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しおりを挟むポツリポツリと自分の事を話してくれるメイドさん。
メイドさんも転生者らしい。ちなみに、名前はメアリさん。
いわゆる一般庶民に産まれた彼女には姓がないようだ。
この世界は、簡単に言うなら魔法と剣の世界だそうだ。
メアリさんが前世を思い出したのは5歳の時…
友達とタックルごっこをしていて、転倒したショックで思い出したそうだ。
タックルごっこって……と思いつつも、とりあえず話を先に進める。
「あの…なんでそんな事話してくれるんですか?」
私の疑問にもすんなり教えてくれた。
「信じて貰うには、まずは自分の事話さないとね」
と…苦笑いしつつだ。
そうだよね…だって知らない同士だしね。
そんな事を思いつつ、メイドさん…メアリさんを見上げる。
ベッドサイドに立ったままの彼女に、椅子を進めたけれど…この世界では身分制度があり、何がどうなって罪になるか分からないので、今の状態が一番いいらしい。
突然誰かが入ってきた場合、椅子に座っていては対処が遅れるから…だと。
まだ、触り位しか話を聞いていないけれど…なんとなく…苦労してきたんだろうと思った。
「知らないと思うのだけれど…一応前世での名前と死んだ理由を話しておくわね」
ちょっと悲しそうな顔をしてボソッと呟くように名乗った名は……
- 宮藤真咲 享年29歳…死因:頭部打撲による出血死-
えっ……?
聞き覚えのある名前に、一瞬動作が止まる。
宮藤真咲……私…市川みのりの幼馴染のお兄さんも同じ名前だったはず。
似たような名前の人なんていっぱいいる…そう思う事で冷静になろうとしたけれどできなかった。
だって…死因だって一緒だよ?
幼馴染みの兄、真咲さんは家に入ってきた暴漢に襲われたのだという…幼馴染みの真純を庇って。その当時、幼馴染みの真純は17歳。兄の真咲と二人でご飯を食べていたらしい。
両親は仲良く旅行に行っていたそうだ。
真純を庇い、暴漢と対峙して取り押さえ、警察に引渡し。
ところが、これで一件落着…ではなかったらしい。
強盗事件から5日位たった頃、急に頭が痛いと言い出し倒れてしまったのだ。
慌てた幼馴染みを宥め、ちょうど居合わせた私が救急車を呼んだ。
あの時はあれが最善だったはず…そう思っても、死なせてしまったのではないのか?という疑問は消えなかった。
兄真咲は、救急車が病院に着く前に車内で息を引き取ったらしい。
死因の解明の為もあり、解剖をすすめられ…出た結果が先の死因だった。
犯人と揉み合った際に、強く頭を打ったか殴られたのだろうと…頭内には出血がありそれが直接の原因だとの事だった。
そのあとの事は……荒れる真純を見ていられなくて、少し距離を取ってしまった。
ちょうど受験だった事もあり、傍からは特に咎められることも無かった。
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