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しおりを挟む真純くんのプロポーズのような言葉に不覚にも涙を流してしまい忘れそうになっていたけど……私、側室なんだよね……と、捻くれた考えをしてしまう私…。
持ち上げられて叩き落とされたような……でも、素直な事を言えばとてもうれしい……そんな微妙な気持ちを持ったまま再び祭壇の方を向く。
「みのり……ここからはちょっと特殊な儀式だ。集中してくれよ」
なんだかよく分からない。
というか、最初からよく分かっていなかったのだからしょうがないのだけれど……。
「カール殿下、ミーリア様…こちらに魔力を注ぎ続けて下さい」
神官にそう言われ、乳白色の勾玉のような形をした物をそれぞれに渡され、集中して魔力を注ぐ。
気を付けないと割れてしまいそうで、一気には注げず……しかし、石自体に何らかの仕掛けがあるのか、気を抜くと凄い勢いで魔力を吸い上げられる。
これはこれで感覚的にゾワゾワして不快だった。
けれど、一度始めてしまったモノだからなのか、魔力を注入するのを止めることが出来ない。
実際に見たことはないのだけれど、婚姻の儀にこんな儀式は無かった気がする。
そう思いながら魔力を注ぎ続けていると、乳白色だった石が段々とオレンジ色っぽく変色しだし、濃い茜色になった辺りで、魔力の流れが止まった。
そして横を見ると、額に汗を浮かべた真純くんが、苦笑いをしながらこちらを見ていた。
「こういうの初めてだったんだけど…中々に調整が難しいな」
と、爽やかな顔をして笑っていた。
人の気も知らないで……と悪態をついてしまいそうになるのは悪いと思うのだけれど…これは……。
「真純くん?この儀式って……」
聞こうとした瞬間、神官が進行の声が上がる。
「命の欠片に魔力を無事注ぐことが出来ました。では、これから双方交換となります」
一瞬何を言われているのか分からず、神官を二度見してしまい、真純くんに笑われてしまった。
だって、今『命の欠片』って………。
「この儀式はお互いの命の欠片を交換し、生涯の伴侶となる為の儀式となります。このまま継続してもよろしいですか?」
何も知らされず連れてこられたのが分かったのか、神官が儀式の内容を教えてくれた。
そして……
「命の欠片の交換?へ?」
その後…大事な…一生の記憶に残したいような記念の儀式なのに、呆然としている間にあれよあれよと進行し…気が付いたら、朝、こちらに来て準備をしていた部屋に戻って来てしまっていた。
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