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しおりを挟む決意を胸に…というか、さっき仕上がったハンカチを持ちメアリが迎えに来るのを待つ。
もちろん、頭には認識阻害の魔法を掛けたベールを被って。
なんだか変な感じがする。
別にこのハンカチを真純くんにあげる訳では無いのに……。
……例えるなら、心境的には前世でのバレンタインに似ている。チョコレートを渡して告白する…。
もちろん、今日はそんな事はしない。
告白はするけど。
きちんと気持ちを告げて…我儘なんだろうけど、側室は嫌な事。だから、個人的にはしばらくは会いたくない事。
とりあえずはそれだけ。
国同士の事もあるからそれ以上はね。
きっと会わなければ…時間が経てば私にも好きな人はできるだろう。なんてったってピチピチの十代だ。
別にイケメンが好きなわけじゃないので、残念なやつを捕まえることはないだろうし、爵位もそれなりに上だから色々と問題があったとしても、それなりの人と結婚くらいできるだろう。
それこそ、領地の外れの方で魔道具を作って生計をたてることも可能だろう。さすがに自給自足は無理だけど自立はできると思う。私には魔力もあるしね。
転移の魔法とかしっかり習得すれば、領都との行き来も楽にできて、自給自足じゃなくても買い物ができる。
何より、貴族としてのしがらみが無くなる。
まだ社交界デビューはしていないけど、多分、私は社交界にデビューしたら、変わり者と言われるだろうことは確実だ。
それに、この黒髪もどうにもならないなら、外出時はベールを被る生活を送ることになるだろう。
それを考えれば、引きこもり生活の方が気楽だろう。いちいち気を付けながらの生活は私には無理だから。
もしかしたら、違う未来があるかもしれないけれど、落胆したくないから希望は持たない。『みのり』として目覚めた頃に感じていた、もしかしたらの生活になると思えばどうということは無いはず。
それに、あの頃は真純くんと会えるとは思っていなかったのだから…。
悪役令嬢がざまぁされるより断然幸せだ。
そうそう、話は変わるけど、今朝ほど王宮より、第一王子のレオナルド殿下とミュリエッタ様の婚約と、ミュリエッタ様が聖女として覚醒された事の発表があったのをすっかり忘れていた。
ミュリエッタ様はレオナルド殿下との結婚の為に、聖女としてのお役目を受け入れ……けれど、聖女としての力の発覚が、婚約内定後だった事もあり(嘘だけど…)、神殿も未来の王妃となるミュリエッタ様を神殿に縛りつけることは出来ず……ということらしい。
レオナルド殿下ったら根回しが強引過ぎて、兄様に聞いた時は、思わず吹き出してしまった(汗)
まぁ…でも、不幸になるより良いからね。
ちなみに…バカ王子は、予定通り継承権の破棄を宣言(させられて)、持っていた自領に代官という名のお目付を伴ってお引越ししたそうだ。
とりあえず、バイエルン王国のお家騒動は一件落着したらしい。
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