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しおりを挟むネコと一緒に会社を出た所で、今朝沙也加と言い争っていた子に会った。
会ったというか…多分俺を待っていたんじゃないかと思う。
「あの…栗原さんって、及川さんとは……」
何とも歯切れの悪い質問だったので、今までのウソを継続しておく。
「一応ね…皆には内緒にしてたんだけどね」
曖昧な言葉で濁すのは悪いと思ったけれど、今回の事はしょうがない。
心の中で及川さんに謝る……ごめんね。
「知っているかと思うんですけど、彼女寮住まいだったから。このまま会社に残れるのかも疑問だし…それに……まだ目が覚めないって聞いて……」
色々心配してくれてた彼女に礼を言って、後日引越しの業者を向かわせるようにした。
このまま目覚めなければ……いや…そんなことにはならないだろうけど、入院が長引いた場合、荷物がそのままであれば、寮費も取られるだろうから…と自分に言い聞かせる。
自分のマンションに空いている部屋があるし、そこに運んで置けば大丈夫だろうと思い、忘れない内に業者に連絡しておく。
にゃーん…
か細い鳴き声が聞こえて、あわてて手元のネコに視線を移す。
「ごめんごめん。忘れてたよ。お前もウチにおいで。これも何かの縁だろうし」
いつもなら拾ったりしないのに、なんだかこの子は、連れて行ってくれと言っているような気がして連れてきてしまった。
「俺と一緒に及川さんが退院するの待ってくれるか?」
一人で待つのが何だか怖くて、情けないがネコに頼ってしまった。
ホントはもう一度病院に行きたかったけど…ネコと大荷物があってはちょっと辛いので、今日はこのまま帰ろう。
色々準備しなければいけない事もあるしな……。
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