われ、やはりカッとなったらしく、勢いでまた出てきたらし。


もう一度話し合った方がいいと言ったのだけど、『これは自分の人生だから』と言って譲らなかった。そして…今まで貯めてたお小遣いと、自宅でできる入力の仕事などで自力で稼いだお金と返済不要の奨学金を得て、希望の大学の入学を勝ち取った。


ちなみに……崇ちゃんの会社の寮に今は住んでいて、夕方から夜九時位までの間、会社の社員が利用する託児施設でバイトをしている。


本人は頑なに連絡していないみたいだったけど、未成年を預かることもあり、崇ちゃんと美里ちゃんから親御さんに連絡はしたそうだ＂一応＂。


『こんなこと、あの子には言えないけど……親御さんがね、かなりがなり立ててきてね…最終的に「親の言うことを聞けない子供はいらない」…だそうだ…』


話を聞いて、耳を疑ったし呆れた。
直接は知らないけれど…そんな親の元、あれだけいい子が育ったのが奇跡としか言い様がなかった。






「陽香、これ味見してみて」



そして今、そんなことを考えている私の隣には宮田君がいる。


自分で言うのも恥ずかしいけど……新婚さんみたいに、二人で只今お料理真っ最中です。
宮田君…やっぱりお料理上手でした……。


今現在、宮田君も会社の寮に住んで、大学行きながらバイトをしている。しばらくは美里ちゃんについてバイヤーとしての心得を学ぶらしい。


『見る目はないけど、いい営業にはなりそうね』


とは美里ちゃんの弁だ。
まぁ、『見る目』はゆっくり育てた方がいいからね…経験よ？だって。


そしてだいぶだいぶ早いけれど、私が学校を卒業したら、内々で結婚式をする……らしい。


『今の二人はいわば仮契約状態よ。だから……』


らしい。
そして来月の今日……正式に『伴侶の契り』を結ぶ。