60 / 135
60
しおりを挟む何もなく数日が過ぎようとしていた頃、領地にいる元ウィリアム殿下に動きがあったらしく、マーキスが直々に私の元に来た。
それも何故か、いわゆる忍び装束に激似の服を着て…これっていったいどこ情報なの?と半眼でメアリを見てしまった。目を逸らされたけど。
マーキスに「直々」という言葉を使うのもなんだけど、一応今は兄様の侍従兼諜報部門の実質的なトップらしいので、一応ね…一応。
「ミーリアお嬢様…領地内にご滞在の中のレオナルド殿下の件ですが…」
さっそく聞くと、すでに色々やらかし始めちゃっているらしい。
それも、小さい事から大きな事まで各種色々。
マーキスの報告では、やらかした半分くらいが魔力が上手く扱えない為の事故。
あとの半分は…中身がバカ王子と判っている人なら、容易に納得できるものばかり…まぁぶっちゃけ、優等生の真似はできず、化けの皮が剥がれてきたって感じか。
婚約が本決まりになる前で良かったと、喜ぶべきことなんだろうけど、外見がレオナルド殿下でのやらかしなので、気持ちは複雑だ。
「サイラス様はいかがされたの?側近でいらっしゃるあの方のお名前が一度も出てこないけれど…」
あの方なら必ず諌めるだろう事なのに、一度も名前が出てこないので不思議に思い聞いたら…なんと…クビにしてしまったそうだ。
魔力過多症が治ったなら医者の側近は要らぬ…と。
何度も殿下を諫める姿は見掛けられていたそうだけれど、殿下のその言葉に特に反論もせず大人しく従ったそうだ。もう諦めていたのだろうと思う。
そして、側近をクビにした殿下はどうしているのかと思えば、現ウィリアム殿下の元を離れた側近達を呼び寄せているらしい。気心知れた側近が良いのは解るけど…ちょっとやりすぎ?レオナルド殿下の真似をして何かをしようとしたのだろうけど、優秀な兄の真似は続かなかったようだ。
予想とはちょっと違ったこともあったけれど、概ね予想通りかな?と思う。
お父様も兄様も呆れを通りこして、病気や呪いの類か?という説まで立てているとの事。
どっちみちこの状態の殿下では、婚約を了承するわけにもいかないと、王宮に使いを出し婚約内定の辞退とレオナルド殿下のお迎えを催促したらしい。
そして、私にはもう少しここに滞在して、殿下と顔を会わせるのを避けるようにとの伝言があった。
殿下が、私の戻りはいつなんだと騒ぎ始めたからだ。
「殿下はなぜそんなにも私を(憎むのだろう)…」
その呟きに答えたのは、意外にもマーキスだった。
警護という名のお遊びを敢行する殿下の側近を尻目に、日夜情報収集の為殿下に引っ付いていたマーキスは、鏡に向かう殿下が呟いている内容を聞いてしまったというのだ。
主な主語が抜けてが、恐らくはそれだろうという事だった。
「あいつのせいで神殿に追いやられた…あいつが婚約者だから」
王都で最近神殿に入った貴族の子女は、ミュリエッタ・アシュバートン男爵令嬢のみで、一時期男爵令嬢も婚約者候補に挙がっていたらしい。
私見ですが…と前置きを置いたマーキスが、もしかしたら、殿下は男爵令嬢を婚約者にしたかったのではないか?と教えてくれた。
え?そこでなんで私が????って思うよね…普通。
っつーか、それ私のせいじゃないし!!
0
お気に入りに追加
2,926
あなたにおすすめの小説
リリィ=ブランシュはスローライフを満喫したい!~追放された悪役令嬢ですが、なぜか皇太子の胃袋をつかんでしまったようです~
汐埼ゆたか
恋愛
伯爵令嬢に転生したリリィ=ブランシュは第四王子の許嫁だったが、悪女の汚名を着せられて辺境へ追放された。
――というのは表向きの話。
婚約破棄大成功! 追放万歳!!
