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日々はあっという間に過ぎて行く。
やる事が多ければ多いほど、忙しければ忙しいほど。


ミーリア・ウィンステッド…この春で9歳になりました。
義理の母の出産も無事終わり、可愛い弟が産まれた。前世から通して初の弟♪


余韻でほわほわしていたいミーリアだけれど現実はそう上手くはいかず、ただ今絶賛大忙し中といったところだ。


それというのも、あと数日もすれば、義母と義弟を含め5人家族が暮らす伯爵邸に、この国…バイエルン王国の第一王子が来るからだ。


表向きは魔力過多症の療養。内実はミーリアへの婚約打診…といったところだろう。
本来なら義母のマーガレットが差配する屋敷への受け入れ準備だが、産後すぐ動いてはいけないとよく言い聞かせ休んでもらっている。

産後の肥立ちが悪くて…なんてあっちゃいけないことだ。
予想だが…ミーリアの実母が亡くなった原因も、産後の肥立ちがきっかけだったのではないかと予想。あくまでも予想だ。


この世界にも、一応医者と呼ばれる人達もいるが…魔法が発達しており、おまけに治療・治癒系の魔法まであるのだ。
医学の進歩を目指すよりは魔法技術の発達を願った方が早い。


ちなみに…お父様と兄様は領内の見廻りと国境の砦の強化に数日前より出掛けている。


どれ位の期間滞在するのか、お父様自身も聞いていないらしいので、付け焼き刃の安全では心許ないかららしい。


まぁ…その国境の砦の向こうの国、アルメニア王国とは数日前に講和条約が結ばれたので、表立って国同士のいざこざはない…はず。


まだ反発している輩がウロウロしているかもしれないから注意は必要だということだった。


まぁでも、兄様も婚約者ができたしね。
兄様の嬉しそうに照れた顔を思い出す。
時期を考えると「政略結婚」と言われそうだけれど、兄様と彼女はれっきとした恋人だ。
講和条約が結ばれるきっかけを作ったのも二人だ。


素敵だなぁ~と思う。兄様さすが!とも思う。
イケメン&イケボのキラキラ兄様に婚約者が……(涙)
なんて感情も一切ないし、素直に幸せになって欲しいと思う。


思うが…この婚約のお陰で、我が家は伯爵から公爵への叙爵が決まってしまった。
だって、相手はアルメニア王国の第三王女シャーロット・ウィンザーだからだ。


ぶっちゃけ、降嫁先が辺境伯とはいえ伯爵家では釣り合いが取れないとなったわけだ。
面倒くさいよ身分制度…。お陰で私と殿下の婚約も実現がかなり容易になってしまった。


「アルベルト…」


扉の内側に佇む美青年に視線を送る。
彼はアルベルト・スペンサー。
スペンサー元子爵の養い子で、ミーリア付きの護衛兼魔法士。
普段は……私付きの侍女やってます。
侍女のお仕着せ着てね。


今日は男装の麗人よろしく、騎士服を着こなし私の護衛です。
それにしても…眼福ってこういう人を見て言う言葉なのねぇ~としょうもない事を思ったりもしている私。まぁ、攻略対象キャラの一人なのだから、素敵男子でなくてどうするっ!っても思う。


「なんでございますか?私の顔に何か?」


思うけど…喋らないこと前提で…だね。
美青年&オネエ言葉は洒落になんないね。せめて、筋肉隆々の厳つい人がオネエ言葉だったら、マンガみたい~!!って多少は楽しめるのに。

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