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しおりを挟むとりあえずこれで目的は果たせた。
これで領地に帰れる……と一瞬安心仕掛けたが、まだ一つ最後の難問が残っていた事に気付いた。
「メアリ…どうしよう。まだあれがいた。レオナルド殿下の着ぐるみが」
問題を直視したくなくて、着ぐるみなんて冗談を言ったが、冗談じゃない最大の案件がウィンステッド公爵家にいる。
何を思って…どうしようとして、あそこに滞在しレオナルド殿下のマネをしているのか分からないけれど、早急にどうにかしなければいけない案件だ。
でなければ、外見はともかくあのバカ王子と婚約しなければならない。
幸いにも『命の欠片』の交換はしなくてもよさそうな感じだけれど、一度結ばれた婚約は余程の過失・不貞が無い限り破棄など出来ない。出来たとしても、このままだと一方的にミーリア側の立場が悪くなり、お父様や兄様に面倒をかけてしまう。
「みのり」としての記憶…自分が転生者だと悟ってまだ数年だけど、今のこの世界で二人は…義母様も義弟も、あの屋敷に住む者皆が家族で、護らなければならない対象なのだ。
「…じょう様……お……さま…お嬢様!」
いきなり大きな声で呼ばれた気がして、横を見たら、ぷりぷりと怒ったメアリがいた。
「お嬢様!もういい加減おやすみ下さいませ!あなたは今、お子様なのですよ!」
と…すっかりお母さんみたいなメアリ。
男なのに…ぷぷっ。なんて言ったらめっちゃ怒られてしまった。
⚫〇⚫〇
あれから数日。
メアリと話し、すぐに帰らずしばらく殿下の動きを見てみようとなり、今現在王都の屋敷でのんびり日向ぼっこ中。
マリーにはこの際だからと、王都の貴族の勢力関係とか、まぁ自分にはあまり関係がなさそうだけど、知っていれば便利ね~位の情報収集をしてもらっている。
そもそも、まだ成人前のお子ちゃまな私が心配する事でもない…はずの情報だ。多分。
ウィンステッド公爵家の諜報部門は、マーキスのお陰で、暗殺でも生業にできそうな集団になりつつあるそうで、他の貴族家と比べ物にならない位優秀だそうなので、マリーが改めて調べても、新しい情報はないだろうと思うのだけど……マーキスは一体どこに向かっているやら。
最近の諜報部門は、マーキスの影響で色々なわざを開発したらしく、湖の上を走ったり、空を滑空したりしているらしい……それも魔法を使わずにだ。
ちなみに、マーキスのコードネームは"頭領"らしい。今までのリーダーはどうしたのかと思って聞いたら、リーダーはマーキスに勝負で負け、今現在は公爵家の侍従頭となり、マーキスと交代で兄様についているらしい。
家の使用人がぶっ飛んでいるのか普通なのか、比べるモノがないし、お父様と兄様も知っていて何も言わないようなので、問題はないのだろうけど、私はただひたすら…マーキスの将来が気になる。
まぁ、楽しいからいいけどね。
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