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58 戸惑い
しおりを挟む「陽香を助けてくれないか?」
そう言って宮田君に頭を下げた崇ちゃんは、多分普通なら笑い飛ばされるようなこと…
人外である妖精の事や、自分達の今の現状を宮田君に話していた。
もちろん、同じ部屋にいる怜くんも里奈も万葉も聞いていた。
「まっ、待ってください。そんな重要なこと僕達に話しちゃっていいんですか?」
慌てて崇ちゃんの話しを遮った宮田君を見て笑いながら『大丈夫。簡単ではないけれど記憶の操作をできる者もいるから』と笑って話していたけど……本当なんだね。色々な人外さんがいる事にびっくりした。
「それでね……今現在高校生である君に決断を迫るようで申し訳ないのだけれど……。陽香はもうじき、人間としての生を終える……こうして、今はこんな姿でも存在しているが……本来であれば、恐らく亡くなっていたはずなんだよ。突拍子もない話しに聞こえるかもしれないが、この子達は双子ゆえなのかリスクの高くて、出産の時に亡くなりかけたのを僕が少しチカラを貸して助けたんだ。その時のチカラが今、陽香のこの身体を維持しているんだ。………でも、そのチカラも有限ではなくてね……」
今現在、崇ちゃんのチカラを使っても、私は元に戻れるわけもないらしく、難しい顔をして黙り込んでいる。
そしてふと思う。
もしかして……助けるって……何かの契約を私と宮田君が結ぶって事?
そう何となく感じた。けどけど……それって、宮田君を私に縛り付けちゃうんじゃないの?
難しい事を考えられない頭で必死に考えた。
『それって、れいくんやおとうさんじゃだめなの?おかあさんでもいいとおもうよ。みやたくんかわいそう』
崇ちゃんが言う前に分かってしまったので、文字盤で伝える。
けど……
「はるか。その契約は血の繋がった身内ではできないんだよ……だから……お願いできないか?もし、契約後に気が変わった場合でも対処はさせてもらう。ただ今は陽香を想ってくれている宮田君にしかできない」
そう言って再び私の為に頭を下げてくれた。
そうか…血が繋がっていては出来ないのか。
でも、宮田君を犠牲にするような気がして嫌だな……。
単純にそう考えた。
宮田君を犠牲にしてまで生きたくはない。
悲しいけど、寂しいけど……そんな契約はしたくない。
だから……
『みやたくんをぎせいにするのはいやよ。そんなけいやくしない』
大丈夫。覚悟はしていたから。
私はわたし。宮田君に負い目を感じて欲しくないし……負い目を感じて契約させたくない。
きっとこの気持ちは、私が宮田君を好きだから。
だから大丈夫。
『わたしはだいじょうぶ。かくごをきめるじかんはいっぱいあったから』
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