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しおりを挟むその日は、先輩と私とで祈願祈祷を受けるようにした。
そして……できれば毎日お参りに来るようにと……。
強制するものではないのだけれど、祈りとはどういうものか理解するのには、まずは形式から入ってみるのも一つの手だそうだ。よく、小さい子が親の真似をして仏壇に手を合わせたりするのと同じ事だと言われたけれど…。親のいない私にとって、『親の真似』というものがよく分からない。
私にとっての『親』とは、私を捨てたあの親しかいないから。
いくら捨てられ養護施設で育とうとも、親はあの親しかいないのだ。
だから、真似と言われてもどうしたらいいのか分からない……けれど…この話を聞くだけでも、自分を生んだ親はロクでもなかったのだけは分かった。
まぁ…虐待で子供を殺す親に比べたら断然幸せなのかもしれないけれど。
にゃーん。
先輩の腕をテシテシして、抱っこから脱出。
先輩が座る横に私も座り、晴明パパのお話を聞く。
祈り…祈り………祈りって何だろうね?
お願い…とは違うんだろうとは思う。
祈り……。
小さい頃、あの閉じられた世界に思ったものとは違うのかな?
諦めることが普通だと思って育った私は、それの違いが分からなかった。
だから……
「イノリ ネガイ チガイ?」
タブレットで文字を打ち込む私を、びっくりした顔で見ていたけど、とりあえず放置で。
知らなければ実行しても、神様に届かないかもしれない。
なので聞く。
晴明パパは私の質問にビックリしつつもゆっくりと答えてくれる。
「これは私の持論だよ?みんな共通の考えではないからね?」
前置きをして、神職として培ってきた経験と感じたことを織り交ぜつつ教えてくれた。
で……晴明パパの言葉を私流に解読するとしたら、こんな感じになってしまった。
祈りとは無償のモノ、願いとは代償を求めるモノ。
ならば、私のこれは願いであって祈りではないのだろうか?
また判らなくなり、タブレットで聞いた。
聞いたけど、よく分からなかった。
正直、もう頭がパンパンでよく分からないよ……。
脳の許容量はやっぱり猫並みらしい……思わずがっくりしてみた。
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