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しおりを挟む時間経過も分からないこの不思議空間。
真純君の婚姻のことは、なかなか頭から離れてくれなかったけど、ここでチャンスを逃したらいけないような気がして、レオナルド殿下とウィリアムバカ王子の”捻じれ”の原因を、あの本から探した。探したけれど……。
「やっぱり、今のあの入れ替わりの状態が本来の状態みたいね…」
少女が言っていた ”捻じれがまだ消えない” というのは、きっとレオナルド殿下が生きていて足掻いているのが原因だろう。
本来の流れでは、レオナルド殿下はもういないはずだったのだから…。
そして…殿下と私は完全に捻れた状態を正しいモノとしたい。
生きて足掻いているレオナルド殿下をレオナルド殿下として人生を歩ませるつもりでいる。
そもそも、この本を読んでいくと本来の身体に本来の魂がマッチしていれば、魔力過多症は起こらないようだ。魔力過多症は、一種のアレルギー反応のようなモノなのかもしれない。
同じ魔力過多症のカール殿下の場合は……。
本当なら真純は、真咲と同じ時期に死亡する予定だったらしい。
何がどうなって運命が変わったのか、あの頃に真純は死ぬようなことにはならず、空いた身体には違う魂が入り…その魂が終わりを迎えようとした時、日本で真純が亡くなり入れ替わった…のか。
「ホントに…何がなんだか分からなくなりそう」
机の上にあった紙とペンで絵を描きながら整理していく。
こうやって図に起こしでもしなければ、頭の中がぐちゃぐちゃしてしまう。
でも、ちゃんと整理して気を付けて行動を起こさねば、何があるか判らない。
もしここで私がヘマをしたら真純君や、まさきにいに顔向けできない気がする。
まぁ…顔向け以前の問題かもしれないけれど。
だってね…真純君……いや、カール殿下か……。
エリザベス様と婚姻するということは、そろそろ婚約発表もするんだろうし……。
せっかくのお話だけど、側室はお断りさせてもらおうと思っている。
王位につけば、継嗣を望むのは当たり前。
それも貴族はこぞって自分の娘をという。
権力に少しでも近づく為に。
ウィンステッド家ももしかしたら、カール殿下の申し出に首を縦に振るかもしれない。
けれど、たとえ家の為と分かっていても、心がなかなか追いつかない。
それとも、この気持ちは私の…市川みのりの価値観が邪魔をしている結果なのだろうか?
好きな人との結婚は嬉しい。
それは確かなのだけれど……。
側室という立場が受け入れられない自分が、この世界ではおかしいのだと理解している。
でも、自分は…私は真純君が好きなのだ。
誰よりも傍にいたいのだ。
傍にいたいけれど…ほかの人と笑いあっている……ほかの人と寄り添っている…そんな姿は見たくない。
「贅沢なのかな……」
また負の思考ループに嵌まりそうになり、手に持っていたペンを置く。
今はやれることをやって……それから考えても遅くはないだろう。
入れ替わりを元に戻す……成功すれば、交換条件なんてのまなくてもいいのだ。
物理的に離れればどうにか気持ちも落ち着くはず。
これが終わったら、留学を切り上げて領地に戻ろう。
カール殿下の魔力過多症はもう問題ないはずだし、私はもう用なしだろう。
わりきって再出発をすればいい。そう思おう。
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