辺境の地で、前世からの夢だったスローライフに胸躍らせるリリィに、新たな出会いが待っていた。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
リリィ=ブランシュ・ル・ベルナール(19)
第四王子の元許嫁で転生者。
悪女のうわさを流されて、王都から去る
×
アル(24)
街でリリィを助けてくれたなぞの剣士
三食おやつ付きで臨時護衛を引き受ける
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
「さすが稀代の悪女様だな」
「手玉に取ってもらおうか」
「お手並み拝見だな」
「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」
**********
※他サイトからの転載。
※表紙はイラストAC様からお借りした画像を加工しております。
悪役令嬢に転生かと思ったら違ったので定食屋開いたら第一王子が常連に名乗りを上げてきた
咲桜りおな
恋愛
サズレア王国第二王子のクリス殿下から婚約解消をされたアリエッタ・ネリネは、前世の記憶持ちの侯爵令嬢。王子の婚約者で侯爵令嬢……という自身の状況からここが乙女ゲームか小説の中で、悪役令嬢に転生したのかと思ったけど、どうやらヒロインも見当たらないし違ったみたい。
好きでも嫌いでも無かった第二王子との婚約も破棄されて、面倒な王子妃にならなくて済んだと喜ぶアリエッタ。我が侯爵家もお姉様が婿養子を貰って継ぐ事は決まっている。本来なら新たに婚約者を用意されてしまうところだが、傷心の振り(?)をしたら暫くは自由にして良いと許可を貰っちゃった。
それならと侯爵家の事業の手伝いと称して前世で好きだった料理をしたくて、王都で小さな定食屋をオープンしてみたら何故か初日から第一王子が来客? お店も大繁盛で、いつの間にか元婚約者だった第二王子まで来る様になっちゃった。まさかの王家御用達のお店になりそうで、ちょっと困ってます。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
※料理に関しては家庭料理を作るのが好きな素人ですので、厳しい突っ込みはご遠慮いただけると助かります。
そしてイチャラブが甘いです。砂糖吐くというより、砂糖垂れ流しです(笑)
本編は完結しています。時々、番外編を追加更新あり。
「小説家になろう」でも公開しています。
派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
木山楽斗
恋愛
私は、恋愛シミュレーションゲーム『Magical stories』の悪役令嬢アルフィアに生まれ変わった。
彼女は、派手好きで高慢な公爵令嬢である。その性格故に、ゲームの主人公を虐めて、最終的には罪を暴かれ罰を受けるのが、彼女という人間だ。
当然のことながら、私はそんな悲惨な末路を迎えたくはない。
私は、ゲームの中でアルフィアが取った行動を取らなければ、そういう末路を迎えないのではないかと考えた。
だが、それを実行するには一つ問題がある。それは、私が『Magical stories』の一つのルートしかプレイしていないということだ。
そのため、アルフィアがどういう行動を取って、罰を受けることになるのか、完全に理解している訳ではなかった。プレイしていたルートはわかるが、それ以外はよくわからない。それが、私の今の状態だったのだ。
だが、ただ一つわかっていることはあった。それは、アルフィアの性格だ。
彼女は、派手好きで高慢な公爵令嬢である。それならば、彼女のような性格にならなければいいのではないだろうか。
そう考えた私は、地味に謙虚に生きていくことにした。そうすることで、悲惨な末路が避けられると思ったからだ。
【完結】婚約破棄令嬢の失恋考察記 〜労働に生きようと思っていたのに恋をしてしまいました。その相手が彼なんて、我ながらどうかと思うけど〜
藍生蕗
恋愛
伯爵令嬢であるリヴィア・エルトナはつい先日婚約破棄されたばかり。嘲笑と好奇が自分を取り巻く。
わたくしも自分が婚約していたなんてその時知りましたけどね。
父は昔結ばれなかった女性を今も一途に想い続ける。
リヴィアはそんな父と政略結婚の母との間に産まれた娘で、父は娘に無関心。
貴族だからと言って何故こんな思いをしなければいけないのか、貴族の結婚はそれ程意味のあるものなのか。
そんな思いを抱えるリヴィアは、父と境遇を同じくする第二皇子と知り合い、自身にわだかまる思いを彼にぶつけてしまうのだが……
※小説家になろう・カクヨムでも掲載してます
悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!
Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。
転生前も寝たきりだったのに。
次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。
でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。
何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。
病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。
過去を克服し、二人の行く末は?
ハッピーエンド、結婚へ!
婚約破棄された令嬢は変人公爵に嫁がされる ~新婚生活を嘲笑いにきた? 夫がかわゆすぎて今それどころじゃないんですが!!
杓子ねこ
恋愛
侯爵令嬢テオドシーネは、王太子の婚約者として花嫁修業に励んできた。
しかしその努力が裏目に出てしまい、王太子ピエトロに浮気され、浮気相手への嫌がらせを理由に婚約破棄された挙句、変人と名高いクイア公爵のもとへ嫁がされることに。
対面した当主シエルフィリードは馬のかぶりものをして、噂どおりの奇人……と思ったら、馬の下から出てきたのは超絶美少年?
でもあなたかなり年上のはずですよね? 年下にしか見えませんが? どうして涙ぐんでるんですか?
え、王太子殿下が新婚生活を嘲笑いにきた? 公爵様がかわゆすぎていまそれどころじゃないんですが!!
恋を知らなかった生真面目令嬢がきゅんきゅんしながら引きこもり公爵を育成するお話です。
本編11話+番外編。
※「小説家になろう」でも掲載しています。
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
【完結】バッドエンドの落ちこぼれ令嬢、巻き戻りの人生は好きにさせて貰います!
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢エレノアは、容姿端麗で優秀な兄姉とは違い、容姿は平凡、
ピアノや刺繍も苦手で、得意な事といえば庭仕事だけ。
家族や周囲からは「出来損ない」と言われてきた。
十九歳を迎えたエレノアは、侯爵家の跡取り子息ネイサンと婚約した。
次期侯爵夫人という事で、厳しい教育を受ける事になったが、
両親の為、ネイサンの為にと、エレノアは自分を殺し耐えてきた。
だが、結婚式の日、ネイサンの浮気を目撃してしまう。
愚行を侯爵に知られたくないネイサンにより、エレノアは階段から突き落とされた___
『死んだ』と思ったエレノアだったが、目を覚ますと、十九歳の誕生日に戻っていた。
与えられたチャンス、次こそは自分らしく生きる!と誓うエレノアに、曾祖母の遺言が届く。
遺言に従い、オースグリーン館を相続したエレノアを、隣人は神・精霊と思っているらしく…??
異世界恋愛☆ ※元さやではありません。《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる