転生して婚約破棄されたのは前世の俺の彼女です

３０、断罪の前夜

予想通り、父上は渋った。
時々聞く話だろう……と。


正直腹が立った。
けれど諦めてはいけないと思って粘ったら何とか…渋々俺の話を聞いてくれ、対処については俺に任せてくれた。
執務室に戻りトマスに指示を出し、とりあえずはミレーユの事を先行して進めさせるようにした。


そして……
兄上の事については議会招集の上議決を取る事にした。
廃嫡したとはいえ王族に籍を置く身……こういった裁判めいたことになれば、潔い者であれば王族より身を引くだろう…とは父上の言だ。もし、引かなければその後の採決には口を出さないとの事だった。
今現在、王妃も謹慎の身…議会にも今は口を出すのは出来ないだろう。
まぁ…今がチャンスってわけだ。


「クリス…議会には父上は出るのか？」


父上付きの侍従に確認を取る。
無言でも飾りでもいてもらわなければ言質が取れない。
そして、俺が独断で兄上を採決にかけたと思われかねない。
王太子の責任だ何だと言われるかもしれないけれど、俺はそんな責任を負うつもりはない。


「陛下はご出席なさるとの事でした。アルベルト殿下の件につきましては、あのような態度をとられておりましたが、大変気に病んでおります。親としての責任はとるとの事でございました」


そういって俺の前を辞して行った。