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お茶会自体は特に可もなく不可もなく……で終わってくれるわけもなく、なぜか私の周りには、学院でお見掛けするご令嬢方がドドーンと勢揃い。


「いつまでこの国にいらっしゃるおつもりですの?自国で婚約破棄された方は、隣国まで来ないとお相手がいらっしゃらないのかしら?」


きっかけはどちらのご令嬢だったか忘れてしまいましたが、こんなセリフを皮切りに、出るわ出るわ……って感じ。


これっていわゆる”いじめ”ってやつ?
前世もそうだったけど、こういう女子の集まりって何がしたいのかよく分からない。
私が隣国のとはいえ、公爵令嬢って忘れてるのかしら?


面倒臭くてお菓子の手配をしようと、立ち上がった時、私を取り巻いているご令嬢の一人が、お茶の入ったカップをわざと私に投げつけた。


「あら申し訳ございません。つまづいてしまって……」


わざとらしい言い訳を聞くのも嫌で、無言で立ち去ろうと顔を上げた時、どこからともなくアルベルトが現れ、私をエスコートしてくれる。


ふと見ると、ミュリエッタ様とエリザベス様が、アルベルトを見て口をあんぐりしてる。
口元を見ると『アルベルト様』って言っているのが分かって、ちょっと笑いそうになってしまった。


やっぱりエリザベス様も転生者だったのね。
アルベルトの存在を知っているということは、乙女ゲーム経験者か…などと考えていると、別な方から二人の視線とは別に、鋭い視線が二つ。


「その男は誰だ?」
「その魔法士は彼女か?」


見事セリフ被りの殿下’S。
二人とも顔が怖いですけど……無言でアルベルトを見上げると、なぜか強くなるカール殿下の魔力。さっきまで同じような視線を向けていたウィリアム殿下(しつこいですけど、中身はレオナルド殿下です!)は、にやっと黒い笑顔を向けているけど…これってもしかして面白がられてる?


「すまんが、ご令嬢をお借りする」


アルベルトの手を弾き私の手を掴んでずんずんと歩く。
どこに行くのか、何をしたいのか分からないまま、無言で歩き始めるカール殿下。


「まっ…まって…待って下さ…い」


身長差ゆえの歩幅の違いがあり、ずっと小走りだった私は息も絶え絶えだ。
まだ若いのに、これじゃダメね…なんて思いながら、止まらないカール殿下に手を引かれ必死で歩を進める。


それからまた少し歩き、ようやく足が止まったかと思ったら、執務机のある一室に入った。
必死で歩いていた事もあって、ここが王宮のどこなのかは分からないけれど、このままだと、カール殿下…いや真純君の命が危ないような気がして、そわそわする。


「あの男は誰だ?まだ婚約者はいないと聞いたが、あの男と婚約するのか?」


私に背を向けたままつぶやく”あの男”とはアルベルトのことだろうか?
婚約?誰が?誰と?
答えたくても、よく分からない内容に答えられずにいると、焦れたように向き直り…


は俺と結婚するんだ!他の奴と結婚なんて絶対許さない!」

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