人外さんはお友達 ~私だって仲良くなりたい!~

こひな

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36 後天的なもの

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里奈の周囲に少しずつ光が集まってきている。
里奈の目線を見ていると、小さな光は流石に見えていないようだけど、明らかに大きな光……お人形のような妖精の姿の子は見えているような感じだ。


「里奈?……それ……」


里奈の手のひらに乗る妖精を指差す。
とりあえず、周りの光は置いておいてだ。


「ああ……これ?え?陽香にも見えるんだ?ってか、陽香にはいつも同じ子がいるよね」


そういって、制服のポケットからひょこっと顔を出したぼんちゃんを指す。


「はぁ……なんだ…良かった。私だけじゃないんだ……」


そういって見えるようになった経緯や、その時の心理状況をついでのように色々教えてくれた。


「最初はね、目の端にちらちら映る程度だったの。ほら、よくあるじゃん…こう、この辺にチラッとさ……」


身振り手振りで一生懸命教えてくれる里奈が新鮮で、思わずニコニコしてしまった。
だって…上手く言えないんだけれど、里奈はいつも間に一つ見えないモノを置いて距離を取る。
それはきっとわざとではなく無意識でなのだと判るんだけど、やっぱり少し寂しい。


周りではツンツンとかクールビューティーとかって言うけれど、万葉がいると全然違うのが判る。
安心しているのだと思う。だから、思いっきり笑うし大きい声も出す。
あれが普通なのかもしれない……そう思ったら、今までの里奈が私達に見せていた『里奈』は何だったんだ?
自然と疑問がわくくらい全然違う。


でも、そんな心の支えである万葉をを止めるの?


そう思うけれど、里奈に関してはマイノリティのことでもある。
けど多分恐らく万葉は、友達としての里奈なら受け入れられるけれど、では受け入れるのは難しいだろう…と、世間知らずな私にだって分かってしまった。


「高校に入ってから見えるようになったんだ。万葉のこと諦めろってことかなぁ?なんてね。その代わり、私の心を癒しに来てくれたのかもって思ったんだ」


膝を抱えて語る里奈の声が、気のせいか少し震えている。
泣きそうなのかもしれない。


ドラマや漫画なら『思いっきり泣きなよ』なんて言うんだろうけど、何となく言える雰囲気でもないので黙って聞いていた。アドバイスできる経験なんて、私にだってないからしょうがないよね。
そう無理やり思い込み、諦めて里奈の次の言葉を待つことにした。


「まぁ…万葉のことは自分でどうにか線引きするよ。よかったらまた聞いてくれるかな?」


だいぶ間があったけれど、里奈の泣き笑いな感じでこの話は終わった。
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