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しおりを挟む第一王子レオナルド殿下…
魔力過多症で幼少のころから身体が弱く、ベッドから離れられない生活故、王位継承も難しい……と言われている。
そう「言われている」だけ。
実際のレオナルド殿下は、寝室兼執務室で勉強をし仕事もしている。
手足となる侍従や側近の力を借りてだけれど。
過去、魔力過多症程ではないけれど、身体が弱く表舞台に出ない王もいたと聞くので、それでもいいんじゃないの?とミーリアは思うのだけれど、世の武闘派と言われる貴族の中には、「王が戦わなくしてこの国は成り立たぬ」なんてはた迷惑な主張をする輩もいる。
「バカじゃないの?」と切って捨ててしまいたいことであることは、ミーリアの中では決定事項だ。
王がすべてに出張っていたら、下の者の面目丸つぶれじゃないの?
と思う。「適材適所」…いい言葉だと思うんだけど…。
いっそ戦いは第二バカ王子に行かせればいいのだ。幸いにして、今現在は隣国との講和条約が結ばれ、隣の領土とはいえ、王女が兄様の元に降嫁する。
大きないざこざはしばらくはないだろうし。
ちなみに、今回の功績もあり我が家は公爵となり…武だけではなく、知もあるのだと知らしめた…兄様が。
こう言っちゃなんだけど、お父様は腕っぷしと心意気はいいが、知性派とは程遠い。
その点、兄様はなんていうか…均整がとれていると思う。イケメン万歳である。
今回のレオナルド殿下の訪問中に、私と殿下の婚約を取りまとめ、学院復学後は護衛兼従者…多分、その後はレオナルド殿下の側近や…殿下が王位を継承したならば、宰相位まで登りつめるかも知れない。
まぁ、先の良い事だけを考えて私利私欲に突っ走り過ぎたり、反対に真面目にやり過ぎて、狡猾な貴族にしてやられるのも癪に障るので、その辺は将来のウィンステッド公爵に頑張ってもらうしかないんだけど……。
「問題は…これができてしまったってことかな?」
魔石を入れた装飾をした箱を手に持つ…。
数年前…ミーリアが魔道具に興味を持ち始めた頃から考えていた物ができた。
ミーリアが手に入れられる物は、小さな魔石しかないので今現在はこのぐらいの大きさだけれど…大きな魔石が手に入れられれば、レオナルド殿下の魔力過多症も、婚約・結婚などに頼らず解決できると思っている。
「でも…ねぇ…この婚約は政治的なものもきっとあるのよね…」
兄様達がもどり、メアリに戻ったアルベルトも、今は部屋にいない。
マーキスも…今は兄様の傍に戻っていたはずなので、今は完全に一人だ。
みのりとしての記憶が戻り数年。貴族としてのマナーや役割を改めて学習し直し、貴族として生れた自分の役割も理解はしている。
前世でも、時々あった。会社の土台を安定させる為の結婚。
あの時代でもあったのだ。今世のこの貴族社会で無いわけがない。
幸いにもお父様や新しいお母様、兄様はそんなもの無くてもどうにでもなる…と言ってくれているし、どちらかというと面倒だと思っているようだし。
まぁ…辺境という土地柄だとは思うけど。
前世では…今考えると、上手く恋はできていなかったと思う。
もちろん、結婚の経験もない。
でも、前世の両親も今世の両親も夫婦仲が良く、見本は身近にいた。
自分も将来あんな風に寄り添える人ができるのだろうか……。
政略結婚であっても、将来的には仲睦まじくできたらいいと思う。
ぶっちゃけ、最悪は人生を切り開く戦友といった感じでもいいと思っている。
うわさに聞く冷え切った夫婦だけは御免こうむりたい。
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